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『ヒゲとボイン』は全然ふざけてなんかいない。

ふざけたタイトルである。

『ヒゲとボイン』。

これは、UNICORNのアルバムのタイトルだが、
このタイトルになったきっかけは、
前作で、日本レコード大賞アルバム賞を
受賞した際に贈られた、銅像にした、
奥田民生さんのいたずら書きだという。

経緯もふざけている。

しかし、このアルバム、かなりの良作だ。

ソロアルバムと平行で作業していた為、
一晩で作り上げたという、EBIさん作
『黒い炎』は、
そうとは思えないクオリティーだし、

『ニッポンへ行くの巻』は、
客観的に日本を見て、柔らかなサウンドに、
ちくりと皮肉が効いた歌詞がいい。

『開店休業』は、いわゆるヒモの男性が、
彼女に、いつも側にいるだけ、君を愛してるよ、と、生死感を織り交ぜながら歌われる。

他の曲も良いが、特に良いのが、
『車も電話もないけれど』だ。

これは、文明開化にわく日本に降り立った、外国人女性と、日本人男性の、恋の歌だが、
とにかく歌詞がいい。

僕に君の話を聞かせてくれよ
僕の隣で全部教えてくれよ
世界の色んな人たちの
KISSの仕方はどう違うの

二人が歩けば誰もがふりかえる
僕らは笑顔で歴史をぬりかえる
文明開化のこの国は 君と僕の手のひらの上
まだまだ車も電話もないけれど
少しずつしか変わりはしないけれど
みんなの前でKISSをしたら
そこらの枯木に花が咲いた

車も電話もないけれど/UNICORN

伸びやかなボーカル、ミディアムテンポで
歌われるナンバーで、ボーカルの奥田さんの得意とするところだ。

他にも、良い曲満載のこのアルバム、
もっぱら、タイトルで損をしている気がして
ならない。

歌、演奏のクオリティーは高く、
曲も良く、違うタイトルだったなら、
もっと多くの方に届いたのではないか。

そう思うが、
かといって、別のタイトルも思いつかない。

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