94353_normal_1562221858_スクリーンショット_2019-07-04_15

正しいものを正しくつくる見える化大作戦

正しいものを正しくつくる」「WEB+DB PRESS 見える化大作戦」のコラボイベントに参加しました。会場は駅すぱーとのヴァル研究所さん、会社見学ツアーテスト駆動飲み会で来たことがあるので3回目です。
今回の会は3部構成で

第1部「見える化大作戦」の執筆の裏側
第2部「見えないものを見ようとして僕らは何をのぞきこむのか」
第3部「対談:正しく〜するには」

といった流れでした。

第1部「見える化大作戦」の執筆の裏側

ヴァル研究所のCTO見川さん、カイゼンエバンジェリストの新井さん、UXデザイナーの伊藤さん3者の共同執筆における裏側の話です。

1章
冒頭を担当した伊藤さんの一番書きたかったことはヴァル研究所の「見える化を見える化」するということで作ったマインドマップでした。こちらが今回の特集の構成となっており、チームの活動、個人の活動、コラムの大きな幹から各章が伸びています。

本編
を担当した見川さんはチームの状態の見える化とプロダクトの状態の見える化について、カンバン、XFD、あんどんについて説明しています。この他にもやった見える化は数多くあったが、時代を超えても残り続けたこの3つについて執筆したようです。大事なのはやり方ではなく目的、自分たちが必要だと思ったらやると語っておりました。

2章を担当した新井さんはチーム力がアップする仕事の流れの見える化でVSM(バリューストリームマッピング)とリリーストレインを書いています。リーダーが一人で作って共有するのではなくみんなで制作するという制作活動自体が自分ごとにすることができるので重要と語っておりました。ECRSについては書きたかったけど書けなかったことで、カイゼンジャーニーのコラムに載っています。

3章は新井さんと伊藤さんの執筆で簡単にできて作業を楽しくする成果の見える化です。作業を楽しくする例として、バス会社さんごとに異なる時刻表のフォーマットを整備する作業を、国取りマップを作成して行なっているとのこと、バス会社さんは越後交通など旧国名を使っているとことが多いので、旧国名の地図を使って楽しさを出しているようです。
100円ショップで買えるもので揃えることにより、簡単に始められる。そして簡単に辞められるということがポイントと語っていました。

4章も新井さんと伊藤さんの執筆で相互理解を深める気持ちの見える化です。価値観ババ抜き(マインドの共有)、ドラッカー風エクササイズ(期待値のすり合わせ)、もやもやボード(違和感の共有)、サンクスボード(感謝の共有)についての話でした。見える化するだけでは長続きしない、見える化は対話のきっかけであり、対話することこそが重要と語っておりました。

5章は新井さんの成長を促す経験の見える化です。プラクティスは振り返りと多能工星取表の紹介でした。見える化することは手段であって、相互作用を行うための場づくりという言葉が印象的でした。また、振り返りではKPTの場合はProblemのような失敗や問題が露出されることがありますが、失敗では学びという位置付けにし、ポジティブに捉えることがポイントなようです。

執筆秘話
執筆活動はGithubを使った執筆で、Slackでデイリースクラムとスプリントレビューを行うという形で行なっていたようです。会社の期末が6月だったため、執筆の詰めの作業とかぶる。各個人的にもCodeZineの記事、新卒採用、DevOpsDaysなどがあり、各々が旅行先のホテル、公園のテントなどで執筆に追われていたとのことです。次号の予告にのった時は流石に焦り、叱咤激励「真剣にやれよ仕事じゃないんだよこれは」(W)を飛ばし、やりきったようです。

第2部「見えないものを見ようとして僕らは何を覗き込むか」

「正しいものを正しくつくる」の著者 市谷 聡啓さんの登壇です。資料はSlideShareにもう上がってました。見える化大作戦とのコラボということもあり、プロダクト開発におけるプロダクトの見える化とチームの見える化がテーマでした。

プロダクトについての5つの見える化

・「仮設」の見える化 → 仮設キャンパス
・「検証計画」の見える化 → 検証キャンパス
・「ユーザー行動」の見える化 → ユーザー行動フロー
・「理解」の見える化 → アクティングアウト
・「仮設と理解」の見える化 → プロトタイプ

「理解」の見える化では、魚市場で使うアプリを開発するために、何度も現場に行くことはできないので、現場で撮った動画を元に自ら想定するユーザーになりきり、現場をオフィスに作り上げ演じるというアクティングアウトが印象的でした。「仮設と理解」の見える化では、現実歪曲をするためのノンコーディングプロトタイプとして、すでに存在する他のアプリを使って検証するというのが新鮮な考えでした。

チームについての3つの見える化

・「関係の質」の見える化 → ドラッカー風エクササイズ
・「思考の質」の見える化 → 言語化、イメージ化
・「行動と結果の質」の見える化 → ふりかえり、むきなおり

成功循環モデルの関係の質、思考の質、行動の質、結果の質を元に説明していただきました。
「関係の質」ドラッカー風エクササイズでは正のA面と負のB面について説明
負のB面は初めて知りました。

ドラッカー⾵エクササイズA⾯ (正)
・⾃分は何が得意なのか?
・どういうふうに仕事するか?
・⾃分が⼤切に思う価値は何か?
・チームメンバーは⾃分にどんな成果を期待していると思うか?
ドラッカー⾵エクササイズB⾯ (負)
・⾃分は何が不得意なのか?
・どういうふうに仕事してしまうか?
・⾃分の地雷(踏まれると爆発すること)は何か?
・むかし、チームメンバーの期待に応えられなかった事件とは?

「思考の質」言語化では仮設キャンパスやインセプションデッキ、イメージ化では世界観のスケッチを行い。言語化とイメージ化を繰り返し思考の濃度を高めていくとのこと、ゴールを先に置き認識を合わせることにより思考の質のムラを減らすのがポイントのようです。

「行動と結果の質」ふりかえりでは現在を捉え直しいまの行動の質を上げる。むきなおりではありたい姿を描き、到達点を変えていくようです。
見える化大作戦でもありましたが、うまく行ったことも、失敗も成果「具体的な成果=チームに撮っての学び」として質をとらえ続けチームの段階を上げていくのが大事なようです。

対談:正しく〜するには

正しく共著するには
インセプションデッキを作り、書くこと書かないことをトレードオフスライダーを使い判断する。
デイリースクラムを回し、毎週月曜日はスプリントレビューを行う。
誤字脱字のチェック、てにをはのチェックなど目検でやるのが辛いので、モブワークでやるなど、プロダクト開発と変わらなかったようです。

正しく場づくりするには
見える化を行うための場づくりは、リーダー陣が自らバカなことをやってみせ、やっていいんだという雰囲気を作る。
自由を与え干渉しないようにするのがポイントなようです。

感想

重要だと思ったポイント

・見える化は簡単に始められる。簡単に辞められるようにする。
・見える化した後、見える化されたものを使い対話を行う。
・みんなで行うことにより自分ごと化する。
・失敗を悲観しない、失敗は学びである。
・ユーザー行動を理解するために、場を作り役を演じきる。
・成功循環モデルの出発点の関係の質を高める。

対談の後の質問で、自分からヴァル研究所さんの見える化はスクラムマスターのような方が推進しているのか?という質問をさせていただきました。
回答として各現場のメンバーがそれぞれ自由にやっているとのことでした。
どうやったら、そのように現場自ら動くようになるのか疑問でしたが壁に貼ってある行動指針を指差していただき納得しました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?