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春来たりなば

目が覚めると昨日の予報通り、かなり降っている。少し蒸すので窓を開けると、強い風が雨を伴い、網戸など物ともせずに吹き込んでくる。あわてて閉め、じめじめする室内で風のやむのを待つしかない。
まだ4月上旬だというのに、まるで梅雨にでも入ったかのような朝だ。

一昨日は第2回「清水いはらマルシェ」を開催した。
この日は「静岡まつり」最終日とかち合い、桜満開の日曜日、絶好の花見日和とあって人の足は分散した感がある。
1回目ほどの盛況にはならなかったが、それでも大方の出店者は利益を出せたようだ。5月は諸事情からお休みし、次回は6月2日を予定している。
だんだん定着してくれば外部にあまり影響されず、固定のファン層が生まれてくるのかもしれない。まだ早いと思っていたらどんどん気温が上がり、かき氷の店に行列ができていた。夏売れるのはやっぱり、冷たいもんだろうなぁ。

昨日は地元小学校の入学式だった。僕の地区からは、3人の新入生が参加する。月1回発行の広報担当のため、今年で4回目となる取材に出向いた。

わずかその数年でも、子供の数が減ってきているのを実感させられる。「入学式」の看板で記念撮影するにも、4年前なら順番待ちに結構な列ができていた。
それが今年は、並んでいる時でも3組か4組の親子しかいない。(自分の子供がそうだったように)この子たちにしたって成長すれば、ほとんどが地元を離れ他所よそに暮らすようになるんだろう。彼らに残ってもらうためには、今の現役世代を含め、この場所に魅力を感じてもらうようにしていくしかない。地方はどこでも、同じ課題を抱えているはずだ。
根本的には日本政府や官僚機構が、首都の一極集中を変えない限り解決は困難だろうが、何もあらがわなければその終焉しゅうえんを早めるだけである。微力であっても、地域再興の活動を続けていきたい。

新1年生の子たちを取材するのは、この日が初めてじゃない。幼児の頃のどんどん焼きや七五三(我々の神社では一三七を祝う)などつど撮影し、その成長過程は限定公開(一般は視聴不可)のYouTube動画で見ることができる。10年後20年後、かつての自分たちを確認してもらえたなら、残した甲斐もあるもんなのだが。

その広報紙に、先月から女性が参加してくれている。ご主人を亡くし独りになったお母さんの面倒をみるため、住み慣れた首都圏を離れ生家に戻ってきた。
買い物に出ようにも1日にバスが3往復しかしない場所だから、足のないお年寄りが日用品を買うのに不便している。そこで家の離れを改造し、ささやかなお店を2月に開業した。
ご自分で作成したアクセサリーや日用雑貨、駄菓子など販売している。最近店を閉めた酒屋さんから陳列ケースなどもらい受けながら、商品もだいぶ充実してきた。2月に取材した時の、倍ほどのラインアップになっている。
宣伝などしないから地元でもまだ認知度は低いが、広まれば買い物を口実にご近所が集まり、井戸端会議を始める昭和のあの時代がよみがえってくるかもしれない。ひそかにそれを、期待している。

正午になった。雨がやみ、風も収まった。
あとでご近所の神さまのところに、ご挨拶にいってくるかな。

イラスト hanami🛸|ω・)و

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