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ネット炎上のメカニズム:ネット炎上の三要素(事例編)

実際のネット炎上事案への適用

前の記事で、ネット炎上の三要素について書きました。

炎上の3要素

実感を得られるように、最近話題となったいわゆるネット炎上案件にあてはめてみましょう。

事例1:吉本興業 ヤミ営業問題

 話題:芸人の闇営業
 共感:闇営業先が反社会組織(詐欺グループ)という憤り
 メディア:週刊誌(週刊FRIDAY)

 週刊FRIDAYの記事(メディア)をきっかけに、会社も芸人もヤミ営業の事実を認めました。当初は闇営業先が詐欺グループであったことから、芸人と反社会的組織とつながり(話題)について批判(共感、というより反感)が集まりました。その後、報酬は受け取っていないと話したにも拘わらず、実際は受領していたこと(燃料投下)が明らかとなりました。これらが、人々の関心を集め、芸人が批判の的になっていました。その後、会社が開いた記者会見を行うも、的確な受け答えができず厳しい批判を受けました(新たな話題)。ネットでも大きな話題となり、ワイドショー(あらたなメディア)でも連日取り上げられました。

事例2:カネカ 育児休暇明け直後の転勤命令

 話題:育児休暇明け直後の転勤命令
 共感:内示を受けた家族への同情
 メディア:Twitter(元社員の奥さんのTwitter)

 元社員の奥さんがTwitter(メディア)で発信したツイートが発端でした。育児休暇をとったご主人が育休明け直後に異動を命じられたことと、その後に会社と交渉したが受け入れられずに退職したこと(話題)が記されています。このツイートの読者には、会社の措置に対しての同情(共感)が広がっていきました。
 この対応に会社の対応に対する批判意見が多数発せられるようになりました。会社はその経緯についてのリリース記事を発表しましたが、内容が会社の判断は違法行為でないことの主張に終始したため、一部の人々から反感(共感)を買うことになりました(燃料投下)。


事例3:レオパレス21違法建築スクープ

 話題:建築基準法違反物件が多数あることが発覚
 共感:これまで放置してきた杜撰さへの反感、言われなき苦痛を強いられている居住者への同情
 メディア:テレビ(テレビ東京 ガイヤの夜明け)

 テレビ東京のガイアの夜明け(メディア)で番組にとりあげたことが発端です。番組では実際の建物の様子や専門家の意見などにより、提供しているアパートの違法性を明らかにしてゆきました。また、居住者へのインタビューなどを通じて、厳しい居住環境を伝えました(話題)。視聴者はこれに同情(共感)しました。同時に、企業に対して批判(共感)が集まることとなりました。その後、企業が管理物件の調査に着手をしており、建築基準法違反の物件件数が新たに積みあがっていきました(燃料投下)。
更に、このような状況では必然ではありますが、業績の悪化を発表したこと(燃料投下)で、物件オーナーや工事施工会社などステークホルダーへの影響を懸念する声も増えてゆきました。


まとめ

 このように、個別の事案にも適用できそうです。燃焼の三要素は、燃焼が発生するための必要条件であると学びました。
 ネット炎上においても、話題、共感、メディアの三要素が必要条件といえるのであれば、いずれかを取り除けばネット炎上は鎮まることになります。またそれぞれの組み合わせにより、拡散パターンも予測できるのではないでしょうか?このあたりを、今後突き詰めて考えてゆきたいと思います。

【書いた人】 
福田 浩至
株式会社ループス・コミュニケーションズ副社長 多数の企業にて、ソーシャルメディアの効果的かつ安全な運営を支援しています。 特に、企業のソーシャルメディア活用におけるルール「ソーシャルメディア・ポリシー」策定や啓蒙教育など積極的な守りの仕組みづくりが専門領域です。

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