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【随想】ドラマ『真犯人フラグ』高野水登

『真犯人フラグ』は、2021年に放送されたテレビドラマ。
考察系ドラマのはしり『あなたの番です』の制作チームが再集結したドラマということもあって、当時もそれなりに話題になっていたと思うが、自分は第一話だけを見て見るのを止めてしまっていた。
なぜ見るのを止めたのか、あまり記憶は定かでないが、でも一話の最後にショッキングなクリフハンガーが用意されていて、その過剰な演出にちょっと引いてしまったというのがあったように思う。
TVerで再放送されていたので、再チャレンジしてみたが、やはり2年前に思った時と同じ感想だった。
とにかく過激でジャンクな演出、設定、モチーフの寄せ集めで、あまり高い志を感じなかった。
視聴者にショックを与えよう与えようと必死になっているように見えてしまった。
ミステリー要素で興味を引くのではなく、訳ありな人たちがずっと訳ありな感じのまま、ショッキングな出来事が起き続ける。
3作目以降の『SAW』のような感じである。
そう考えると、『あなたの番です』は推理という軸がありながら、ゲームに巻き込まれた普通の人たちが追い詰められていく群像劇として面白かった。
登場人物に感情が乗っかっていくのだ。
『真犯人フラグ』は登場人物全員が、ほぼ最終話近くまで何かしらを隠しているので、まるで感情移入することができない。
唯一主人公は、犯人の濡れ衣を着せられるという役なので、彼だけには感情移入できるはずなのだが、周りの人間が誰一人として正体を現さないので、彼の感情としては、そのもどかしさがずっと続くだけなのである。
2クールを通して、ずっと周りの人間の怪しいそぶりだけが描かれ続け、本当に最後の最後までゴールに向かっている感じが見えなかった。
途中からはもう誰が犯人なのか気にならなくなってくる始末。
もしかしたら『あなたの番です』の免疫が強すぎて、ハードルが上がりすぎていただけなのかもしれないが。


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