鬱病の私を励ました歌〜愛は勝つ
「愛は勝つ」が大ヒットした歌手のKANさんが亡くなったニュースを見た。
私が鬱病だった頃、なんとか普通の生活に戻りたくて、マイルールを作って過ごしていたことがあった。
朝8時頃、子どもが学校へ出ていき、それを窓辺の椅子に座って見送っていたはずが、子どものただいまの声でハッとすると、もう3時だった、なんてこともしょっちゅうだった。
その後親戚の勧めで病院に行き、通院するようになり、カウンセリングだけで3年かかったが、次の予約はいりません。
辛くなってまた来たくなったら、いつでも来てください。
そう言われてから10年たつ。
新しい職場で知り合った人たちは、私がかつて鬱病だったと伝えたら驚くだろう。
私の場合、橋本病が悪化したことが原因だから、一概には言えないけど。
それでもカウンセラーさんに色々指導してもらって、たとえばアサーションな言い方を練習して、嫌なことは嫌だと言えるようになったり、一人で抱えず誰かに相談することを自分に許したり。
そんな積み重ねが今も心が元気でいられる理由なのだと思う。
だけど今でも鬱病だった頃の、まるで全く違う世界に生きていたような、全てがネガティブで、意識が混沌としていく状態を覚えている。
いつか何かの形で物語などで表現したいと思っているけれど、まだ生々しすぎて言葉に変換できずにいる。
そんな悲惨な精神状態だった頃。
シングルマザーで子供の世話をしなくてはならず、子供の前ではなんとか普通にしようと一人で頑張っていた。
その頃、自分がひどくネガティブなことばかり考えていることは気がついていた。
それをポジティブに変えるほどのエネルギーはなく、だけどどこまでも落ちていてはいけないと、もう一人の私が私を励ましていて。
その時に、たまたまこの歌がテレビで流れた。
最後に愛は勝つ。
その言葉はあの時の私の心の支えになった。
「心配ないからね。
どんなに困難でも信じることをやめないで
必ず最後に愛は勝つ」
思考力がなくなっていて、何がどうと考える余裕はなかった。
本能的にこれらの言葉に、そこに込められた言霊に縋ったのだ。
私は手帳にこう書いた。
自分がネガティブなことを考えていると気がついたら、何も考えず「愛は勝つ」を歌うこと。
馬鹿みたいに歌っていた覚えがある。
心配ないからね、から、最後に愛は勝つの短いフレーズを、何度も繰り返して歌っていた。
声に出せなくて、頭の中で歌っていたこともある。
光が見えない日々の中で、それでも愛ある選択を繰り返していけば、いつか必ずまた光のある場所に出ていける。
暗闇の中で差す光のような言葉。
「必ず最後に愛は勝つ」
すごいよね。
あれから何年も過ぎて、さっき昼休みに訃報を見て言葉を失った。
頭の中で歌ってみたら、休憩室にいるのに涙が溢れてきた。
素晴らしい歌を作ってくれたこと。
心から感謝します。
きっと私のようにたくさんの人の心に光を差したのだと思う。
心からの感謝と、心から冥福を祈ります。
ありがとうございました。
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