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日本語考「オブラートに包む」

はじめまして。
旅度(たびたび)です。
つい先日、課題をやっていたらふと、「オブラートに包む」という慣用句が頭に浮かび、実はすごい皮肉表現なのでは?と考え始めました。当たり前かもしれませんが、学校にある辞典という辞典を読み漁った結果を自論を混ぜこみながら話してみます。(ここからは常体でお話します。)

初めに、「オブラート」は辞典ではどう説明されているのか。辞書を引くと、「澱粉などで作られた薄い透明の膜状の物質。飲みにくい粉薬などを包むのに用いる。」との事。ほう。これを念頭に、「オブラートに包む」を引いてみると、「相手に刺激を与えないように、ぼかした遠回しな言い方をすること。」とある。
前提が揃ったところでここからこの慣用句の根を掘っていこう。そもそも薬とは、一般的には好まれるものではなく、“嫌”なものであり、それがオブラートによって隠されていると考えることができる。実際の「オブラートに包む」場面では、相手に伝えたい“嫌味”を隠すようにやさしく話していることが一般的だろう。ここまででも中々似ているように見えてくる。更に言うと、オブラートは“透明”なもので且つオブラートが包んでいるそのものの正体がわかっているのが普通だ。実際の場面でも、「オブラートに包ま」れた方は相手の本心を理解していることが多い。加えて、少々強引な考え方だが、オブラートは口に含んだらすぐに溶けて無くなるという特徴がある。会話をしていても、「オブラートに包ん」だ表現も相手に届いた瞬間その包みはなくなり中身が丸見えになり、包んだという事実だけが残るのだ。
どうだっただろうか。これらの点より、「オブラートに包む」という慣用句は、この表現がなされる場面をオブラートそのものの特徴から的確に表したものといえる。
日々用いる慣用表現も、このように真面目に紐解いてみるのは中々面白い。皆さんも是非、こんな日本語の沼に嵌って見てはいかがだろうか。

ここまでお読み頂き、本当にありがとうございました。もう皆さんお分かりかと思いますが、私は大の日本語好きでして。辞典は読み物です。本も大好きで、色々なジャンルの本を読む日々を送っております。不定期ではありますが、今後私「旅度」 の独り言を読んで頂ければ幸いです。加えてInstagramの方も覗いて頂けると嬉しいです。失礼します。(2023.04.10)

参考文献
・広辞苑 第五版(岩波書店)
・成語林 中型版(旺文社)
・標準国語辞典(旺文社)
・国語辞典 第九版(〃)
・新明解国語辞典 二〇二三年版(三省堂)
・明鏡国語辞典(大修館)

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