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踊り子ハネタの高鳴りは人に聴こえない

 今回はですね!!!!!!!!!
 羽子田チカさんの『こだまのうた』について妄想を書きなぐっていこうかなと。ほんとに歌詞から想像の風に吹かれるままに書くので面白かったら面白い、つまらなかったらあなたが感想を書いてください。面白くても書いてね。

 とりあえずループ再生しながら読んでくださいな。

羽子田チカさんのファンタジーを楽しもう

 今回もいろいろ都合をつけて物語のようにするのって楽しいよねということが示せればいいかなと。

『こだまのうた』にはいろいろな人称代名詞が出てきますし、羽子田さんと踊り子ハネタさんを同一人物として捉えるかどうかでも全く違うお話が組みあがっていくと思います。

踊り子ハネタ≠羽子田チカ?

 わたしが考えたのはこの歌はもともと踊り子ハネタさんの歌でその歌を羽子田さんが聴いて曲として発表したという筋書きです。

『異世界の歌をどうやって聴くねんwww』と突っ込まれるかもしれませんが、羽子田さんはいくつものパラレルワールドに存在する自分に似て非なる存在を認識できることが確認されています。

 このことから魔女チカさんとはまた別の平行世界のハネタさんが踊り子として存在していて、踊り子ハネタさんとコンタクトをとって着想を得たということは十分に考えられます。もしくはニューラルネットワークみたいに無意識下で経験が共有されてるってのも面白いかもしれません。それこそ"夢でみた"という風に。

異世界ハネタはなぜ踊る?

 さて、この曲と踊り子ハネタさんの関係性を考えていきましょう。一口にRPGの踊り子と言ってもその在り様は一つではありません。酒の席での盛り上げ役であったり、仲間を鼓舞する役であったり、敵を惑わす妖しい舞を得意とするものであったり、唯一神ではない自然への祈りを舞踏として表現する者。さまざまあると思います。

 ハネタさんが該当するのは上に書いたような踊り子、というよりかは『吟遊詩人』の立ち位置なのではないかと考えています。エルぽきと被ってるじゃんという話なんですがまぁ聴いてください。

 吟遊詩人とすると、合点がいくのがロケーションです。具体的な国名が出てこないようにさまざまな国の楽器を用いて作られていますが、ハネタさんの衣装からしても乾いた砂と刺すような日差しが延々と続く砂漠を想像するのは容易でしょう。砂漠での生活といえば一カ所に留まらない移動。当然、書物などのかさばるものは不必要とされ、娯楽は物語や踊り。その中で話されるのは自分たちのルーツであったり、自分たちの精神を象徴するような歌でしょう。

 そんないくつかの歌の中に『こだまのうた』があったとしたら、この歌詞はきっと踊り子ハネタのルーツや思いや願い、叫びが詰まったものになるはずです。

『こだま』の叫び

 さて、そんな月夜に踊られる「こだまのうた」に込められた叫びとはいったい何なのか。とっかかりはタイトルの「こだま」でした。

 こだま、と私たちが一般に聞いて想像するのはやまびこなどの「木霊」です。しかし、「木」ということで砂漠とはミスマッチです。ということは「こだま」は「木霊」ではない?ではいったい……?

 検索すればすぐわかることなんですが、『蚕霊』と書いてこだまと読むんですね。蚕というのはわかりますね、あの絹糸をつくるあの昆虫です。

「こだまのうた」が「蚕霊のうた」だとすると砂漠というロケーションほどぴったりなものはありません。みなさんご存じシルクロードは絹の道というくらいですし、シルクロードの内のオアシスの道と呼ばれるルートは乾燥地帯ですから砂漠とは言わずとも過酷な地域です。そしてその道を行くは一人ではなく旅団、キャラバンとなっての道行きとなるでしょう。そんな折、誰のためでもなく一人、満月の夜に踊るハネタさん。しびれるほどかっこいいですね。

『こだまのうた』の一枚絵で妄想が止まらない

 さて、ここで注目していただきたいのは「こだまのうた」の一枚絵です。

 これを見たときに震えました。大胆な衣装に目が行くと思うんですがハネタさんの頭部に注目してください。

 カイコの触覚に……見えませんこれ?????????

 羽子田チカおそるべし。これを裏話の時にしゃべらないってすごすぎてなんなんだってなります。この衣装もね。絹なんですよね。たぶんね。で、シルクロードって別名「黄金の道」なんですよ。足の紐とか見てください。金色ですね。赤色の染料はルビアフォリアという昔からアジア、中東で栽培されている植物から抽出されますからこれもどんぴしゃでしょう。もしくは桑の実は赤いのでその色かもしれません。(ヲタきちさんが先にドット絵を仕上げていたので色のところは私の完全に想像です。色指定が羽子田さんだったらわからないんですけど)さらには、茨城県に伝わる金色姫伝説なんかも踏まえてるかもしれません。金色姫伝説ではインドから絶世の美女がやってきます。

 カイコという生き物自体がものすごく業の深い生き物で、完全に家畜化され絹を作るために繭を作り、成虫になっても餌を摂ることも空を飛ぶこともなく死んでいきます。この歌の中では家畜化されたというところには焦点はあっていませんが、カイコを知ってから以下の歌詞を読むとその悲壮な歌い方により強さを感じないでしょうか。

いま命を燃やして 時は満ち
繰り返しては散る

『僕』はなぜ涙を流しているのか

 妄想が長くなりましたが、ただの蚕の歌ではないはずです。とりあえずサビから手を付けていきましょう。

今日を哭いて哭いて、哭いた
見上げた月の夜 星に遠のいた
人はみな聴こえぬ この高鳴りが
君を呼ぶ
一筋の涙、涙
目覚めた月の夜 星に遠のいた

今日を哭いて哭いて、哭いた
横顔ふきぬける 風は幻
人はみな聞こえる こだまのうたが
僕を呼ぶ

 まずは僕というのはだれかを考えていきましょう。カイコというところから繋げるなら名前の由来から「飼い子」つまり隷属下にある人間というところでしょうか。

 ちょうどシルクロードの「オアシスの道」を取り仕切っていたとされるゾグド人というのが絹はもちろん奴隷商もやっていたというので面白いですね。労働というより歌舞音曲を仕込んでいたという話ですから旅の途中で踊ることもあったでしょう。

 さて、「僕」が不自由な人間だった時、「僕」の高鳴りはなぜ人に聞こえずに君を呼ぶのでしょうか? ここ、解釈する中で最難関です。

 まず、高鳴りの意味合いを確かめる必要があります。

「胸の高鳴り」といった高揚を示す意図があるのならば制限下にいる人間が何に胸を躍らせるか、当然「自由」に対しての渇望があるのではないかと考えます。

 この自由への渇望は「人」つまり、自分を飼っているニンゲンには決して聴こえない、聞かせてはならないけれど、同じ不自由な境遇にある「君」には届くだろう?という解釈ができそうです。

『僕』も『君』も羽子田チカ

 では、同じく不自由な境遇にある「君」とは誰でしょう。単に同じ奴隷身分としても良いのでしょうが。忘れてはいけません、これは #チカのかけら なのです。

 つまり、これは「僕」である踊り子ハネタから「君」である羽子田チカへの歌ではないでしょうか。
 だから、落ちサビのところで夢から醒めて涙を流しているのです。そしてこの叫び、『こだまのうた』は私たち『人』に『聞こえている』わけです。

 注目してほしいのは『聴こえぬ』と『聞こえる』の表現の違いです。『聴』という字は注意深く耳を傾ける、という時に使います。そして、それと比べると『聞』の字は漠然と耳に入ってくるというイメージです。

 そうです。結局のところ皆『聴こえていない』わけです。そして、羽子田チカ、『僕』だけがその歌を『聴いて』呼ばれるわけです。

 最後のサビだけは踊り子ハネタではなく、羽子田チカの歌なんですよこれ。だから一人称が僕になっています。そして、横顔を吹き抜けた風は踊り子ハネタの頬をなぜた風なんですよ。

そして夢は繰り返す

 さぁ、サビを大まかにやりましたから他も見ていきましょう。難しいですが、サビで得た方向性でかみ砕いていけばなんとかなりそうです。

 出口を抱え明日に急いでも
引き摺り生きていくのさ
孤独をただ求めずにいても
何時しか息を殺してる
いま命を燃やして 時は満ち
繰り返しては散る

  いきなり難しいんですよね。ですが、カイコ、自由への渇望というワードを得ているのでそれぞれのフレーズが意味するところを当て嵌めていきます。

 不自由な人間の出口は自由、そして、カイコのモチーフを意識すればカイコはその羽で飛ぶことは出来ないところから、「自由へ飛び立てるはずの羽を持っていながらも飛ぶことはできず引き摺って生きることしかできない」と読めるでしょうか。

『孤独をただ求めずにいても~』は人の輪の中で生きようとしているが気づかぬうちに息を潜めている、ということですが、これは無理に当てはめるのではなくて「羽子田チカ」との共通項を踊り子ハネタも持っている、と考えるると無理がないかなと思います。

『いま命を燃やして~』は先ほど触れた話でカイコをモチーフとしつつも、羽子田チカの物語の核心に触れるワードです。ここら辺は詳しく語るか微妙なラインですが、以下の狛犬なつくさんツイート参照です。

 で、二番の歌詞はがっつり繰り返している話をしていますよね。ここでの『僕ら』はパラレル羽子田チカ全員を指しての僕らなのかなと思います。

 出口、行き場、答えに辿りつけていないからこそ、この歌や羽子田チカさんの物語がこうやって紡がれているわけなんですが……。難儀です。

羽子田チカの物語は続いていく

 ここら辺の突っ込んだ話や導入編は下のnoteで書いていますので読んでみてください。一つ目は「MTC」の時に書いて、二つ目は「きみとメモリー」の時に、三つめは「落日」と「ダメニンゲンぱれーど」について書いたnoteです。

 どれもその時のテンションを前面に盛り込んでいるので読みにくいかもしれません。楽しんでもらえれば幸いですし、自分はこう考えたよってのがあればあなたが筆を執ることを期待しています。

終わりに

 はい、長くなりましたが『こだまのうた』をがっつり妄想してみました。もちろん音楽として完成されてると思うのですが、Vtuberとして「羽子田チカ」というファンタジーフィクションとしても楽しめるよ、ということが示せたら幸いです。

 次のオリジナル曲は『まきば』というらしく、なにやら怖くないと本人はおっしゃっていましたが……どうでしょうか。ゆっくり待つこととしましょう。それではまた次のオリジナル曲公開の際にお会いしましょう。

出典

*第38回生放送 『オリジナル曲こだまのうた 制作ウラ話!』
https://youtu.be/btoOhtWZ5DM


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