見出し画像

ヨハン・ユスト・シューシャルト(Johann Just Schuchart :London. ca.1741-1753))破損したテナージョイントの修復記録 

この楽器について
(バロック・ファゴット:形式、構造、音響、演奏のクオリティ:マシュー・ダート著 によると、
シューシャルト のファゴットは1つ現存しているそうです。つまり今手元にある楽器です。
製造年代は 1741 年から 1753 年の間であると考えられますが、諸説ありそうです。

この世界でただ一本の楽器の楽器を落札したのは、私の師・堂阪清高氏です。その時からテナージョイントはボーカルソケットの部分が破損しており、最も大切な最小径部分も原型をとどめていない状態でした。

修復前の状態

堂阪さんは杉原氏に依頼したレプリカのテナージョイントを使って演奏していました。(この楽器で演奏したCDジャケットではオリジナルのジョイント装着していますが、破損部分が見えないようなアングルで撮ったとのこと)

サヴァリーのウイングジョイントで使用


イギリスの研究者から見たら「日本に埋もれていた楽器」となるのでしょうが、埋もれていたなんてとんでもない。18世紀オケの名手。ダニー・ボンドはこの楽器のことを知っていましたし、堂阪清高という名手による数々の名演・名録音を支えてきたバロックファゴットの名器なのです。

この楽器の製造年代については諸説あり、このCDのブックレットでは1730年とされています。



そんな由緒あるバロックファゴットを形状だけではなく、実際にコンサートで使えるレベルまで修復するのが私のミッションです。
2023年9月

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?