「心地良い狂気に酔いしれる」
バイきんぐ単独ライブ「ぺあ(2019)」、「STRAIGHT(2021)」をU-NEXTで鑑賞。テレビでも活躍している人気コンビによる渾身の単独ライブを収録。
1つのライブごとに6本~8本のコントが流れる。どのネタも文句なしに面白かったが、特に印象に残ったのは「STRAIGHT」の「道」だ。西村が同じところでなぜか道に迷い、民家に住む小峠に何度も道を尋ねつづける、というだけのネタなのだが、絶妙なワードセンスと会話の妙によっていつしか爆笑の渦に巻き込まれる。
ありふれた日常のようでいて、西村のクレイジーさが活かされた作品だ。バイきんぐのネタというと西村の狂気が強調されがちだが、実は小峠もなかなかにクレイジーである。そうでなければ、単なる道説明をあれだけ面白くできるはずがない。
「STRAIGHT」では他に、「飲み会」もおすすめである。無礼講に乗じてなぜか上司(小峠)の首を全力で絞めようとする部下(西村)。これだけですでに狂気の世界だ。上司の首を絞める西村はもちろんのこと、何だかんだで毎回首を絞められる小峠もそれはそれでクレイジーである。
「ぺあ」では、「写真館」が面白い。西村が店主を務めるクレイジーな写真館を訪れるサラリーマン小峠。クレイジーといっても、仕掛けは「写真のフラッシュが信じられないほどまぶしい」というだけなのだが、ワンポイントの設定だけで笑いを増幅させられる手腕はさすがである。「世にも奇妙な物語」的なラストもSF好きとしてはうれしい。
ネタ部分はノーカットだが、幕間のトークや映像部分がカットされているため、やや物足りない。
やはり、「ライブは劇場に限る」ということか。
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