見出し画像

再エネ賦課金

経済産業省は2024年3月19日、2024年度の再エネ賦課ふか金の単価を「3.49円 / kWh」にすると公表した。
ちなみに2023年度は1.40円 / kWh。
暫定措置により単価は一時的に下がったものの、今年度は一気に2,5倍にも引きあがる。毎月400kWhを使用する平均的な家庭に置き換えて月1,396円、年間で16,752円となり、決して安い額ではない。

「こういうご時世だから、電気代がそのくらい上がっても仕方ないわねぇ」と思われたリッチなアナタ。
再エネ賦課ふか金は、電気料金本体ではない。使用した電気の量(kWh)に応じ、3.49円 が別に取られる仕組みである。
つまり、消費税10%が加算されている電気代とは別に、使えば使うほど付加される同じ性質を持った別の税金と、実質的には同じになる。
これからの季節、気温上昇に伴いただでさえ高騰し続ける電気料金に加算され、個人も企業も更なる負担を強いられるわけだ。

では、再エネ賦課金を負担することによって、我々にどのような恩恵があるのか。還元されるメリットが徴収ちょうしゅう額と釣り合っているなら、そうそう文句も言えない。

まず、すでに10数年間徴収されているこの実質的な税金の、存在すら知らない国民が少なくない。
僕がそれを実感するのは、自分の地域の人たちにこの話を振っても、返ってくるのは「なにソレ?」の反応ばかりだからだ。
たしかに電気料金の明細なんて、見る人あんまりおらんだろうな。なるべく目に触れられないよう徴収する側にとって、都合のいい国民性かも知れない。

再エネ賦課金とは、正式名称を「再生可能エネルギー発電促進賦課金はつでんそくしんふかきん」と言い、太陽光発電や風力発電など再エネの買取に必要な費用をまかなうための賦課金ふかきんになる。
賦課とは「税金などを割り当てて負担させる」という意味だから、再エネ賦課金は実質的な税金と呼んでいい。

なぜ国は再エネ賦課金をとるのか。再エネ普及のためである。
再エネ発電は原子力発電や火力発電などよりはるかに割高なため、その負担をみんなで負担して、再エネを増やそうというのだ。
具体的に再エネ賦課金は、再エネ普及のための「固定価格買取制度(FITフィット)」を運用するために使われている。

固定価格買取制度(FIT)は、再生可能エネルギーで発電された電気を電力会社が20年間(家庭用太陽光は10年間)買い取ることを国が保証する制度である。
太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスの5つのエネルギーによって発電された電気が、FITの対象となる。

ここでは、代表的な太陽光に絞ってみてみよう。
東京都では、新築住宅等への太陽光発電設備の設置、断熱・省エネ性能の確保等を義務付ける制度を創設し、2025年4月から施行するとしている。
(自称カイロ大学を首席でご卒業された)現知事の肝いり政策として、ソーラーパネルが話題に上ったのは記憶に新しい。

となると、直接的な恩恵にあずかれるのは太陽光発電のメーカー、それを設置する業者、発電した電気を売って金に換えられる事業者・および個人という限られた人達になる。
直接的なメリットのない僕たちは、売電事業で利益を得る彼らのため、高額な税金もどきを強制的に支払わされる構造になっている。

あえて言うなら地球にやさしい政策に対し、国民として納税できることに矜持きょうじを抱き、胸を張れることだろうか。

政府は2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを宣言している。二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにする目標だ。
日本列島をソーラーパネルで埋め尽くせば、環境に優しくない(とされる)原子力発電所や火力発電所を全廃することも夢ではない。
再エネ賦課金によって地球温暖化ガスの排出量をどんどんと減らせるうえ、日本列島がさらに安全で快適な場所になることは間違いないのだ。

って、んなことあるかい!
(明日に続く)

イラスト hanami🛸|ω・)و

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?