逢いに行く。【あいにく/カンチユウ】

ダンボールを捨てるのが苦手です。ナガイです。
今日は閑地游さんの曲「あいにく」について書きます。


 閑地游さん、感情で殴ってくる歌声と詩なんですがピッチとかロングトーンとかガナリを使うタイミングとか詩の構成はとても綺麗で、印象とはちぐはぐな感じがたまらなく好きです。

 例えば曲名の「あいにく」ですが漢字で書くと「生憎」、この「生」というのは感嘆詞なので、つまりは「あぁ憎らしい」といった意味になります(実際は「あぁクソ!!」みたいなニュアンスのほうがより近いかも)。こうなると曲中で多用される「あぁ」のフレーズに込められた感情がよりくっきりと感じとれるのかなと思います。感覚的なのか意図してかは分かりませんがこういうの大好きです。

 また、生憎というのは期待していたことが上手くいかず都合が悪い、残念な様子を指す言葉でこれは冒頭の

ふらりとんだ 夢の世界に幸せなんてなかった

 が、まさに当てはまりますね。「ふらり」なんて表現ですが、それなりに期待を裏切られてショックを受けているようです。しかし、この先の詞で夢の中については一切語られないというのが、好きポイントですね。さよならムーンと並べて聴くともっと深く読めそうですね。

 ふと目を覚ます午前五時 一面の生活

 もう、ここで優勝ですよね。「夢の世界」と「一面の生活」の対比が綺麗でたまらんですね。「ふらり」と「ふと」も音的にも動きのイメージでも「ふらり」は緩やかながら動的な印象ですが、「ふと」からは午前五時に「覚めてしまった」という、ピタリと止まった朝の空気を感じます。
 また、これだけ夢と現実の対比は綺麗なのに、朝と夜はぐちゃぐちゃになっているところも最高ですね。

ふらりとんだ階段から 迫る地面 焦る今夜 

 ここも多分ですが、夢から覚める描写だと思います。ビルから飛び降りて地面に落ちる寸前で目が覚める、みたいなことだと思います。先程は夢に対して使っていた「ふらり」を使いつつも今度は目覚めるときの描写に使ってくるの好きですね。1番の現実は「午前五時」だったり「一面の生活」だったわけですが、今回は時刻が変わって「今夜」になってますね。昼夜逆転。

 夢の世界に幸せなんかなかったけど、変わらない今日に起きていたくない堂々巡りの中で素敵な曲を創る閑地游さん、たまらないですね。
 最近、空位さんと組んで『空中、虚ろなれ。』というユニットを組んでました。どうやら12月5日に曲を出すそうなので今から楽しみです。



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