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#26 どんなに辛くても絶対に眠れる瞑想法と、思いの花束、千羽鶴。シスプラチンの副作用について

先週金曜日、耳鼻科の診察があった。
気になっていた耳鳴りと眩暈、聞こえの問題は、一過性の突発性難聴らしい、ということで落ち着いた。適切な薬物治療を開始いただいていたので、検査の結果も良好だ。

耳鼻科の先生がおっしゃる。
「シスプラチンなどのプラチナ製剤の毒性が耳に及んだ場合、その聴力低下は不可逆的です。治療薬を変更するほかありません。」

フカギャクテキ
不可逆的。。
つまり、元に戻らない、ということだ。
今の聴力を取るか、この抗がん剤治療を続けるか。
すでに抗がん剤による聴力低下をきたしていた場合、そういう、恐ろしいトレードオフを迫られる瞬間に直面しうるのだ。
これが、がん治療化学療法の非情な現実である。

木曜日、無事に、CCRT3回目のシスプラチン投与が終わった。すでにアラフォー(アラフィフ、の方が正しいかもしれない。)のシスプラチンだが、その前投薬、併用薬などを含めた投与方法やレジメが劇的に進化したのだという。

このnoteで、何度も弱音を吐いてしまう「SIK39(痺れ、痛み、39度に達する高熱)」のうち、実は、痺れと、体力を侵食する猛烈な倦怠感と吐き気・不安感というのは、実は、シスプラチンの副作用なのだという。ゆえに、癌性の疼痛で、という表現は、少々乱暴だったのだ・・・、
(但し、毎夜毎朝悩ましい高熱は、ワタシの個性的な癌由来のようだ。)
ここに、皆様をご証人とさせていただき、ワタクシ自身、大いに反省いたしまして、過去note記載を適宜加筆修正させていただくことをお約束いたします。


シスプラチンを代表とする抗がん剤治療、化学療法は、40年以上の臨床実績、研究が重ねられ、副作用の低減や、治療下の患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)は劇的に改善してきた。が、しかし、依然として、ワタシのような…、忍耐・意志共に薄弱で、小心者かつ、解脱にはあと3輪廻ほど必要とするワタシのような未熟者には、内心ぎゃんぎゃんと喚きたくなくなるほど副作用が苦しい、という事実がある。それが、まだ、広く一般の見解で、世の中に流布しているのだろう。

そして、一般に、がんの疼痛それ自体は、ワタシの、この素性の良くない(?)再発がんは別として、モルヒネなどの痛みのコントロール次第で、苦にならない。つまり、癌の進行はさておき、抗がん剤治療をせずにおれば、それまでと変わらない日常生活を送ることは可能と言える。

ここに、祈祷、まじない、魔法の水に、大きな壺で、誰それの癌が消えたと聞けば、縋りたくなる気持ちも、今なら、少しだけ理解もできる。売れっ子の女優さんなら、1年近くの不在は大きいだろう。治療による容貌の変化も甚だしい。。

ある芸能プロダクションの方に教えていただいたことだけれど、一般的な日本人にとって、顔と名前が一致する芸能人というのは、いつでも大体1万5千人から2万人くらいで、そのうち9,000人が歌手、残りがタレント、俳優、芸人、なのだそうだ。
そして、このパイは大きくはならない。
世間の人の記憶力、という、キャパシティの問題だ。
この2万人の椅子は、凄まじい椅子取りゲーム、下剋上敗者復活戦アリアリの大争奪戦なのだという。
よもや、キラキラしている後輩の面倒を見ようなんて気持ちは起こらない。自分の座っている椅子をとってしまうかもしれないからだ。そういうプレッシャーの中で毎日を生きているとしたら…?

やっぱり、大切なのは、想像力だ。心を寄せなければわからないことばかりだ。
でも、でも。
仕事の前に、一人の人間として、誰かを愛し、愛される人間として、命ある限り、生きてほしい。

標準治療の先に掲げられる治療目標にはいろいろあるが、患者の状態や病気によっては、「完治」という医学に基づく確実な希望があるのだ。ここに、大きな違いがある。

そして、今。
悪魔のような抗がん剤だって、意志薄弱のワタシのような軟弱人間だって、皆様の温かい応援のおかげで、乗り越えられる程度になってきている!
朗報だ!

辛い夜。どんなに辛い時でも、必ず眠りにつける瞑想というのがあって、それを是非ともご紹介させていただきたい。
これは、病気になる前から、仕事やプライベートの心配や悩みのために、頭の中で渦巻く辛い思いに囚われて、寝付けない夜に、いつも、圧倒的な効力を発揮してくれた。

ティック・ナット・ハン先生から教えていただいた、慈悲の瞑想である。

私が、幸せでありますように。
私の、痛みや苦しみが消えますように。
私の、願い事が叶いますように。
私に、悟りの光がありますように。
私が、幸せでありますように。

私につながる命が、幸せでありますように。
私につながる命の、痛みや苦しみが消えますように。
私につながる命の、願い事が叶いますように。
私につながる命に、悟りの光がありますように。
私につながる命が、幸せでありますように。

生きとし生けるものが、幸せでありますように。
生きとし生けるものの、痛みや苦しみが消えますように。
生きとし生けるものの、願い事が叶いますように。
生きとし生けるものに、悟りの光がありますように。
生きとし生けるものが、幸せでありますように。

慈悲の瞑想:ティック・ナット・ハン
『沈黙 雑音まみれの世界の中の静寂のちから』

どんな雑念、妄念が頭の中に渦巻いていても、これを3回も繰り返せば、不思議と雲散霧消する。そして、呼吸が穏やかになる。
今、ここに生かされて、穏やかに息をする自分が、客観的に見えてきて、先ほどまで身体中をとらえていた悩み事が意識から剥がれていることに気づく。

すると、いつの間にか、ちゃんと眠りに落ちるのだ。ぜひお試しください。


個人の内面の平和は、世界の平和につながっている筈だ。前にも書いたけれど、その細い回廊を探し出して、どうやったら、みんなでそこを進めるのかを考えるのだ。そのために、私は、治療を、頑張り抜く。


母のこと。
レクサスのマルちゃん(大阪の健康麻雀教室のお友達)から、最近お顔が見えんで、寂しいですよとお電話があったらしい。母は、娘が辛い闘病しているので、願掛けのために何か好きな物を断つと言って、麻雀断ちをしている。ちなみに、夜のお酒か麻雀かで迷ったらしい…。
そんなことをしなくても、毎日、病室に通ってきてくださるそのお姿は、仏様そのものですよ、お母様。
全ての人の中に宿る仏性、を見た想いがした。


写真は、会社のお友達が届けてくれた千羽鶴。
センス抜群の彼女が、会社のみんなに声をかけて、みんなで折ってくれたもの。
上品な千代紙の、美しい色、かたち、優しい気持ち、愛。
温かい涙があとからあとから、止まらない。
絶対に良くならないとバチが当たる。




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