任意売却に必要な知識

任意売却では債権者と債務者の権利関係について理解しておく必要があります。

・代位弁済とは?
・売却後の残債の取り扱いについて
・遅延損害金について
・自己破産について
・債務整理、民事再生などの手続きについて
・競売の仕組みと流れについて

概ねこれらの事については理解しておくと良いでしょう。

あとは、宅建を持たれているなら問題ないと思いますが、民法上の基礎的な知識は当然持っておきましょう。

物件・債権・抵当権・保証・連帯保証などですね。

任意売却の実務

売買の流れ自体は通常の売却と変わりません。

任意売却では抵当の抹消と売主の引っ越し、現場の空き家化について気を配り作業をしておけば問題ないと思います。

収集した情報を元に債務者へアプローチ
  かなりの確率で売却の相談に乗ってくれるはずです。

売却の相談

  延滞情況・その他の借り入れ・残債・固定資産税等の滞納状況・保証人、連帯保証人の確認及び意思確認・民事再生の手続きの有無の確認・引っ越し先の確認・動産の処分について・売却方法について

抵当権者との打ち合わせ

  任意売却同意書・査定書

売却開始

  専任媒介

  抵当権者への定期報告

売買契約

引越し
  引っ越し費用の捻出

抵当権抹消の準備
  分配表の提出

決済・所有権移転

3~7については通常の売却とほとんど変わりません。

違う点は、分配表を作成し、抵当権抹消の最終稟議を上げてもらう事くらいでしょうか。

売却の相談


債務者との相談で、置かれている状況や最悪の事態についてを把握し、どうすれば少しでも楽になれるのかを説明します。

こちらが聞き取る内容としては
延滞情況
代位弁済の予告が来ているか?代位弁済がなされているか?
を確認し、猶予期間がどれくらいあるのかを把握します。

その他の借り入れ
住宅ローン以外に借り入れがある場合は、その状況を確認します。

無担保のローンでも延滞があれば差押が入る可能性があるので、必ず確認が必要です。

残債
住宅ローンの残債の大小によって、後の支払い方法にも影響がでますし、場合によっては自己破産を並行して進めるようにします。

固定資産税等の滞納状況
固定資産税やマンションの管理費、修繕積立金等に延滞があれば、差押が入る可能性があるので、必ず確認が必要です。

返済の打ち合わせを事前にしておけば、差押を待ってくれる事もあります。

・保証人、連帯保証人の確認及び意思確認
所有者だけではなく、連帯保証人などがある場合は確認が必要です。

本人が支払えないという事は保証人へ督促が行くという事なので、保証人、連帯保証人とも打ち合わせが必要です。

いくらか払ってくれるケースもありますし、家を売却し残債を月々分割して払っていく説明をしてあげれば納得してくれやすいです。

あえて”競売にしたらいい”という保証人さんはほぼいないですから。

民事再生の手続きの有無の確認
債務者が過去5年以内に民事再生の手続きをしている場合は、任意売却はできませんので、確認が必要です。

引っ越し先の確認
差し当たっての引っ越し先があるかどうかを確認しておきます。

実家など、引っ越しできる所があればなるべく早い段階で引っ越ししてもらうと良いでしょう。

無い場合は、賃貸物件の斡旋を準備しておきます。

また、引っ越し費用につて抵当権者に確認しておく必要があります。

大抵の場合認めてくれますが、保証会社によって金額の上限があったり、全く認めてくれなかったりします。

全く認められない場合は、抜け道を確保するようにします。
※これは大きな声では言えませんので、個別で教えます。

動産の処分について
動産と言えば聞こえはイイですが、実際は不要なゴミや家財道具です。

現場に置いて行かれると困るので、置いておかざるを得ない物がある場合は、撤去処分費を計上するようにします。

売却方法について
売りたくて売る人は少ないので、なるべくこっそりと販売する必要がある事が多いです。

なので、看板やネット掲載、写真の掲載等については配慮しながら確認しておきましょう。

抵当権者との打ち合わせ


一番重要な作業が、この抵当権者・関係者との打ち合わせです。

物件の内部写真を多く撮影し、状況を抵当権者に説明しやすい様にしておきます。

ゴミの処分費や引っ越し費用、クロスの張替えなどの手直しの費用などを考慮して、価格査定を行い、査定書を提出します。

価格については、はっきりと

「これ以上で活動してください」

と指定してくれる抵当権者が多いですが、指定されない場合でも

「この価格で販売活動します!」

という事をはっきりと書面で伝えておくと良いでしょう。

担当者はそれを元に抵当権抹消の稟議を上げますので、大体のラインは把握していますから。

NO!と言われる部分もありますが、販売活動をしながら報告・相談することで、価格の再設定に応じてくれたりします。


抵当権者には通常、

・査定書

・任意売却同意書

・仮分配表

・専任媒介契約書

等を提出します。

必要な書類は抵当権者によって違いますので要確認です。

遅延損害金とは別に、元の抵当権者に対する延滞金利が発生しているかどうか?の確認も必要です。

取引直前になって請求されるケースもあるので、注意が必要です。

任意売却を本業とする為に


任意売却を本業とする為には、債務者情報の入手が一番重要な事になります。

仕事の80%以上がここにあると言っても過言ではありません。

これさえ入手できれば、あとは簡単です。

1件1件無差別に訪問するような非効率な事をする必要も、広告宣伝を大きくする必要もありません。

事の性質上、なるべく内密に目立たないように売却してあげる事が必要であったりするので、後は専門家としての信頼を勝ち取るだけです。

さあ、あなたも任意売却にビジネスとして取り組んでみませんか?

わからない事等がありましたら、サポートさせて頂きますので、お気軽にお問い合わせください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?