『1789』の涙の意味

『1789』の涙の理由を書こうとしていたら、悲しい事が起き、事の重大さに書けなくなってしまった。

その後の経過はあちこちで語られているので、ここでは書かないが、無事に千秋楽の幕がおりたので、まぁ書いてみようかとなった。
(本当に無事かどうかはわからない…)


『1789』の稽古初日(集合日)に発表された退団者の中に、有沙瞳の名前を見つけた時、とうとうこの日が来てしまったと固まってしまった。そろそろと噂はありながら、それを否定したい気持ちが私の中では勝っていた。どこかの組に組替えして、トップ娘役になって欲しいと願っていた。歌えるし芝居は任さんかいだし、実際別箱は無双だった。月組の海乃美月さんは報われたのだから、みほちゃんもそうあって欲しい…。

現実問題、どこにも空きは無かった。可能性があるとしたら、月組のうみちゃんの後、月城かなとさんの相手役しかなかったと思う。しかして、うみちゃんはれいこちゃんと添い遂げそうで、そこにも道は無かったのである。うみちゃんに早く辞めろとは思っていなくて、劇団の差配がそうであったのだと思う。

みほちゃんはアントワネットを託された。初演はトップ娘役がやったアントワネットである。帝劇版でも花總まりさん、凰稀かなめさん、龍真咲さんとトップ娘役、トップスターが担った役である。それを任せられる娘役という事だ。

あのセットのような衣装から♫全てを賭けるのよ〜と出てきたみほちゃんを見て、ぽろぽろと涙がこぼれた。これで有沙瞳を娘役として見ることはないんだな…。

有沙瞳のアントワネットは素晴らしかった。前半の少女の雰囲気を纏ったアントワネットは秀逸、後半で髪を下ろし決意をしたアントワネットへの変化は見事。有沙瞳の集大成だった。

私はみほちゃんが出てくる度に泣いた。

『1789』は礼真琴さんの才能だけではなく、有沙瞳さんの集大成にも泣かされた。


しかし、娘役とは酷なものである。旬が来るまでの期間は短い。旬の頃に相性のよいトップスターがいなければ、トップ娘役という座には座れない。酷である。


願わくば、有沙瞳さんのこれからに、明るい光が差しますように。





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