お勧めの古典ギリシア語学習用のアプリについて(アンドロイド向け)

 プラトンやアリストテレス、新約聖書を原語で読もうと思って古典ギリシア語を勉強し始める方も中にはいると思う。かつてはまず大学の授業を取り、田中美知太郎・松平千秋『古典ギリシア語入門』とリドル・スコットの小型版を手に入れ、それ以上のものを揃えようとすれば中型辞典、大型辞典、文法書と買うことになり、少なからぬ出費を覚悟しなければならなかった。未だに希和辞典は古川のが数万円、シュタウブで15000円となかなか手が出せる金額ではない。ところが古典ギリシア語を勉強する際に最終的に持っていることが望ましいとされる辞書や文法書がありがたいことにアプリで公開されているのである。本当に良い時代だと思う。僕が大学生の時には恵まれた機会を活かしきることができなかったのが悔やまれるが、今の大学生はただうらやましい限りである。

 希英辞典のスタンダードはリドル・スコットという編集者の名を冠した大分な辞書があり、読む文章に応じて中級と初級向けに中型辞典と小型辞典とが用意されている。小型辞典は新約聖書を読むのに必要な語彙が、中型辞典はプラトンの対話篇などを読むのに必要な語彙が採録されており、大型辞典はそれでも足りなくなった人が用いるとされている。しかし中型と小型は単語の意味が簡潔に記されているだけのことが多く、出典や用例について詳しく知りたい読者には物足りないことであろう。ところがリドル・スコットそのものが公開されている。これを活用しない手はないであろう。iPhoneなどのiOSであれば迷わずLogeionをお勧めするのだが、筆者はアンドロイドユーザーなのでGrapheusというアプリを使用している。辞書の引き方はアルファベットを入れていくとなんとなく傾向が分かるので、覚えていけるであろう。アクセントは無視して引くことができる。

 田中・松平『古典ギリシア語入門』は文法事項の説明が充実していて、訳す際のニュアンスなどが詳しく、本当に読むための文法書である。ただ、大学の授業で初級文法を習う際にもSmyth(スマイス)を持っておくように指示され、授業でたびたび開いた記憶がある。そしてなんとそのスマイスも丸々公開されているのである。Greek Grammar for Collegesというアプリで見ることができる。説明自体が平易なので、時々気になるエントリーを眺めるだけでも勉強になる。

 検索すると有料のものも無料のものも様々なアプリが公開されている。無料のものであっても、辞書のエントリーが欠けていたり、レイアウトが見にくかったりするのだが、以上に紹介したものは特に問題なく使用できている。有料のものは使ったことがないのでわからない。ギリシア語辞典はスマホに入れておくと言葉の広がりを感じるきっかけになったりするので、入れておくことをお勧めする。

 ちなみにiOS向けにシカゴ大学が公開しているロゲイオンの姉妹アプリにアッティコスというアプリもあり、これはプラトンやアリストテレスをはじめとする古典期の主要作品を丸々スマホに入れられるアプリである。(うらやましすぎる!このためにだけiPhoneユーザーになりたいと思う時がある。)そして、語形変化の詳細と意味もそのアプリだけで引くことができるので、読みたいテクストがある方はまずこれを入れることをお勧めする。(←誰得?)

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