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【読書記録】大衆の反逆

高貴な魂とは?

誤解のないように初めにお伝えしますが、王族や貴族の家系に生まれることに価値があるとか、ないということではありません。

今日の読書本は、
岩波書店発行オルテガ・イ・ガセット氏著作(佐々木孝氏訳)
『大衆の反逆』です。

1929年(昭和4年)に書かれた書籍ですが、
2021年の今でも変わらずヒタヒタと忍び寄る怖さを共有できる書籍です。

特徴を一言で説明するならば、
民主主義つまり民衆の支配における政治において良からぬ側面を
指摘していると感じました。

ここで少し社会科の復習。
国家の統治形態と言うのがいくか種類があります。
独裁者が統治する国家。
特定の宗教が統治する国家。
そして民衆が統治する国家。
日本は民主主義だということで主権は国民だと認識しています。

支配者は私たち国民です。

支配者が愚かだとどうなるのか?

ということは世界史であろうが、日本史であろうが
歴史が説明してくれます。
それは支配者が誰であるのか共通の事かもしれません。

オルテガの言う『大衆』とは一体なんであるのか?

平均的な人たち。
みなと違うもの、優れたもの、個性的なもの、資格のあるもの、選ばれたものすべてを踏みにじろうとする。みなと同じように考えない者は抹殺される危険性にさらされる。

田舎育ちの私には、学生の頃からなんとなく感じていたことです。
みんなと同じじゃないと仲間に入れないという違和感と怖さ。

髪の毛の色やパーマをかけるとか化粧をするとか些細な日常をまるで犯罪を犯したかのように上からドやる学校が気持ち悪かったし、それは社会人になっても基本構造は変わらなかった。

おかしいと感じること。
おかしいと感じたことを声に出すと、輪を乱すとか風紀が乱れるとか。
理不尽を理不尽と声を上げることに不寛容であること。
そして、自分の頭では考えずみんながやっていることを鵜呑みにして
マナーだ常識だと押し付ける図々しさに辟易しています。

現代の日本のように、豊かな暮らしが可能になったのかその理由を知ろうともしない。過去を知ろうともしないということは、祖先たちが築き上げた血のにじむような努力を考えようともしない。物質的豊かさを享受しても自己を乗り越えようともしない。優れた人への敬意も払わない。
そして、未来に対して配慮をしていない。
無限の欲望を傍聴させ続けるだけ。

今、科学的根拠や法的根拠も持たず、それらしい感想や予測ばかりしているいい加減で偏った情報を流し続けるメディアが主導権を握っています。

大手メディアの言うことをそのまま、真に受けて調べもせず、違和感も感じることなく、口をひらけば、テレビと同じことしか言わない人々を見ていますとオルテガの言っている世界がそのまま再現されていると感じて、ぞっとしています。

一般庶民が基本的人権の尊重と自由を手に入れたのは本当にごく最近です。
長い間血や涙を流してきた祖先たちが努力して創り上げたもの。

それを調べもせず、違和感も感じることなく、
実体のない安心感を手にいれるため、人権と自由を手放ししようしている。

人権と自由がない人間は人間と言える人生を歩むことができるのだろうか?

今の私たちの選択一つで、
子どもたちが人間らしく生きられるのかどうかがかかっています。




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