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採用マーケターのお仕事

採用マーケティングという言葉も人事界隈では、メジャーになってきました。とはいえ、具体的に「どんなことをしているのか」なかなか説明が難しい……。

この記事では、新人採用マーケター時代にぶち当たった実体験に沿って、なるべく実務ベースの業務内容や施策例をお伝えします✨

これから採用マーケティングに挑戦したい、という方の参考になれば幸いです。

採用マーケティングとは?

採用マーケティングの概念については、他の記事にお任せしますが、全体的な流れや事例の情報収集はとても大切です。

マルケトさんの記事にある「採用ファネル」は特に基本として知っておきたい。

▲採用マーケティングのおすすめ記事(マルケトさん)

ざっくりとした言葉でいうと、採用ターゲットと企業がお互いハッピーになれるようお互いのニーズを先読みしながら、採用の戦略を創造する戦略的活動だと思います。

マーケティングの知見のもと、母集団の形成やナーチャリングをすることはもちろん、場合によっては「オフィス環境、キャリア提示(ポジション)、人事制度、人材開発」の改善もしていくのです。

自社理解と採用の要素分析

まず最初に取り組むべきは、自社理解と採用の要素分析。ここをぼんやりやってしまうとそもそもターゲットの選定や魅力づけが難しくなってしまいます。

マーケティングのフレームワークである、3C分析やSWOT分析を取り入れて、自社と競合、市場の分析。そして自社の強みと弱みをしっかり把握しましょう。

▲3C分析例からSWOT分析解釈例がわかりやすい記事(シナプスさん)

さまざまな視点を持ち分析をすることで、採用施策のヒントを見つけることができます。

なお、競合とは、いわゆる「同業他社」だけではありません。「採用競合」は、募集ポジションによっても変わります。

セールスの採用競合、エンジニアの採用競合をマークして、他社の採用メディアやセミナーなどから情報収集をしましょう。

私は人事コミュニティに参加をして、他社の採用担当の方と密にコミュニケーションを取ったりしました。

ターゲット選定・ペルソナ設計

自社の人員計画(いつ・どのポジションを・何名採用するか)を踏まえて、求める人材の要件を見極め、優秀な人材像をペルソナとして可視化します。

ペルソナは、採用要件・自社で活躍している社員の共通点・過去の候補者の共通点などから要素を割り出し、具体的に設計していきましょう。

▲まるで本当に存在する人物くらい詳細に!

ペルソナは1つ決めればOKではなく、自社の募集ポジションごとに設定することが大事です。

採用計画の立案

自社理解と要素分析、ペルソナ設計までできたら、採用ターゲット獲得のために「具体的に何をすべきか」を計画に落としていきます。

ここで大事なのが、採用ターゲットのチャネル(潜在層・顕在層・候補者)ごとに優先順位を決めること。

あれもこれも最初から全部やろうという計画は必ず潰れます……。できること、やらないといけないことを「理想的に全部やる」に振り切ると溢れるのです。

そして計画はなるべく細かく設定しましょう。

・ATS(採用管理ツール)未導入であれば、いつ・どのツールを導入する。
・MAツール利用の要・不要
・自社の採用サイトはどうすべきか
・いつ・どの媒体を使う
・リファラルやる・やらない
・採用広報は?(公式メディアを作る?SNS運用はどうする?YouTube?)
・採用イベントはどうする
・ダイレクトリクルーティングは?

やるべきことはたくさんありますが、前述の通り「最初から全部」はできません。費用対効果やインパクトを考えて、着実にこなせるプランにします。

また「いつまでに・だれが・何をやる」をタスクベースまで落とし込んで、計画倒れのリスクを減らしましょう。

KPIの設定

採用計画をもとに、KPI(重要業績評価指標)を設定するのも重要です。

採用マーケティングの実施は「定性的な要素」だけでなく「定量的な要素」も必ず目標に加えましょう。

Google AnalyticsやATSの数値をもとに目標数値と指標を立てます。

採用計画とKPI設定が完了したら、いよいよ目標の達成を目指して、アクション開始。ここからは、施策例を少しだけ紹介します。

自社採用サイトの運用

自社の採用サイトは「とりあえず、あればいいや」になりがち。そうならないようにきちんと数値の管理をして、運用しましょう。

Google Analyticsは必ず入れてください。訪問数や直帰率、CV数の確認は必須です。

ヒートマップを導入して、サイト訪問者導線確認をしても良いでしょう。訪問者が離れてしまうポイントを1つずつ潰していきます。

UI/UXに問題はないか」「求人票は伝わりやすい内容か」は、繰り返し検証が必要です。

また採用サイトで「採用ピッチ資料」を公開している場合は、最新の状態に保ちましょう。毎年4月など節目節目でチェックするのがオススメです。

公式の採用メディア運用

自社に興味を持ってもらい、ファンを増やすためには「自社の魅力を伝えるメディア」があると中長期的なアプローチができます。

公式で運用するメディアは、最低でも下記の3つをしっかり検討してから運用を開始しましょう。(そうでないとブレる、辛くなる!)

・メディアテーマの決定
・ターゲットの選定
・媒体の検討(Wantedly, note,はてなブログなど)
・運用ルール・計画の作成(だれが、いつ、何をやる)
・向こう2ヶ月分の記事企画 ←めっちゃ大事

採用メディアと一口に言っても「働き方」や「働く人」にフォーカスする、エンジニア採用のために「開発者ブログ」に注力する、などアプローチ方法はたくさんあります。

媒体ごとにも特性があるため、情報発信したい内容やターゲットに合わせてメディアを検討しましょう。

テーマや媒体が決まったら、画像や記事などコンテンツ企画、運用のルールメイクなど土台を作っていきます。スタート時にどれだけ、具体的に運用イメージができているかはとても大事です。

多少時間をかけてでもしっかり行いましょう。

▲公式noteの運用についての記事もご参考まで。

SNSの運用

せっかく採用サイトや採用メディアのコンテンツを作り込んでも、見てもらえなければ意味がありません。

私は情報の拡散ができるような設計になっていない状態を「血流が悪い」とよく表現するのですが、どれだけ良質な記事や動画を作っても、その情報がターゲットに届かなければ、その努力は報われません。

現代社会において、SNSでの情報取得は当たり前。より多くの転職潜在層にアプローチしたいのなら、SNS運用はぜひやっておきたいです。(会社の特性にもよります)

いわゆる「中の人」としての活動は、会社によっては広報の担当かもしれませんが、採用施策として行うなら採用マーケターの仕事になる可能性があります。

▲SNS運用は炎上対策などのリスク対策もきちんと考えましょう。

動画マーケティング

近年、通信料金が定額制になるなど、通信インフラが充実したことで、動画マーケティングが注目されるようになりました。

「百聞は一見にしかず」ということわざ通り、動画は静止画の5000倍もの情報量が伝わる、1分の動画で180万字の情報を伝えられると言われています。

SNSとの相性がよく、SEOの評価やCV率も上がりやすいなどは、大きなメリットです。

一方で、社内で動画制作のリソースを割くのが難しい、外注はコストが高額になりがち、など踏み出すには勇気がいるかも……。

動画マーケティングの実施には「内部制作か外注か」を検討するためにも「どんな動画を何のために作るのか」をしっかり検討しましょう。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングは、企業による積極的な人材採用です。

従来の求人広告への掲載や人材紹介といった、自社以外の第三者に採用母集団の形成を依頼する手法ではなく、ミートアップイベントやスカウトなどを行う攻めの採用手法です。

イベントは必ずしも「採用向けのイベント」であるとは限りません。

たとえば、エンジニア向けの「もくもく会」や「LT会」などを開催して、参加者をタレントプールしたり、継続的に次回イベントのお誘いや参加者特典を送付するなど。

別軸からアプローチをすることで、参加者が転職を考えた時に「前にイベント参加した●●社も求人募集していたな、話を聞いてみようか?」という応募のきっかけになります。

企業側からも「あの時イベントに参加してくれた▲▲さん、今回募集するポジションに合うかもしれない」とスカウトメールを送ることもできるでしょう。

「connpass」などを活用すると、他社がどんなテーマで企画をしているかを知ることができます。一度リサーチがてら見ておきましょう。

▲集客のコンテンツとして、企業アカウントの登録をオススメします。

リファラル採用の導入

コストパフォーマンスの良い採用チャネルの代表格であるリファラル採用。得られる効果に対する期待も大きいですが、採用マーケター泣かせの「難易度高め」の施策とも言えます。

リファラル採用の導入には、既存社員の強力に対する報酬・評価をどうするべきか、そもそもの自社の評価制度などの制度設計が必須です。

リファラル制度を走らせる前段階で、社内の評価制度の担当者にプロジェクトに入ってもらい、企画を進めたほうが「そもそも論」で覆されるリスクが減ります。

施策の振り返り・データ検証

施策の例を紹介してきましたが、これらは実施して満足してはいけません。

それぞれの施策は、必ずデータに基づいた「振り返り」を行い、次の採用施策の改善に繋げます。

せっかく考え抜いた施策も結果を追わず「なんとなくうまくいったかも?」で終わらせてしまうと、いまいちワークしていない施策にリソースを割き続けることになったり、周囲からの評価が得られない悲しい結果に。

毎月や四半期ごとに、振り返りの期日とデータ分析の方法を決めて、設定したKPIを追っていきましょう。

採用プロセスの中で起きた問題や採用後のミスマッチ、応募率やイベントの反応、入社後のパフォーマンス、離職率も踏まえて、PDCAを回していくことが、採用マーケティングを成功させるための重要な要素です。

最後に

採用マーケティングは、採用のトレンドや企業規模、予算などによってもできることは変わります。

労働市場の候補者の動向やニーズの変化に対して、素早く対応できるように一度調べて終わりではなく、常にアンテナをはって「採用トレンド」のキャッチアップは欠かさないようにすること。

また、ある程度予算が必要な施策も多いため、社内調整能力も求められます。

幅広い業務を求められたり、すぐには成果が出なくて、心が折れそうになったり、その分成果が出た時には、喜びも一入です。

試行錯誤を繰り返しながら、自社の採用活動をより良いものにしていきましょう。

この記事でご紹介する業務内容はあくまで一例です。
企業規模や業種、企業文化やルールによって異なりますので、予めご了承ください。

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