しゃぼん玉は目の前で消えた
ランチに誘われた 仲良くもない同僚から
コンビニに行くといい 飯を買わされ
向かったのは近所の公園
話すこともないのに 浴びせられる愚痴と自慢
人を下げてじぶんを上げる
その言葉たちは機関銃のように空に放たれ
行き場がないまま宙に消えた
もうひとつ宙に消えた丸い透明の玉
ふわふわと風に乗ってつぎつぎとやってくる
見ればそれは噴水のそばで幼子が放つ芸術
七色に光る透明の玉たちは私のほうに迫りくる
あのなかに入れたらそこは別世界だろうか
あのなかに入れたらあたらしい人生を始められるだろうか
ふわふわと風に乗ってわたしのほうにやってきた
目の前でぱちんと消えてちいさなしずくが落ちた
聞いてるの?というその声はもうわたしの耳には届かない
食べ残したものは捨てて歩きだす
幼子は母に手を引かれ歩きゆく
それぞれの道
それぞれのしゃぼん玉
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