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【POG愛馬】⑫ディープブリランテ

ディープブリランテ
父 ディープインパクト
母 ラヴアンドバブルズ

※この指名馬についての記事はこちらより
POGヒストリーvol.13 https://note.com/lovely_auklet755/n/n52b6dafd8ae8

初めて馬体を見た時からの一目惚れ。
リストの短評にも、今年の馬体No.1と記してあります。

エースにして1位にして、朝日杯を獲るイメージで指名してました。
わざわざパカパカF生産の馬をノーザンがセレクトで逆購入した、
なんてのも後からの裏付け情報。

とにかく馬体のバランスにやられました。
阪神の新馬戦は後楽園ウインズ6階で見ました。
終わった瞬間に『あ、ダービー馬だ』と感じました。
こんな感覚は初めてでした。

2戦目の東スポ杯は東京までどしゃぶりなのに生観戦へ。
逃げて圧勝した時にダービー馬だ、の思いは
自信から確信に変わりました(笑)

年明けは群馬の榛名神社にお参り。
仕事で一緒になった、島田秀平さんから教えてもらったからです。
勝負事の神様が宿るとのことで。

年末に走る走る詐欺で期待させたあと、
休んで共同通信杯からの始動。
この時仕事で生観戦できず、まさかの2着敗戦。
たしかにこのレースから制御不能がはじまっており、
抑えきれずに逃げる形になってしまったのと、
当時は無名でしたが、負けた相手がゴールドシップだったことを考えると仕方なかったかも。

4戦目のスプリングも共同と同じ展開。
抑えきれずに逃げて、それでも押しきったかと思ったら
グランデッツァの出し抜けをくらって、またも2着。

皐月賞は3番人気。
この日は、この4月から新番組のディレクターになって初めてのロケ日に重なってしまいました。
やはり抑えがきかず、荒れた内馬場を開けてど真ん中を直線先頭で走りましたが、内からゴールドシップ、外からワールドエースの強襲にあい3着。

指名馬としては、
1.1.2.2.3着で7500×2=15000万ホースで
すんばらしいんですが、そういうことではないんです。
本番に向けて落胆でしかありませんでした。

しかし、ある出来事が起こります。
NHKマイルCで、ブリランテの屋根である岩田康が、
後藤ジョッキーを落馬させダービー週までの騎乗停止を喰らいます。

そこから、なんと岩田はブリランテと心を通わせるために
毎日厩舎に行き、馬の世話や調教をつけさせてくれ、
と矢作先生に願い出るのです。
いつもの厩舎のやり方とは違う接し方をする岩田と
厩舎スタッフ、矢作先生。当たり前のように衝突します。
軋轢を起こします。
しかし、次第に岩田の本気が厩舎スタッフ、矢作先生の心を溶かします。

ダービー週の木曜日。
以前働いていたGチャンネルの知り合いが声をまかけてくれて、
東京競馬場の芝コースに入れたんです。
小島友美さんと一緒に馬場の取材。
ダートコースの深さや砂質を確認したり、
芝の長さや根付を確認したり。
その時、日曜日をイメージして最後の直線を走ってみました。
ブリランテが駆け抜けるイメージで。

ダービー当日はグランドPOG仲間で徹夜で並んでダービー生観戦。
開門ダッシュはぼくの担当。最高の観戦ボイントをゲットしました。

2レース前からパドックに陣取り、ブリランテの状態を見届けました。
-6キロの496kgじゃなかったかな。
パドック落ち着いてるんです。
岩田がまたがり、矢作先生の顔を見てうなづきます。
馬券は単10万、馬単1万総流し。
3単頭固定で前走1着馬に印つけたフォーメーションを買っていました。
1点1000点ずつ!

返し馬もスムーズ。
いつもはここから入れ込み始めるので、気が気ではありません。

さあ、スタート。
出遅れずにスムーズなスタートでしたが少し行きたがります。
『ああ、またか…』その時岩田のハミがガチッとブリランテを押さえます。
スッと内の馬の後ろにいれたらハミをすっと抜いたブリ。
折り合えたんです。1コーナーから2コーナーにかけての出来事でした。
その光景を見れただけでもう十分でした。満足だったのです。
やれることはすべてやった時のそれでした。
涙が出てきました。

レースは川田将雅のゼロスが大逃げ(今ではありえない笑)
それをテン乗り、ぼくのもう1頭の指名馬、
トーセンホマレボシが追いかけ、
ブリランテはそのすぐ後ろのグループにいました。
3コーナーから4コーナーにはいる際、レースが動きます。
ウイリアムズのホマレボシがゼロスをつかまえるために動きました。
岩田も引き離されずに上がっていきます。

ホマレボシの手応えがいい!
あれ?こっちなのか?
なんてことは後になってからレース見直してから思うこと。
岩田まだだ!まだ仕掛けるな!
そう願った矢先、岩田がゴーを出します。早い、早いよ!
4コーナーを曲がって最後の直線。
そう、木曜にぼくがブリランテを思って走ったあの直線です。
残り200mで岩田ブリランテがホマレボシを捉えます。
まるで、ワープしたかのような、瞬発力。
このために馬群の中で我慢していたから。
先頭に立ったブリランテ。ホマレボシもなかなか止まらない!
50mくらい2頭だけのランデヴーが続きます。
残り100m、仲間がみんなおめでとう!と言って抱きついてきました。
その時!

外からとんでもない脚を使って馬が1頭やってきます!
ゴールドか?芦毛じゃない!
ワールドか?毛色が違う!
同じ勝負服だ!
たぶんなにか叫んだとは思いますがよく覚えていません。
岩田はもうめちゃくちゃに上体がぶれて追いまくり。
魂でムチをいれています!

時の流れが止まりました。

ゴール板前で内ブリランテ、外フェノーメノが並びます。
体を縮める蛯名と体を伸ばすヤスナリ。力の限り腕を伸ばします。
ゴールした瞬間はどっちが勝ったかわかりませんでした。
でも、負けてはいないんじゃないか…。

ゴールの瞬間

10が一番上についても、フェノーメノは11番。同着かもしれません。

確定の赤ランプがついた瞬間。泣きました。声を上げて泣きました。
嬉しかった時に泣こうと思っていたので、
甲子園で負けた時も泣きませんでした。
でもこの瞬間は泣きました。

この日、馬券を換金することを忘れていました(笑)
来年のドラフトが終わった後、
グランドPOGのみんなが朝まで付き合ってくれました。
最後は新宿のお茶漬けや。
みのさんから、やっとこの気分がわかったか。おめでとう。と言われました。

この日から、この思い出をもう1度、と願い続けるようになりました。

その後、誰の差し金か、出たくもないキングジョージに行かされて、
わけわからず帰ってきて、
菊花賞の週の調教で、極限の仕上げをしたところで、
夢から目が覚めてしまいました。

ダービー

さよはらは突然にやってきました。
でも、あの日の岩田の涙は決して忘れません。
モノポに匹敵する愛馬中の愛馬です。

岩田の涙

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