ゴールドマンサックス日本撤退に思うこと

 なんと先ほど衝撃のニュースが飛び込んできた。ゴールドマンサックスが日本を撤退するらしい。外資系企業でこのような事態は珍しいことではないが、あのGS(ガソリンスタンドではない)が?という驚きがあった。

 GSと言えばべらぼうに高い給料で知られ、伝統的に就職偏差値のトップに位置付けられていた。筆者の知人でもGSに進んだ人間はいるが、すさまじく優秀だった。ほぼ完ぺき人間に近い。まさにエリートの中のエリート、就活界の東大理三だったと思う。社員の学歴は基本的に東大経済か東大理系院卒だ。他の出身者はよほどの強みがない限り、きついと思う。

 外資系企業は首切りが激しいし、今回のように日本撤退というケースも珍しくない。そのため、最初から転職前提のキャリア設計であることが多い。だから外資系の人間は成長意欲が高いし、長時間労働にも文句を言わずに頑張るのである。

 となると、実はキラキラ外資系企業というのは「修士課程」に近いのではないかと考えられる。人間というのは肩書に弱い生き物なので、初手で一流企業に入っていると、その後の転職でも有利だ。しばしば「元マッキンゼー」とか「元ボスコン」といった人物をメディア等で見るが、こうした人物もだいたいが数年で離職している。ただ、それをドロップアウトと取るのではなく、前向きなキャリア形成ととらえるのが外資系の特徴だろう。

 就職偏差値の話をしたのもそれが理由である。JTCは終身雇用が前提なので、就職偏差値に大きな意味はない。せいぜい内定から卒業までの数カ月の間にマウントが取れるくらいである。それ以降になると社内での立ち位置の方が重要だ。社風は合うかとか、出世しやすいかである。就職偏差値が使える機会は婚活だが、これもブランドよりは勤務地とか安定性の方が重要なのではないかと思う。財務省の方が三菱商事よりも就職偏差値が高かったとしても、女性側にとってのメリットが大きいのは三菱商事である。

 ただ、外資系の場合は転職前提なので、ファーストキャリアで上位の所に入っているとやはり有利だ。GS社員なら転職先はより取り見取りだろうから、多くは似たような外資沼のどこかに落ち着くか、事業会社に転職する者と思われる。困るのは二番手以下の外資の社員だ。GS社員が下りてくることで二番手以下の社員が押し出し式に首を切られる可能性が高い。このような話はリーマンの時もあったらしい。

 ネット上の就職偏差値の上位には外資系が並ぶのだが、あのような表の意味は乏しいかもしれない。JTCと外資系はキャリア観があまりにも異なるため、比較は極めて難しい。

 GS出身者で有名なのは松本大や最近だと申真衣だろうか。意外なところでは元子役の細川貴嶺などもいる。「太ってるけど細山です」のあの人だ。いずれもGSを離れているが、超一流企業の社歴はある種の修士号のような形で一生肩書として使えるようである。

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