10代の頃の思い出

今まで生きてきた年月よりも残りの人生のほうが短くなると、若い頃のあれこれを思い出す。

映像や言葉で思い出すというよりは、心象風景として思い出す感じがする。例えば、ある日の夕方、ものすごくきれいな夕焼けで、それをいつまでも見ていたこと、そして、次の日高校に行ったら、クラスメートとその話になって盛り上がって、一人の友人はその夕焼けを追いかけて街はずれまで見に行ったと話してくれた。それがどんな美しかったか、どんな色合いだったかは今となっては全く覚えていないんだけれど、とにかく、それまで見た中で一番きれいだったこと、そして、その感動を共有できる友人たちがいたことは、私の心の中に今でも大切な宝物としてしまってある。

同じように中学・高校の頃に聴いた音楽も私にとっては忘れえぬものの一つ。その頃は日本ではフォークソングブームで、シンガーソングライターが雨後の筍のように出てきたけれど、私は日本的なウェットな歌が苦手で、FEN(極東放送:日本の米軍向けの放送)で最新のポップスばかり聴いていた。私と音楽の嗜好が似ている友人は一人くらいしかいなくて、彼女のほうが詳しくて、いろいろ教えてもらったものだ。その友人も、30代の頃、幼い子供たちを遺して亡くなってしまったので、思い出を語り合うことはもうできなくなった。

それに、当時夢中になっていたミュージシャンもみなご老体だったり、亡くなったりしているので、わが身も老いたことを改めて思う。
ちょっと、私が覚えているのを数え上げても、カレン・カーペンター、フレディ・マーキュリー(そう、だから『ボヘミアン・ラプソディ』は7回見た)、デヴィッド・ボウイ、レオン・ラッセル、チャーリー・ワッツ、最近では IL DIVOのカルロス・マリンとか……。
ほんと、寂しいもんです。

でも、駅までの道すがら、たいていは頭の中に音楽が鳴り響いている。それはオペラのこともあったり、日本の「丘を越えて」(これって歌いやすいし名曲です、矢野顕子がカバーしてて好きになりましたけどね)とか。多分、その時に気分と歩く速度に関係しているような感じ。
先日は、突然、ジャニス・ジョプリンの曲の一部分だけが何度もリフレインしていて、でも曲名が思い出せなくて、YouTubeで検索して判明したり。
で、今日はなぜか、『Song for You』カーペンターズの曲が有名だけど、レオン・ラッセルの曲なんですよね。私は彼のあの風貌としわがれた声が結構好き。これは亡くなった友人が教えてくれて気に入ったんです。

YouTube検索していたら、なんと、ウィリー・ネルソン、レイ・チャールズと一緒にライブをやっていたのが見つかって、ちょっとウルウル来ましたね。だって、彼らも本当に歳をとっていて、でも、それが本当にいい歳の取り方を感じたからなんですけど。若い頃と違った、味のある歌でした。




 

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