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【マンガ業界Newsまとめ】Webtoon単独作月間売上2億円到達目前、『終末のワルキューレ』縦化即全PF展開 など|10/22-124

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ業界向けイベントIMARTを運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、多くの方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。

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日本のwebtoon市場、“月間販売額2億円時代”が目前に LINEマンガオリジナル『入学傭兵』を筆頭に人気作続々

LINEマンガのオリジナルWebToon作品『入学傭兵』が、日本国内で2023年9月の月間販売金額1.8億円を超えて2億円時代が目前とのこと。

2億円の売上というのは、1冊500円のコミックスで換算すると、40万部の売上となります。
初版100万部作品がゴロゴロいる日本の大ヒットマンガに比べるとまだまだですが、これを映像化の力を借りずに実現するのは、モメンタムとしてWebtoonが伸びている証左にはなるかと思います。

なお、
Webtoonの日本上陸が、comico開始の2013年10月(ちょうど10年前)
1作品の月間売上が1億円を超えたという発表が2020年4月(約3年前)

1億到達から3年、日本Webtoonは10年をかけて、月間売上2億弱の作品を輩出したということになりますね。10周年でひとつのマイルストンを迎えたというか、歩みを進めたのだと思います。ただ、1億円の発表はピッコマ社で、今回はLINEマンガ発表なので、もしかすると既にピッコマ社の中で月間2億円作品はあったやもですが。


フーモア、月刊コミックゼノンにて連載中の「終末のワルキューレ」の縦読みフルカラー漫画「終末のワルキューレ 総天然色」をLINEマンガ、ピッコマ他にて2023年10月20日(金)よりリリース開始。

コアミックス社の『終末のワルキューレ』が、フーモア社によりWebtoon化します。同作は、地上波TOKYOMXで2期が10/20に開始します。

これは、私が個人的に考えるWebtoonの大ヒット作出現の条件、以下の3つの要件を満たします。

・漫画を原作としたWebtoon作品
・アニメ化済みで国内・世界ヒット作品
・全電子書籍プラットフォーム同時販売

これまで、Webtoon作品は、最初の仕掛けを行う段階で、どこか特定のプラットフォームで専売されて伸びていく形が通常のパターンでした。しかし、こうした大型作品は連載開始時から大きな知名度を持ち、特定にプラットフォームに依然せずとも大きなセールが見込めます。よって、全プラットフォームに展開しやすいのです。(今でも、作品を全PFに出すだけならいつでもできますが、それだと新作はなかなか売り伸ばしが難しいのが現状です)

本作のWebtoon化では、日本の漫画やアニメと融合して、次のステージに行く取り組みと言えるかと思います。(『暴食のベルセルク』など近い作品はありますが、ここまで内外でアニメがヒットした作品では初かと)

特に最後の「全電子書籍プラットフォーム同時販売」は、国内の横漫画では普通に行われていることなんですが、強いIPである『終末のワルキューレ』であるから出来る今回の売り出し方になると思います。

国内外で今後どうなっていくか注目していきたいところですし、こうした作品の出方が増えていくと、Webtoonスタジオや出版社といったパブリッシャーと、プラットフォームとの関係性も変わっていくかなと思います。


第1回ジャンプTOON AWARD 結果発表

第1回のジャンプTOON AWARDが結果発表、大賞作品は加藤航平氏の『ミリオンモージャ』です。作品を一見してわかるのは、所謂Webtoonのテンプレ作品とは違う、ジャンプ的な縦読み作品です。

今回のアワード選定作品から、今後も、ジャンプはジャンプらしい作品でWebtoonを開拓していくことが感じられる発表となりました。ジャンプブランドを背負ったWebtoonのオリジナル作品が、この方向性で今後も出て来ることが期待されます。

一方で、一つ上のワルキューレのような「大ヒット作」×「スタジオ制作」Webtoonの出現も期待したいところですね。今は、力を蓄え、備えているタイミングだと思います。


北米のコミックス/マンガ市場 2022年は過去最大の3200億円

元記事(英語)はこちら

米国の調査会社ICv2が、2022年の北米のコミックスとグラフィックノベルの売上げ推計を$2.16 billion、約3200億円と発表しました。

昨対比は米ドルで4%アップですが、この間かなりの円安進行があったので、日本から見ると非常に大きくなっています。

ちなみにこれは、米国内の日本漫画市場が3200億円ということではなく、この市場規模には、アメコミは勿論、一部絵本のようなものなども含まれています。

コミックスとグラフィックノベルは、米国独自のジャンルと特殊な流通から来る事情から出てきている数字で、恐らく日本漫画は1000億円前後なんじゃないかと個人的に「勘」で推計します。

ICv2 より引用 https://icv2.com/gallery/55334/3

こんな感じで、データにはデジタル売上も含まれているのですが、155mllion$ということで、このくくりの中で、約7%位とのことです。
これも日本漫画を特定してというわけではありませんが、だいたいこんなところなんですねと。


国内News

講談社「少年マガジンエッジ」ですが、10月発売の11月号をもって休刊することを受けて、今年アニメ化された『江戸前エルフ』が、ComicDaysに連載を移籍するなど、休刊後の各作品の移籍先が発表されました。


コアミックス社のWEBゼノン編集部が4周年とのことで、特別読切を13連弾するとのこと。他誌連載作家を含めて、強い作家陣による特別読切のようです。


メディアドゥの第2Q決算が、前年同期比14.4%減と発表されました。LINEマンガ向けの電子取引業務が他社に移管された影響が大きかったようです。第3四半期以降はその影響は薄れていくとのこと。


and factoryが2023年8月期決算を発表、売上が29億円、営業利益が1.46億円とのことで、ともに前期比を上回っています。マンガの課金売上は依然好調とのこと

また、このタイミングで共同印刷系デジタル事業会社、デジタルカタパルト社との資本業務提携を発表しています。

(抜粋)マンガアプリの開発・運営に留まらない新たな収益源の確立が必要、電子書籍市場におけるシェアの拡大と企業価値向上を目指していく

「デジタルカタパルト株式会社の株式取得及び資本業務提携基本合意書締結に関するお知らせ」
より抜粋引用

とのことです。


ピッコマ社の決算官報です。
官報なので売上は見れないですが、純利益が大きくなっており、回収期に入っているのかなぁと思います。


これは、以前マンガレビューサイトを運営していた身としては、ムムムと思うのですが、Webtoonのプロモーションがプラットフォーム内に閉じがちなところを、解消する手段となったら良いですねと思いました。
O君がんばれ。(あてずっぽ)


クリエイターとファンを結ぶ、サブスクサービス「fantia」が、作品販売に特化した「ファンティア マーケット」を開始とのこと。fantiaは2023年も130%成長を見せ160億円の流通総額とのこと。

先日、とらのあなは2023年度通期で331億円の流通総額という発表がありましたが、fantiaが160億円というと約半分に迫っており、主力の通販と並び、場合によってはその通販を今後超えていく勢いを見せておりますね。


個人的にとても好みなニュースなのですが、電子書籍取次のMBJ社が「電子献本システム」の提供を開始とのこと。

これは、例えばマンガ雑誌を作っている編集部が、連載作家陣や関係者に、刷っているマンガ誌を献本するという慣習がありまして、これが大きな雑誌だと数百冊単位で刊行ごとに発生しています。

これを、出版社スタッフの方や、ことによっては印刷会社などが、沢山送る作業をしたりしているのですが、それをこのシステムで代行しようというものです。

このシステムでは、電子献本用のURLを送って、それをクリックしてもらうとブラウザが立ち上がってPCでもスマホでも期間限定で読めるというもので、セルシス社のリーダーを採用しているとのこと。

漫画家の作業現場にうず高く積まれる漫画雑誌、編集部などでもそうですね。あれが無くなるかもしれないというものです。また、紙漫画雑誌の部数はどこも厳しく、ある意味献本するための物量が実売数に迫るみたいなところもあったと思いますが、そういったことが解消されるかもしれません。そうすると、また一つ紙の雑誌を続ける理由が失われますね。

昔、某所でこうした取組を試みようとして挫折した個人的思い出があるのですが、このシステムであれば手堅く解消できるなと思い、感慨にひたりました。これは、勿論単行本や新書にも影響を与えますが、紙の雑誌には結構なインパクトなんじゃないかなぁと思います。


ナタリーの15周年企画、投票開始ですね。


ジャンプ+細野編集長の記事2つです。

一つ目は、ジャンプ+躍進のきっかけが、作品としては『SPY &FAMILY』で、そのタイミングで「初回無料」の施策が効いたと述べられています。この施策は、始まってから時間が経ってますが未だジャンプ独自の施策で、やはり大きかったんだなと思います。とはいえ、なかなか他誌では真似しにくいだろうなとは思いますが。

もう一方は、NYCコミコンの記事の日本語版です。媒体のGEM Standardは、登録すれば無料で記事が読めますので、この機会で登録しても良いかと。記事中で細野さんは海外のパネリストなどに向け「「今後10年は、よりグローバル化を進め、サイマル配信を行う(抜粋)」などと述べています。


ウマ娘、コロコロへ。ゴルシなんすね。



まず、おめでとうございます!
そして、いきなりAIの話が出て来るの、里中先生すごいです。


NHK朝ドラ、水木しげる先生に続いて、今度はやなせたかし先生という流れですね。これは楽しみ。



「Webtoonの分業制が、横漫画に逆輸入の構図。」という記事ですね。
近年だと、立上げ当初のヒーローズ編集部なんかはこうでしたね。


今週、話題になりました。

・森川ジョージさんが、特定の個人クリエイターさんに対して発言
・これをアニメーター界隈の皆さんが刺激的発言と捉え炎上
・周辺にも飛び火
・森川ジョージさんがアニメ監督、アニメーターさんらとスペースを実施し手打ち(アーカイブ無し、生配信のみで1万人弱参加

アニメ監督の幾原邦彦さん、アニメーターの西位輝実さんなど、大変な面子が集まったようです。
という流れですね。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

comico10周年ですね。ということで、「comicoタテカラー®漫画賞2023」が10/16よりスタートのこと


カルチャーウィーヴァー社が、韓国で開催される「2023 Webtoon Job Festa」にて、韓国のWebtoon人材と日本企業の人材マッチングの場を作るとのことで、日本企業向けに募集窓口をスタートとのこと。

コンテンツ商談会「CONTENT IP MARKET 2023」も同時開催するイベントのようです。


著名映画監督が関わるなどしている「SUPER SAPIENSS」(通称スパサピ)の取組ですが、実写映画と同時進行のWebtoonスタートで、LINEマンガにも連載開始するとのことです。

Webtoonそのものは、開始時にタイトルロールというか制作クレジットが出るという映像化作品らしい出だしなんですが、制作コルクなんですねと。


ブシロードとアニメイト系ロケットゥーンコラボの作品がLINEマンガで連載開始です。タイトルがいいなと。


Webtoonによる地域振興プロモですね。


10/30に、Webtoonスタジオ採用合同説明会第2弾やります。
今回も司会をさせていただきます。
今回は、Mintoさん、ストレートエッジさん、No9さんですね。


海外News

*:ここから、海外記事が続きます。自動翻訳など活用ください。

タイトル邦訳:ニューヨーク コミコン 2023 からマーベルの「スター・ウォーズ」ニュースをすべてチェックしよう

先週行われたNYCコミコンの記事です。スターウォーズめっちゃWebtoon展開してますね。


タイトル邦訳:Tappytoon 共同創設者、2023 年のプラットフォームの成長、業界の変化、視聴者について語る

カカオ系Tappytoonの代表が、NYCコミコン合わせで受けている取材です。今後BLなども伸ばしていくとか。


NYCコミコン、コスプレ写真です。
かわらず、日本とは違う方向で本格化していってますねー。


見本市会場では、9番目の芸術に関連するスペイン最大のコンベンション「フエンヒロラ・コミコン」の新版が開催される

記事より

サムネイルが出ないので、文章リンクと写真にて。
スペインのFuengirolaという場所でコミコン開催とのこと。
ちょっとこの扉絵が、版権大丈夫かな?と不安にさせますが、明るいから良しというかラテンというか。


タイトル邦訳:ネイバーウェブトゥーン海外IPまた「映像化」確定… タイで「サマーナイト」を制作

韓国Webtoon作品のタイでの映像化という記事です。思えば日本作品って、こうい現地映像化みたいなのが少ないですね。やったら現地ファン増えそうです。


タイトル邦訳:「ティーンエイジ・マーセナリー(入学傭兵)」が日本で韓国ウェブトゥーン旋風を巻き起こす

本noteトップ記事の韓国側での記事です。日本以外でもかなり読まれているみたいですね。10か国語翻訳中で、日本では累計3億ビューのところ、世界では11億ビューとのこと。


「Elementals」や「Fables」の著者ビル・ウィリンガム氏は、過去にDCコミックスの不義理から権利闘争にかなりのエネルギーを割いてきたとのこと。
そうした経緯から、作品の著作権について思う所や将来イメージがあり、今回の自作のパブリックドメイン化に踏み切ったとのこと。


タイトル邦訳:レイチェル・スマイスのウェブトゥーンセンセーション・ロア オリンパスがハーベイ賞デジタルブック・オブ・ザ・イヤーを3年連続で受賞し、賞を総なめに

『ロア・オリンパス』は、北米のWebtoonの中でパイロット的作品として3年前から注目されていましたが、もう3年間デジタルブックオブザイヤーをとっているとのこと。

どうやらこの作品は、黎明期の一瞬の輝きを超えて、長く評価される作品になりそうですね。


タイトル邦訳:ReNoir Comic が Gaijin を立ち上げ、グローバルなマンガとウェブトゥーンを出版

イタリアの出版社「ReNoir Comic」が外国人作家による漫画とウェブトゥーンに特化した電子書籍サイト、その名も「Gaijin」を立ち上げるとのこと。名前。。


電子書店かと思って見に行ったんですが、今のところ作品紹介とECのショップのようになっていますね。電子コミックサイトはまだなのかなぁ。
https://www.gaijin.it/


本件では引き続きカカオが苦しいようです。


KADOKAWAの米国子会社が、ドイツにて、ドイツ語・フランス語のサービス提供開始とのこと。北米におけるライトノベル市場拡大に寄与したモデルを展開するとのこと。米国経由で欧州展開するという所がユニークですね。


AI・画像生成関連

これで面白い作品が作れるようになったら、本当に世の中変わりそうです。
本当にできるのか?


来歴情報とは、取り込まれた画像の出自や遍歴のことだと思うのですが、ブロックチェーンのチェーン部分みたいなことでしょうか。そうなると、著作権の考え方もだいぶ変わりそうですね。


大事なテーマですが、弁護士さんでもなかなか明言が難しいタイミングですねぇ。解決の方向性はまだ見えてきません。


この流れ、画像に笑ってしまいましたw


もともと書店で作品を検索できるシステムのサービスはありますが、あれがAIに質問して、教えてもらうようなイメージになったのでしょうか。


これはすごいですねー。そのままの声が吹き替えというのが凄い一方、アニメなどでは日本語の声優の芝居をそのまま聞きたいという考えもあったりしそうではありますが。


件のオタク出会い系サイトを彷彿としますが、、このWeb広告とAIの相性はかなり良さそうですよね。不気味の谷を越えた後は、全く認識できない状態で社会に浸透しそうですね。


今週のセール・キャンペーン・新人賞


記事のみ紹介


告知関連


インプレス社が『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。

本書発刊にあたり、私からの紹介で本書を著者割引10%で販売できます。本noteご覧の皆様にはコードをお送りいたしますので、私の連絡先をご存じの方はご連絡ください。または、こちらの私の個人会社問合せフォームか、Twitter(X)のDMも解放しましたので、ご都合の良い方法でご連絡ください。

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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンTwitterのフォロー、よろしくお願いします!

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