Aureoleの新譜『Spinal Reflex』がリリースされました。

Aureoleの新譜『Spinal Reflex』。ミニマル・ミュージックをいわゆるJ-Rock的な文脈(ロキノン云々含め)にここまで上手く取り入れたアルバムはかつてないのでは。非常にコンセプチュアルなアルバムで、色々な文脈が入り乱れています。

Aureoleは元々、極めてわかりやすく言えばレディオヘッド~シガーロス~ムームといった、ポストロック/エレクトロニカ周辺のサウンドを巧みに咀嚼した上でオリジナリティあふれるポップミュージックを提示してきたバンドで、本作でもそういった要素はさまざまな所で聴きとることができると思います。

とはいえ、いままで彼らのアルバムを追ってきた人たちは、今作で聴ける獰猛なダイナミズムには驚かれるでしょう。上にも書きましたように、本作で目立つのはミニマル・ミュージック×J-Rock的なサウンドであり、以前のような繊細な印象を残しつつも非常にパワフルなムードを前編に漂わせています(とはいえAureoleは以前からミニマル・ミュージックの要素を持ち合わせていたことも重要です)。

なぜぼくがこれほどJ-Rockという名前を出しているかといえば、『Spinal Reflex』のサウンドを聴いて、このバンドのフロントマンでありインディー・レーベルkilk recordsのオーナー・森大地さんが、J-Rockリスナーとの繋がりを意識しているように感じたからです。それはマーケティングの視点からでもあり、この国でバンド・ミュージックをやるということへの強い意志と選択の結果だと思います。しかし、もちろんそこに媚びているわけではまったくありません。ぼくがここで言っているJ-Rockへの意識、というのは音色やメロディ、フレージングの選択の際、J-Rock的なものへの視点が挟まれているというもので、楽曲の構造はかなりチャレンジングなものになっています。この点に賛否あるかもしれませんが、ぼくは支持したいと思います。

また、ポストロックという広大な音楽ジャンルに属しているバンドで、スティーヴ・ライヒ的なミニマル・ミュージックをロック・バンドのフォーマットで、というサウンドを鳴らすアクトが少なくない数見られますが、このアルバムはそういった音楽の中でもコンセプトの達成度とサウンドのクオリティが群を抜いています。そういった視点で見ても彼らの音楽は面白いかもしれません。

Aureoleに大きな影響を与えたバンドとしてレディオヘッドがあると思いますが、レディオヘッドのトム・ヨークがある時期からミニマリズムを志向するようになって、アトムス・フォー・ピースを結成したことを『Spinal Reflex』を聴いて連想しました。

バンド・ミュージックがミニマリズムに向かう、というのは優れたミュージシャンたちが様々なパターンでいままで行われてきましたが、今もまだその動向は世界的に見られ、面白い音楽が産まれていることの一つの象徴が本作と言えるかもしれません。そう考えると、本作で聴けるビブラフォンのアグレッシヴな鳴りが産声のようにも聴こえます。

youtubeで聴ける『Spinal Reflex』収録曲をいくつか貼っておきますね。本文はこれらの音源を聴きながら読んでいただけると楽しいと思います。

最後に、Aureoleは今年の3月にライブベストアルバム『Awake』(タワーレコード渋谷店限定)をリリースした際、画期的なプロモーション方法を展開していました。それについて詳細に語っている鼎談記事[森大地(Aureole)、高野修平(トライバルメディアハウス)、清水真広(タワレコ渋谷店→現・吉祥寺店)]を最後に紹介しておきたいと思います。『Awake』は『Spinal Reflex』で展開されたロック・ダイナミズムを、彼らの過去の音源と連結させている重要な作品でもありますので、みなさん、ぜひ読んでみてください。

「インディーズでもやればできる。Aureoleがタワレコをジャック」                                 http://www.cinra.net/interview/201505-aureole                  



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八木皓平

コメント2件

私は音楽は詳しくなくてミュージシャンの名前なんか全然知らないし書かれている音楽の用語も文脈もわからないのですが、八木さんの選ぶ音楽がいつも心地よく、noteにアップされると仕事しながらBGMで聞いています。
そう言って頂けますと大変光栄です・・・!!これからも良い音楽をレコメンドしてゆこうとおもいます!!
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