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エンジニア採用担当のお仕事

この記事では、私が事業会社でのエンジニア採用担当時代に経験した業務についてご紹介します。

求められるスキルの話ではなく、実務の紹介に振り切った内容です。「エンジニア採用を担当になったけど実務ベースのタスクには何があるんだろう?」という新人エンジニア採用さんの参考になりますように。

エンジニア採用市場・トレンドを知る

エンジニア採用担当として、まずすべきことは「エンジニア採用市場やトレンドのキャッチアップ」をすること。

いくら現場メンバーや開発責任者が採用活動自体に協力をしてくれても、彼らは「採用のプロ」ではありません。

「エンジニア採用が難しい」と肌感で感じていても、採用市場やトレンドまで知っていることはほぼないでしょう。

現場としては「教育コストをかけずに済む優秀な人がほしい」というのが本音。現実とのギャップを考えず、採用要件をやたら高くしてしまいがちです。

エンジニア採用担当は「採用のプロ」として、エンジニア採用市場を把握し、採用要件のバランスなどを調整することになります。

求人倍率や採用活動のトレンドなどは必ずチェックしましょう。

▲まとめ記事のチェック、人材紹介各社のレポートなどを参照してみる

役割分担を考えよう

多くの企業でスクラム採用が取り入れられるようになり、採用活動に「人事担当者以外の現場社員」が関わることも多くなってきたのではないでしょうか?

とくにエンジニアは、技術的な知識が要求されたり、一口にエンジニアといっても専門分野や、スキルの違いによって、人事担当だけでは見極めが難しく、関わる人も多くなる傾向があります。

<エンジニア採用に関わる可能性がある人たち>
・現場エンジニア(一緒に働くことになる人)
・PM
・同じチームのビジネス職(場合による)
・開発本部長、CTO、VPoEなど技術職の責任者
・エンジニア採用担当

これらの採用に関わってくれる人たちのポジションに応じて、役割分担を決めておくと「これって誰がやるの?」「どのくらいリソース割けばいいの?」という混乱が起こりません。

それぞれの役割の担当者が円滑に進められるように、立ち回るのがエンジニア採用担当のミッションでもあります

以下は役割分担の例です。

現場エンジニアの役割

・レジュメ、GitHubなどを元にした技術スキルのチェック
・カジュアル面談、面接対応(技術面・人柄のマッチを中心に見極め)

PMの役割

・自社プロダクト・サービスの詳細を説明
・面接対応(ビジネス職も含めてチーム全体とマッチするかの見極め)
・候補者が活躍できるポジションを提供できそうかを検討します。

<同じチームのビジネス職>

・面接対応(チームメンバー(自分たち)とマッチするかの見極め)

技術職の責任者の役割

・エンジニア採用のための組織・制度作り
・採用要件の検討
・選考フローの検討
・面接対応(最終判断)

エンジニア採用担当の役割

・採用の全体進捗管理(進行ディレクション)
・原稿作成・
スカウト送信・候補者ピックアップなどの採用実務
日程調整等のサポート業務
・エンジニア採用関係のフォロー全般

キックオフを開催しよう

新しいポジションを募集することになったら、採用に関わるメンバーを集めてキックオフMTGを開催しましょう。

「どの課題を解決するための募集か」「役割分担の確認」などをはじめ、求める人物像や入社後のキャリアプランなどを採用チームの共通認識として持つことが目的です。

キックオフの内容は議事録を残し、いつでも「振り返り」ができるようにしておきます。

※JDや利用媒体などの細かい調整はキックオフ後に非同期で行ってもよい

採用活動スケジュールの調整

キックオフで全体的な方向性が決定したら「いつまでに・だれが・何を」するのかというスケジュールやタスクのコントロールはエンジニア採用担当の仕事です。

求人の緊急度や採用難易度、採用チームのリソースなどさまざまな視点から活動のスケジュールをひきましょう。

媒体の選定をしましょう

自社が求めるターゲット層や予算、自社の体制などに応じて最適な媒体の調査・選定をしましょう。

エンジニア採用において、代表的な媒体を特徴を踏まえてご紹介します。

【転職ドラフト】
・成果報酬型
・転職活動に対する
・毎月1回の指名期間中に参加者に対してオファー金額を提示してスカウトを行うドラフト会議形式
・指名期間を過ぎると参加者の閲覧や指名ができなくなるためスケジュール管理が重要
・アウトプットがしっかり出ている前提なのでベテランエンジニアにもアプローチしやすい
【Green】
・求人掲載無料の成果報酬型(成果報酬が一律料金なのでコスパが良い)
・通年利用できる
気になる機能を利用して、登録者にアプローチしやすい
・自社に最適な候補者に巡り会うためにはある程度の行動量が必要
・未経験から若手エンジニアがターゲットが多い
【LAPRAS SCOUT】
・システム使用料の支払いが前払いで必要(年間契約or半年契約)
・使えば使うほどコスパが上がる
・AIが自社にマッチした候補者を高い精度でレコメンドしてくれる
・スカウトメールの作成をサポートしてくれる
・幅広い技術力の層にアプローチが可能だが、転職潜在層がメインのため長期的なアプローチが必要
【athletics】
・システム利用料の前払いがあるが、最初の1名を採用した際の成果報酬は0円のため、1名採用できればペイできる
・転職ドラフトと同じく開催期間が決まっている、ただしオファー金額の提示は必須ではない
・事前にアルゴリズム、Web実装、AI・機械学習、データサイエンスなど、ユーザーのスキルが可視化されており、判断しやすい。
・若手〜ミドル層がメインターゲット

このほか、媒体は複数ありますが、とくにおすすめしたいものをご紹介しました。ご参考まで💖

求人票の作成をする

採用要件が固まったら、求人票の作成をします。

・自社サービス、プロダクトの概要
・所属チームの説明
・募集ポジションのミッション
・具体的な仕事内容
・募集ポジションで得られる経験(キャリアパスなど)
・WANTスキル、NEEDスキル
・給与レンジや福利厚生など待遇面

求人票の下書きを完成させて、採用チームのエンジニアたちにも確認してもらいましょう。「エンジニアから見て魅力的な求人になっているか」はとても大事。

求めるスキルが技術タグの羅列にならないように気をつけましょう。

スカウト準備

攻めの採用手法であるダイレクトリクルーティング。エンジニア採用にスカウト送信は欠かせません。

スカウトサービスを利用する場合は、検索条件で対象者を絞って、ピックアップ→スクリーニングしましょう。

検索条件は、採用要件で外せない技術タグや経験年数などを元に設定します。

また検索条件を決める際には、その条件で候補者がでてくるか(条件が厳しくなりすぎていないか)を確認しましょう。

基本の採用要件はもちろん、以下の点もチェックしながら、スカウトリストを作成します。

・直近の職務経歴などで自社にマッチする部分があるか
・SNS等でのネガティブな発信の有無
・ブログや Qiita 記事などのリンクがある場合は確認する

スカウトリストを作成する際には、エンジニア採用担当が「よい」と思ったポイントもメモ書き程度で構わないので、入力しておきましょう。

そうすることで、他の採用チームメンバーも「どこを中心にチェックすればいいのか」はっきりし、認識のすり合わせもできます。

スカウトリストを精査する採用メンバーには、スカウト送信の可否だけでなく、具体的に良い点・共感ポイントを必ず共有してもらいましょう。

エンジニア採用担当の大切な役割の1つに、採用メンバーの思いを言語化して、スカウト文面を代筆するというのがあります。(チームや企業によっては、エンジニアが直接書くこともある)

下記を踏まえて、魅力的なスカウトメールを作成しましょう。

・自社の説明は大前提として加える
・テクニカルな話はしっかり理解した上で文章にしていく
・ちょっと恥ずかしくなるくらい素直に褒める

・ただ漠然と良いのではなく、具体的にどのアウトプットがいい、どんな志向が素晴らしいなどを具体的に書く
EX.「●●様の〜ところが弊社のエンジニアにも刺激になると考えております」
・自社が提供できることもきちんと書く
EX.「弊社には▲▲な文化があり、●●様にパフォーマンスを発揮していただきやすい環境だと考えております」

チームのメンバーで協同して制作するものなので、連携は密に取ることが重要です。

候補者をフォローする

私の個人的なこだわりですが、とくにスクラム採用の場合「候補者のフォローは徹底する」を心がけています。

よい候補者であれば、候補者の伴走者として積極的に選考のフィードバックなどアドバイスをすることも。

選考官の役目は他のメンバーにお任せして、候補者のサポーターになることもあります。

・候補者からの応募、問い合わせ対応
・書類選考や面接、コーディングテストなどの選考案内
・人事面談対応
・面談・面接後のフォロー

人事面談とは、面談・面接の前に「今日はどんな話を聞きたいか」など簡単なヒアリングを行うことです。最初の10分ほどで候補者の緊張をほぐしたり、人柄をチェック。

面談・面接担当のメンバーにヒアリング内容を共有して、バトンタッチをします。(個人情報取扱い同意書、コーディングテスト用にNDA取得する場合もあります)

面談・面接の終了後も再び人事が候補者とお話し、疑問点が残らなかったかなど確認し、場合によっては「お礼メール」とともに残った疑問点の回答なども行いましょう。

※選考フェーズによっては、人事ではなく最初から最後まで面接担当者が候補者対応をするケースもある。

ATS(採用管理システム)の整備

こんな細かいこと当たり前だと思うかもしれませんが、採用活動を本業としない現場メンバーにとって、候補者の評価入力はうっかりこぼしがち。

時間が経てば経つほど、記憶が薄れて正確な評価ができなくなります。

面談・面接後には必ず「ATSへの評価入力依頼」もしくは「ヒアリング」を行いましょう。

候補者の離脱防止のためには、スムーズな選考結果の共有は重要です。少なくとも面談・面接の1営業日以内には入力してもらいましょう。

入力が遅くなりそうな場合は、エンジニア採用担当から大枠の評価をヒアリングし、候補者へ連絡します。

広報ブランディング活動

すべての採用に言えることですが、自社の魅力を伝えられるかどうかが「採用成功のカギ」です。

エンジニアの場合は、開発に集中できる環境か・どのようなプロダクトがあるのか・どんなキャリアパスがあるかを中心に、情報発信すると効果的。

とくにスカウト送付の際には、会社のネームバリューや情報の有無によって、返信率に明確な差がでます。

エンジニアに会社を知ってもらうには、技術ブログでの発信のほか、もくもく会やLT大会などエンジニア向けのイベントを開催してみるとよいでしょう。

即効性のある採用施策ではありませんが、潜在層に自社をアピールできる有効な施策です。

connpassなどで集客をすれば、参加者をタレントプール化できるので、有益な情報交換に活用したり、イベントに積極的に誘うといったアクションを起こしましょう。

継続的な情報発信を続けることで「●●社は役立つ情報を提供してくれる」と好印象を持ってもらい、転職を考えたときの候補企業の1社に加えてもらえるのです。

逆にせっかくイベントや開発ブログをはじめても、3日坊主で更新が途絶えたりすると、マイナスイメージをもたれかねません。

開発ブログを人事が書くことは難しいですが、計画倒れしないように、定期的なアウトプットを促したり、CTOなどエンジニアを束ねるポジションの人にアウトプットに対する評価を検討してもらうアクションが求められます。

選考フローの検証

適切な選考フローであるかの検証もエンジニア採用担当が検討すべきです。

選考フローはすべて一緒ではなく、募集ポジションによって変更したほうがよい場合があります。

以下の選考フローは、募集ポジションによって個別に検討した一例です。

【ポテンシャル・若手エンジニア】
書類選考+コーディングテスト(アルゴリズム・実装)→一次面接(開発本部長)→二次面接(現場エンジニア)→最終面接(チームマネージャー+社長)
【ミドル層】
書類選考+コーディングテスト(アルゴリズム・実装)→一次面接(現場エンジニア)→二次面接(チームマネージャー+現場エンジニア)→最終面接(社長)→ペアプロ(現場エンジニア)
【エキスパート(ハイクラス)層】
書類選考→一次面接(現場エンジニア)→プレゼン用課題提出→二次面接・プレゼン課題に対するディスカッション(現場エンジニア)→最終面接(チームマネージャー・社長)→ペアプロ(場合によっては1日体験入社)

エキスパート層は、スカウトやリファラルの場合が多く、書類選考は割愛される場合が多いかもしれません。

決して上記のフローがベストではなく、あくまでも参考です。

ただし、求めるスキルが高いポジションであるほど、選考で見極めなくてはいけないポイントも多くなります。

逆に過剰に課題を出しすぎて候補者の負担になることも避けなくてはいけません。

要するに大切なのはバランス。スキルの見極めができ、その上で候補者に過度の負担を与えていないか、冷静な視点を持ちましょう。

会社のフェーズや採用トレンドなどの動向をチェックしつつ、定期的に選考フローにメスを入れることも重要です。

最後に

人事と言えども、エンジニア採用担当には「最低限のエンジニアリング知識」が求められます。

もともと技術に興味があった、元エンジニアという場合を除き、多くの採用担当者が「エンジニアリングには詳しくない」のではないでしょうか。

そんな方はぜひ、LAPRASが公開しているブログや、元・LAPRASで現在フリーで活動されている中島さんのnoteをチェックしてみてください。

エンジニア採用担当に必要なエンジニアリング知識をわかりやすくまとめてくれています。

エンジニア採用担当者、必携の書。

最後にエンジニア採用担当がもっとも大事にすべきことをお伝えします。

それは「エンジニアと仲良くすること」

何を言ってるんだと思うかもしれませんが、同じ採用チームとして、エンジニアを理解し、こまめにコミュニケーションを取ることは大切です。

忙しいのに申し訳ないと過剰に思う必要もないと思っています。採用は現場のメンバーのメリットにもなること。一緒に組織をよくする仲間として、対等に接しましょう。

エンジニア採用は年々難易度が高くなっており、採用活動が長期化する傾向にあります。

自社にマッチする優秀な人材を獲得するには、組織的な協力が不可欠。関係者全員が力を合わせて採用活動をしていくことが求められているのです。

この記事でご紹介する業務内容はあくまで一例です。
企業規模や業種、企業文化やルールによって異なりますので、予めご了承ください。

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エンジニア採用担当のお仕事の記事はこちら

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