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ファゴットの役割について(いろいろな場面で)

2023-05-30 15:06:01

1,通奏低音楽器としてのファゴット(ここが基本)

17~18世紀においては、この役割がもっとも重要であり、ファゴット演奏の基本だと言ってもいいだろう。それは、低音弦楽器群(チェンバロやリュートの低音、そしてガンバやチェロ)を補強する役割である。

補強するためには音程が合っていることが大前提。音程がおかしいのは論外であるし、ファゴットが入ることによってこれらの楽器が描こうとする音楽のシェイプ、エネルギー移動、その輪郭を際立たせること。これがファゴットが加わる目的である。邪魔になるようならファゴットは入らないほうがいい。音楽監督の言葉「この曲、ファゴット入ってください」と「この部分ファゴットなしでお願いします」は自分への評価として受け止め、そのたびに一喜一憂したものだ。

ここでは倍音を多く含んだ響き、確かな音の立ち上がりなどの基本的技術そして音楽性が求められる。このスキルは室内楽でも、オーケストラでも合奏体の中でのファゴットの居場所の基本となる。

詳細は以前下記に記載済み

2,ソロ楽器としてのファゴット

通奏低音とあきらかに違うのは、音楽表現の主体であること、それにふさわしい音色(他の楽器と明瞭に区別できる、よく通る音、ソロトーン)が必要となる。この部分のスキルは個人の努力で磨ける。

3,室内楽・オーケストラのファゴット

さて、室内楽やオーケストラでは、ファゴットは1と2の両方の役割を求められており、ここからが本題である。2,ソロ楽器としてのファゴットについては近年の楽器性能が大きく進歩したことに伴って、ほとんどの人はそれなりの音は持っていると感じる。技量には個人差がある攻めのときの奏法・音色にはさほど大きな差はない。

ただ、

弦楽器群プラスファゴット、他の木管楽器とのユニゾンなど、補強に回ったときの通奏低音に通じる奏法や音色は奏者によってかなり差があるように感じる次第です。

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