見出し画像

Surround me Music, Feel Good #22-2:TAMTAM "Ramble In The Rainbow" Release Party ライヴレポート

恵比寿ガーデンプレイスの敷地内にある『BNP(ブルーノートプレイス)』にて、21日夜に開催されたTAMTAMの『Ramble In The Raimbowリリースパーティー』を楽しんで来ました。

TAMTAM
Kuro(Vo&Syn)
Affee Takahashi(Dr)
Yuthke(Gt)
Haluna Ishigaki(Ba, Cho)
GUEST 
"Deeply" Fukai(Gt, Cho)
Kyotaro Hori(Tp, Cho)

DJ
HALU(Trival Connection)

SETLIST(順番合ってないとこあるかも)
【前半】
Worksong!
Summer  Ghost
遠望のあなた
SOUTH
サン・ラのカヴァー
Nue
【後半】
Doors
山を下りる
ドラゴン・イン・ザ・ラグーン
ESP
YMOのカヴァー
最新曲
虹の彷徨
【EN】
カナダ

平日ど真ん中の夜ということもあり、客席には仕事上がりでスーツ(シャツ&ネクタイ)姿の方もチラッといる。そんなすべての「日常のヒーロー」を讃える、あらゆる労働者への賛歌worksong!から開始。続くSummer  Ghostは彼らのアイデンティティーとして重要なルーツDUBレゲエのスタイルでイントロダクション。

この2曲始まりは、1月に沖縄で開催された「MUSICLANE FESTIVAL  OKINAWA」に出演の際も採用されており、まだまだ冬の寒さある季節に、暖かな太陽や光、陽気を召喚していた。

最新アルバム『RAMBLE  IN THE RAINBOW 』から最初に登場したのは、アルバムエンディングの曲である遠望のあなた。音源では、シンセの密度感の変化や、エフェクトありのKuroのヴォーカルが乱反射する様が美しく、滲むような印象だが、ライヴ演奏ではコーラスをHaluna Ishigakiとゲストプレイヤー二人が担当し、Kuroのヴォーカル自体もライヴ的なアプローチ。また、音源ではシンセなのかもしれないが、自分の耳にはエフェクトをかけたトランペットに聞こえていた中間部のソロをゲストのKyotaro Horiが奏でていて、その暖かさと郷愁ある音色に聞き入った。

久々に選曲されたと思われるSOUTHはアルバム『EASYTRAVELAR'S MIXTAPE』のオープニング曲。タフな印象のドラムサウンドとギターリフに序盤からワクワクする高揚感がある。ドラムスがまた違った印象の音色に仕上げてあって、…というか、彼らの演奏は、ライヴで音源と同じイメージのまま弾かれることは皆無とは言わないまでも、ほぼ無い。常に「現在」のアレンジだ。

カヴァー曲では、スピリチュアルジャズのサン・ラの作品を今夜だけの、TAMTAMのバンドスタイルで披露したわけだが、クラシック音楽のモーリス・ラヴェルや、例えば(あくまで一例として)ウェイン・ショーターのような印象派からその後に普及したJAZZ的な響きのバンドアレンジに仕上げられていて、これが死ぬほどかっこよかった。まだライヴ前半なのに…、聴いてて自分、あまりにかっこいい響き過ぎて死んじゃうかと思った!!

「オンベースHaluna Ishigaki!!」のアルペジオリフがダークムードへと誘うNueにおいても、ツインギターとの弦楽アンサンブルがライヴアレンジならではの感興を覚えさせるアプローチで、音量や音数の増減が素晴らしい。ドラムス、ベース、ギター、シンセ、トランペット、ヴォーカル、コーラスすべてが蓄積され、高まり、存分に盛り上げて前半ステージから去っていった。

休憩を終えての後半では、アルバムオープニング曲のDoorsに始まり、山を下りるとのアルバム繋がりが、まるで組曲のようなテンションで続けて演奏された。どちらも全体の音楽の密度や立体感が音源から調整されていて、DUBアレンジも異なるものに。

それらのアルバム曲(でも音源とは違う)と共に、現在の最新モードを象徴した新曲ドラゴン・イン・ザ・ラグーンは、信濃川の渓流を見てインスピレーションを受けたものだという。音楽で表現される竜の姿は、まさに今夜のライヴやこれからの作品を予感させる。そして、新たな躍動感や期待を感じさせるものでありつつ、どこか親しみや愛らしさがある。

攻めたことをやっていても、決して攻撃的だったり、排他的なニュアンスとはならないTAMTAMのグッドバイブスが響き渡っていた。

ステージ後半では過去作品の中からESPが選ばれており、この曲はKuroのソロプロジェクトでもライヴ演奏されたりしているし、じっくりとしたムードでありつつ「HI」になる曲想。またトランペットソロの煌めきが、会場のBNPの空間とも共鳴していて、最高に都会的なムードだった。

さらにはYMOのカヴァー、そして最新曲へと続いたセットは、オーディエンスが初めて経験する音楽に満ちているのも事実。けれど、YMOへのリスペクトや、新曲でのハンズクラップと鈴、そして海のモチーフなど、私たちが本来、身近にずっと知っている音楽(音、音色、響き)でもある。

それらの印象からは、アルバム『RAMBLE IN THE RAINBOW』やその中でもとりわけニューエイジミュージック的な語彙との共通項が見出だせ、現在のモードでありつつ過去との連続性が確かにある。TAMTAMのライヴを聴いていると、そのダイナミズムの中に美しさ、楽しさ、親しみを再発見できる。

エンディングには、アルバムタイトル曲である虹の彷徨が奏でられ、肩の力が抜けていることや優しさと共に、力強さや生命力を感じた。

アンコールでは久々のカナダ!ポピュラーソングとしての側面も強い、彼らの名曲の一つ。今ここBNPでの共感・共存・調和の一夜を、最後にもう一度照らしてくれて終えた。

[過去記事]


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?