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【マンガ業界Newsまとめ】2023年電子コミック4830億円/ピッコマ1000億円突破/渋谷TSUTAYA・アニメイト京都A大改装 など|1/28-138

マンガ業界ニュースの週1まとめです。マンガ・アニメ業界向けイベントIMART(https://imart.tokyo/) を運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、マンガ業界の方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。

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2023年出版市場(紙+電子)は1兆5963億円で前年比2.1%減、コロナ前の2019年比では3.4%増 ~ 出版科学研究所調べ

例年1/25に出版科学研究所から発表される、前年の出版市場推移データの2023年版が出ました。去年4月から、紙冊子の「出版月報」ではなく、出版指標マンスリーレポートという形で発表されてます。

2023年の出版市場全体は、紙+電子は前年比2.1%減の1兆5963億円で、2年連続の前年割れ。電子出版市場は前年比6.7%増の5351億円で、市場占有率は33.5%と3分の1を超えました。

紙のコミックスは10%減。電子コミックは同7.8%増の4830億円、(略)電子コミックの市場占有率は90.3%となっています。

とのことで、例年通りマンガのこれより詳しい状況は、来月2月号のレポートになるようです。

一昨年まで、巣篭り需要や『鬼滅の刃』の社会的大ヒットなどの影響で20~30%成長を続けていた電子コミックですが、昨年は8.9%と落ち着きを見せ、ここから更に崩れて行くのか、維持されるのか注目されるところでした。

電子コミック市場成長率:2022年△8.9% → 2023年△7.8% 

と、おおよそ前年比10%弱あたりで来年も推移するかどうか。というところですね。


ピッコマが年間取引1,000億円を突破、電子マンガ単一プラットフォームとしては世界唯一

ピッコマがマンガアプリとして年間1000億円を売り上げたとのこと。
マンガ単一プラットフォームで1000億円は、世界唯一とあります。

amazonのKindleは、マンガのみではない総合書店。LINEマンガとebookjapanは、2社で1000億円を超えていそうですが合算。シーモアは売上未発表ですので定かではないのですが、こちらも総合書店のため、この括りだと対象外となりましょうか。

それにしても、アプリ専業の一つのプラットフォームで1000億円の売上というのは凄いことですね。おめでとうございます!


CCC、「SHIBUYA TSUTAYA」を4月再開業 訪日客を意識

書店閉店→アニメ専門店へ業態移行  渋谷TSUTAYAは4月に「最大級の体感施設」、京都駅でもラッシュ続く

「渋ツタ」こと、渋谷スクランブル交差点前のTSUTAYAが、現在すでに開始しているリニューアルから4月に再開業とのこと。その発表内容を見ると、書店フロアが縮小し、コミュニティスペースが増えて行くような書き方です。名物の、2階からスクランブル交差点を眺めるスタバは残るのでしょうか。2階から4階までカフェとありますね。

国内でも有数というか、段違いの来店者数が回遊する規模感を持つ渋ツタは、ここでのブレイクをきっかけに大ヒットした作品も多数あります。特に、ラウンジと書店というあたりの動きがどうなるか注目したいところです。

また、京都駅前にあるアバンティ京都内のアニメイト京都アバンティ店は、ビルの改装に伴うリニューアルでかなり大型化するとのこと。もともとここは京都駅前の好立地にある、アニメイトの中でいう小規模店形態だったのですが、この書き方だと、同フロア内の一般書店が閉店したところを飲み込む形でしょうか。

アバンティでは同じフロア(6F)に「らしんばん」「ゲーメイト」などのショップが集まっているため、それらも合わせてエンタメ集積ビルになりそうです。蛸薬師のほうにあるアニメイト京都店も合わせて、様々な打ち手が打てそうですね。

渋谷、京都、ともに国内消費者はもちろん、インバウンドに対してとてつもない好立地ですので、旧来の形にとらわれないこうした動きが加速化していきそうです。


国内News

新書、小説などを中心としていたイーストプレス社ですが、ここに来て「連載」形態でWebマンガサイト「COMICポルタ」をオープンとのこと。先行していた同社サイト「マトグロッソ」の作品もラインナップ予定のようです。(ビュアーが無いサイトから、ビュアーのあるサイトを新設して力を入れて行く形かと)


一二三書房は、Webコミックマガジン「ひふコミ」をスタート。こちらは、Webとありますが、電子書籍形態の電子雑誌のようです。こちらにも「ポルカ」がありますね。


月刊アクションが2月発売号をもって休刊とのこと。『メイドラゴン』『つぐもも』など人気作を抱える強いレーベルですが、連載作品はWebアクションに移転とのことで、紙雑誌を休刊しつつWebに集約していく形に見えなくもありません。


ジャンプインディーズの海外版「MANGA Plus Creators by SHUEISHA」に投稿された作品から、ジャンプ+掲載作品が出たというものです。読むと、しっかり日本漫画していて、自国というより日本の漫画が描きたい作家さんなのだろうなと思いました。効果音の漫譜だけお国柄が出てましたが。


マンガ大賞2024の10作ノミネート発表です。『ダイヤモンドの功罪』など、他の漫画賞で評価された作品も並びます。


今週話題になった本件ですが、かなり大変そうですね。原作者に映像化に関する希望があった場合に、そのあたり映像化スタッフ側にしっかり伝わるようにするところが、肝なんでしょうけども、難しい仕事ではありそうです。


1月26日よりImpress Watchシリーズの新媒体としてMANGA Watchをプレ創刊とのこと。すでに、今回のまとめでもいくつか記事を紹介させていただいております。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

Amazon Fliptoonが 縦読み特化のマンガ大賞を開催、グランプリ受賞者には1000万円、賞金総額1億円とのこと。さすがでかいすね。

審査員は声優の梶裕貴氏、コスプレイヤーのあかせあかり氏、漫画家兼VTuberの佃煮のりお氏、コミックマーケット準備会共同代表の安田かほる氏の4名とのこと。従来型のマンガ賞と比べると、少し変わった面子ですね。

いわゆる出版社などのマンガ誌レーベルの場合、賞金付きマンガ賞というのは、新人やセミプロくらいまでのこれから伸びる人を選ぶための目利きの場となります。ですので審査員は編集者か漫画家か、マンガの目利きでき、単純な面白さだけではなく、これからの作家の伸び代も見極めることができる必要があります。

ただ、この賞は審査員の陣容からもどちらかというと、後の活躍に期待というよりプロ向けの賞金レースコンテストに近い形になりそうです。(あまり、日本の漫画界にこれまでなかったものですね)

アマゾンは、常に莫大なトラフィックのある超大型プラットフォームゆえ、本や電子書籍に限らず全ての商品共通で、販売アイテム数や提供企業数などを増やすことが、売上を増やす施策の中で重視される傾向があります。これは、KindleDirectPublishingのような、著者がいて作品があるコンテンツでも同じです。とにかく、まずは販売アイテムを増やすことを最優先で目指します。

その指向性からか、このFliptoonのマンガ賞は、新人を育てるというよりは即戦力を呼び込むというニュアンスが強いかなと思います。とにかく、登録する作家が増え、作品が増えることが目的と推察されます。

もちろん、新人作家が応募しちゃいけないわけではないですし、チャレンジして損はないと思います。実際、新人に近い方の応募が大半を占めると思いますしね。臆する必要はありません。

ところで、応募資格を読んでみたのですが、おおよそ
・著作権を応募者が持ってる
・他所のPFに過去も含め出してない、アマゾン専売
・非アダルト/非AI
あたりが条件になってました。

これに加えて一般的なKDPの規約を合わせて読み取ると、恐らく企業も応募できそうですね。企業も個人と並んで参加するマンガ賞レースなんて面白そうです。(同人企業がPNで応募するのもありですが、それはまたちょと違う)

我こそはという編プロさんなどその筋の企業さんは、KDPに登録して応募してみると盛り上がりそうだなぁと思いました。(もし、私の読み取りミスでしたら、ごめんなさい。以前、KDPに法人で登録してたことがあって)

なので、この賞は新人発掘だけを目的としない、ちょっと今までのマンガ賞とは毛色の違うものだと思います。アマゾンは恐らく、KDPでヒットした作品の映像化の面倒をみるなどは、社風的に従来の形を考えるとしないとは思いますし。
いや、アマプラ向けに、IP展開を狙ったりするんですかね?
それはそれで興味深いところですね。


LINEマンガで大ヒット中の『入学傭兵』の年間販売額が10億円突破とのこと。これも、国内Webtoonの経済規模がどんどん大きくなるなというところですが、500円のマンガ単行本に換算すると200万部分ですね。


めちゃコミが、韓国スタートアップと資本業務提携とのこと。これは、韓国側からの打診でしょうか。Webtoonのファンコミュニティだそうで、従来とは全然違うビジネスが育ったら面白いなと思いました。


Libalent社が、太田出版、Gakken、河出書房新社、テラーノベル、双葉社の出版社5社とWebtoonのグローバル推進に向けてパートナーシップ契約を結んだとのこと。

読み取ると、制作面でキャラデザ、着色など、他翻訳ローカライズや、コミュニケーションを行うとのこと。なるほど。


SORAJIMAが資本金を98万円減資するとのこと。サイトによると、元は1億円とありましたので、1億円未満にして軽減税率を適用できるようにしたというところでしょうか。たしかに、ちょうど1億円だともったいない感はありますね。


楽天R-TOONのスマホ版ローンチとのこと。

その楽天R-TOONと、Webtoon制作でdocomoなどにも作品を出しているMUGEN FACTRYが協業とのこと。もともとMUGENはBLなどで実績がありますので、作品作りも手堅そうです。


海外News

KADOKAWAはフランス第3位でコミック大手の出版社。Média-Participations Paris社と合弁会社を設立とのこと。大事ですね。特にフランスの先には、フランス語圏アフリカもありますので、着実な拠点展開だと思います。

普通、EU向けの日本企業の展開はルクセンブルグとかに拠点を置いたりするのですが、エンタメの場合はなんせフランスですね。色んな意味で。


*: 外国語の記事も紹介いたします。自動翻訳などご利用ください。

タイトル訳:政府、韓国で「ウェブトゥーン界のNetflix」を育成へ

これは、Webtoonを世界展開する韓国としては打ちたい手でですよね。日本でも、世界的権威の漫画賞みたいな考え方が必要になってくると思います。

また、誤訳やもですが「Netflixに匹敵する世界的影響力を持つ国内ウェブ漫画プラットフォームを育成すると火曜日に文化省が発表した。」というところもあり、興味深いところです。なんらかの共通プラットフォーム構想でしょうか。


まず、2022年の韓国Webtoon産業規模が1.829兆ウォン(1829億円)とありますね。なるほど。

そのうえで、プロ作家さんたちの平均年収が1000万円となると、なかなかのものですね。ただ、1/3が、休みが無いということも。


タイトル訳:ペンギンランダムハウスがWattpadウェブトゥーン作品を配信

タイトル訳:ウェブトゥーンがエイソン・ブックスとペンギン・ランダム・ハウスと新たな取引を開始

米国大手出版社のペンギンランダムハウスと、Wattpadの人気小説をWebtoon化し、そこから更に書籍にするという流れでしょうか。


タイトル訳:Zeta はラテンアメリカの Wattpad 向けにスペイン語のウェブ小説を開発する予定です。両社はスペインでのプロジェクトでも非独占的かつ最優先で提携する。

こちらも、米Wattpadの話題ですが、スペインの会社とスペイン語の作品作りを行い、ラテンアメリカ(中米・南米)を狙うというものです。

メキシコ以南の中南米では、ブラジルをのぞく多くの国の数億人がスペイン語圏になります。そこへの展開をはかるということですね。面を取りに行ってるなぁと思います。


タイトル訳:ルッキズムクリエイターのバイラルヒットウェブトゥーンがアニメ化されると報じられている

この作品、かなり物議をかもしたと思うんですが、アニメ化とは。すごい。


AI・画像生成関連

今週は、このパブコメの話題が目立ちましたね。
SNSに遠投するよりは、ここにしっかり意見を言うのが良いかなと思います。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等


記事のみ紹介


告知関連


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今年2023年11月24日~26日に、第4回IMARTというマンガ・アニメの国際カンファレンスを開催しました。
基調講演に鳥嶋和彦さんを迎え、マンガ・アニメの現場から22のセッションやピッチが行われました。

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インプレス社『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。

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