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トップダウンとボトムアップ

「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに、医療プラットフォームを提供しているUbie株式会社のkamechanです。

この記事は #Ubieアドベントカレンダー 10日目にエントリーしています。


イントロ

みなさんこんばんは!Ubieで法務をやっているkamechanです。気づいたらUbieに入って1年経ちました。本当にいろいろあって、あっという間だし、まだそんなしか経ってないんだという気もするし、長いんだか短いんだかという感じです。
1年経って感じている捉え方の変化を書きたいなと思ってnote書きます

こういう人に読んでほしい

  • いわゆる日本型の企業にモヤっている人

  • 会社組織の在り方に興味がある人

入社時に思っていたこと

まず、入社当時に何を考えていたかの気持ちはこれによく表れてます

かいつまんでいうと以下のような感じです

  • 官僚制つらい

  • 自分たちで組織づくりや自治ができるUbieいいよねと思って入社した

まだまだUbieに入ったばかりで若々しい感じもあるのが恥ずかしいですね。
しかし、ここにある法務として組織を考えるのは、自分にとってめちゃくちゃ重要なテーマで、今でもこの延長線上にいるように思います。そもそも法って人同士の取り決め・ルールであり、組織と法とはセットで考えるべきと今でも思っているからです。これ以外に神の法という考え方もあります(自然法則と似たようなノリで聖書の言葉をそのまま法と捉える立場)。ただ、現在ではあまりピンと来ませんね。また、国家や法の成り立ちが人間同士の取り決めに由来するという考え方は、そういうのがないと戦争状態になるからルール作るんだというような社会契約も似たような考え方と思います。私は法をライフワークにしているので、その流れで人同士の取り決めや組織設計にも興味があります。

トップダウンとボトムアップ

さて、入社時の投稿の背景には、以下のような考え方があったと思います。
それは、トップダウンとボトムアップの対立です。
まず、トップダウンの特徴は命令で、上から下への上意下達を意味しています。イメージとしてはこれは絶対王政。王様の命令は絶対~ってやつですね。これで統制を敷く。
一方でボトムアップは慣習にみられると思います。
これは仕事でもよくあるやつだと思います。何となくの慣習があって、みんなこれでやってる。時には話し合って決める。それが組織のルールになる。慣習法や民主主義のイメージです。

入社当時の自分は完全にボトムアップの立場(慣習や合議が大事)をとっていました。というのも、社会人生活を通じて現場が分からないと空転するし意味ないということを感じてたからです。
慣習に乗らないとうまくいかない。例えば、駅のホームでエスカレーターで歩かないでというアナウンスが聞かれることもありますが、やっぱりエスカレーターでは関東では左側が立ち止まるレーン、右側が歩くレーンと未だに根強い慣習があると思います。いくらアナウンスしても結局は慣習で決まるものです。また、過去には実態や現場のことを分かってない命令で振り回されることもよくありました。
さらに、自分はフランス文学を専攻していて、フランス革命や民主主義というものに人一倍思い入れがあったので、それを支持するうえでもみんなのルールは命令でなく慣習や合議であるべきと考えていたと思います。
この辺が合わさって、Ubieのフラットでボトムアップな感じがいいねと思って入社したという経緯でした。(フラットでボトムアップというのは例えば以下の記事を参照ください)

で、1年たって今ではどう考えているか?

トップダウン?ボトムアップ?

そのうえで、1年経って思うのは、意外とUbieってボトムアップだけではない、ということです。例えば、Ubieはmissionはブレずにあるものの、それを達成するための具体的なhowであるQ毎のOKRや事業方針、組織構造はころころ変わり、それに合わせて急な体制変更にもみんなアジャストしていきます。そうなるとむしろトップダウン味あるもので、ボトムアップではないのではと思ってしまいます。

では、自分はUbieに失望しているかというとそれは違います

まず、ボトムアップが最高という考えは今では薄れてきております。
そもそもボトムアップとは何でしょう?
ここでボトムアップの顕著な例であるフランス革命を見てみましょう。フランス革命時の社会理論を読んでみると、一つの枠組みに気づきます。それは、フランス革命とか民主主義って結局反体制的なところがあるという点です。つまり、現状の体制に不満(課題)があって、それの対抗策が民主主義でありボトムアップ的な動きだったということです。とにかく民主主義がサイコーというよりは、今の体制が嫌だから民主主義にしたいというような感じ。現体制への不満がボトムアップの原動力になっているような感覚です。
フランス革命後には民主主義にあわせて社会主義的な流れも出てくるのですが、それは工業化による資本家の搾取に対抗するために出てきたやつという側面もあったりします。この流れで、国家や資本家に反抗する意味でコミューン(地域共同体)的なものもたくさん出てきた時代でもありました。
で、そしてこのような取り組みは、たいてい失敗してます。結局、単なる反抗だけではコミュニティは維持できないのだと思います。反乱して政府を打倒したものの次につなげられずに単に混乱に陥ったケースは、歴史の様々な局面で起こっていることですし。対外・社会への反抗と、内部の組織設計とは全く異なる議論ではあるのですが、内部の議論がほったらかしになった結果なのかなと思います。要は、反体制やボトムアップの原動力だけではダメ。コミュニティを維持するためには、反体制を前提としつつそのうえで自分たちがどう組織を作ってくかの積み上げの思考が必要である!!のかなと思います。また、同じ共同体を維持するには共同幻想をsyncしていかないといけないが、アンチや仮想敵だけでは共同幻想が成り立たない。これも具体的に構築していくものなのかなと思います。

トップダウンだからダメってことはない

ボトムアップ志向だった自分がUbieに入って考え方を改めた点はこの点で、ボトムアップだからいいというものでもなく、ボトムアップにもいいところ・悪いところがあるということです。
ボトムアップのいいところは置いといて悪いところでいうと、ボトムアップだとどうしても慣習(=前例)の踏襲になりがち。もちろん、ボトムアップで全く新しいサービスが生まれることもあるので一概にはいえないのですが、この慣習の踏襲がドラスティックな変革を阻害することがあると思います。なので、Ubieで大事にしているGiantLeap(非連続な成長)するためにはトップダウンで大きく変革することが重要になってきます。
例えば、トップダウンといえば、世界史で最もトップダウンだった人物の一人に秦の始皇帝がいます。漫画の『キングダム』で「法とは願い」というセリフが出てきます。彼の法治思想って、ボトムアップというか慣習法的な考えからは出てこないと思います。それより、なんか空想というか絵空事があって、それを具現化するような流れです。これは春秋戦国時代の勢力均衡という現実世界からは出てこない考え方です。また、始皇帝が実施した秦統一後の度量衡・貨幣の統一とか万里の長城築城とかも各国との調整からは出てこないと思います。これって強烈なトップダウン思考を起点として具現化されるものだよなと思います。
これと似たような感じで、OKRとか代表の指針とかがあってUbieが引っ張られているというのは1年間いて自分も理解するようになりました。結果、トップダウンが悪いということは全然ないし、むしろ前に進むには必要な要素かなと今では思います。

大事なのは目的・目標に向けて一致団結すること

ここまで書いてくるとトップダウン・ボトムアップの優劣はさほど大事ではないのかなと思います。大事なのは目的に向けて一致団結することだと思います。それによって共同幻想が支えられますし。

その点、Ubieではホラクラシーを採用しているのが結構機能していると思います。
※ホラクラシーについては先日maouが記事を投稿してくれているのでそちらを参照していただければと思います

ホラクラシーのどこがいいかというと責務の明瞭化で、役割分担がなされている点です。これが徹底してくるとトップダウン・ボトムアップという階層的な考えが薄れていって、結局役割分担だよね、という感じになります。

これは会社法上のガバナンスというより、組織運営のイメージとして捉えていただければ幸いですが、例えば、Ubieの代表はあべ・くぼという二人で、彼らが会社の舵取りをしております。具体的には会社・事業の方向性やミッションを決め、それにかなうガバナンスを整理し、人のアサインや投資判断を行います。ただ、逆に言うとそれ以外のことは他の人がロールを持っています。例えば自分だと法務・コンプライアンス・リスク関連のもろもろだったりを持ちますので、それに関する判断を行います。このような形で役割分担している。
なので、いわゆる事業や会社の方向性を決めるというのも上から降りてくるというより、方向性を決めるべきロールの人が方向性を決めている。それは自分が社内の法的なレギュレーションを決めてるのと同じで、役割分担の話と捉えています。もちろん、全社への影響度は違うものの、あくまで役割分担の話としてはそういう感覚です。なのでUbieではトップダウン・ボトムアップという上下の感覚がさほどなく、自分のロールについて自分は集中すべきで、それ以外のことはそのロールの人にトラストできているのかなと自分は捉えてます。
みんなそんな感じなので、それぞれのメンバーが会社のmissionの実現に向けて自分の役割を全うしているということになります。これが会社の目的に向けて一致団結する方向にうまく機能している一因になっているかなと思います。その点でUbieの組織設計ってすごい考えられてるし、自分もこの組織を良くしようと思えるので、これはUbieのいいところだと思います。

※そもそもトップダウン・ボトムアップの対立というのは、資本家と労働者が対立する枠組みを前提にしている気もしますが、それも時代遅れかなとも思います。19世紀当時はお金持ちの資本家でないと設備に投資して労働者を雇うことができず、結果として資本家と労働者の対立軸があったが、そもそも現代では設備(=事前の資本)がないと事業ができないというものでもないしね。それより内部に目を向けて自分たちの組織をどう作るかが大事ですね。

最後に

ここまで読んでいただきありがとうございます。
この記事でUbieの雰囲気が伝わったのであれば幸いです。1年前に確信をもってUbieに入ったつもりでしたが、思った以上に考え方が変わっていたのに改めてビックリしている次第ですし、まあそれもよかったなと考えております(この歳でそう感じられるのもありがたい限りです)。とはいえ、1年前にnoteに書いた自分の夢というのはさほど変わらずで、

  • 「自分たちのことを自分たちで決められる」という当たり前の幸せを組織としてやっていきたい

  • これを成功させて日本のスタンダードの一つとして次の世代に受け継いでいきたい

と今でも思ってます。そしてありがたいことに、これができているような実感もあります。
もちろんこれってすごい大変で、従来型の日本企業のシステムでの組織運営がいかに安定的で洗練されており、それおかげで何も考えず楽できてた部分があったのを気づかされることも多々あります。ただ、まあ幸せってのんべんだらりとえられるものでもないし、それなりに継続するには努力もいるとも思うので、そこは受け止めて日々やっていければと思っております。そっちの方が楽しいしね。

1年経っていろいろ考え方変わったので、次の1年もまた考え方が変わってる可能性大ではありますが、今時点のところや自分が楽しくやっているところを伝えられれば幸いということで、ここで筆を置きたいと思います。ありがとうございました。
おしまい☆

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