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[YOMU]エドガー・パングボーン「オブザーバーの鏡」


エドガー・パングボーン「オブザーバーの鏡」

エドガー・パングボーンの「オブザーバーの鏡」は1954年に発表され、3万年前に地球に移住し、地球人の発展を見守ってきた火星人のひとりと、人類の少年との交流を通して、人類文明に寄せる思いを描いた作品で、1955年の国際幻想文学賞を受賞した。

火星人たちは人間たちの社会に入り込み、人類が精神的に成熟し、彼らと“合同”できる日がくるまで監視を続けている。彼らは自らを“オブザーバー”と呼んでいるが、しかし、彼らの中には地球人を目の敵にし、絶滅を望む者たちもいた。

彼の作品はSF、ミステリ、普通小説などを含めて、長編7冊、中短編が30篇程度で、寡作な作家である。代表作には、1962年に発表され1964年に単行本化された『デイヴィー 荒野の旅』がある。これは核戦争後の荒廃した世界でひとりの少年が奇想天外な遍歴を通して成長していく物語で、SF版『トム・ジョーンズ』『ハックルベリー・フィンの冒険』とも称された。その後、これと同じ世界を舞台にした「デイヴィー・クロニクル」と呼ばれる2作の長編と、短編集を書いている。なお、1975年にSF情報誌「ローカス」が行った「オールタイムベストSF投票」では、『デイヴィー 荒野の旅』が34位、『オブザーバーの鏡』が36位に選ばれている。


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