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高身長、ステータスとして無意味説

 世間には三高という言葉がある。学歴マニアにとっては京大が思い浮かぶかもしれないが、その話ではない。高学歴・高収入・高身長という男性の三大ステータスのことである。筆者は今まで散々学歴と収入の考察をしてきたが、高身長に関してはあまり考察してこなかった。今回は身長についての雑感を述べたいと思う。

 筆者は残念ながら身長に恵まれなかった。小学生の時から背は低かったし、中学生になっても結局伸びなかったなという実感はあった。ただ、筆者はあまり人生で悩むことはなかった。というのも、身長というものにあまり意味を見いだせなかったからだ。

 まず、身長が高いことと勉強の出来不出来には全く関係がない。というか、東京大学はなぜか背が低い人間が多かった。クラスの背の順で筆者が最も後ろにいたのは東大のクラスである。

 また、筆者が通っていた進学校はインテリ気質の人間が多かったので、あまり高身長は問題でなかった。頭がいいとか、特技があるとか、コミュ力が高い人間は尊敬されていたが、身長が争点になったことは無いと思う。

 更にいうと、身長は身体能力にも決定的な影響を与えない。身長のステータス性は人間の身体的強さと結びついているし、身体的強さが社会で戦う上で重要であることは間違いない。しかし、身長はそれらとの相関があまり強くないのだ。

 まず、身長の高さと身体の大きさや筋肉量は別だということである。確かに相関はしているかもしれないが、肩幅や骨の太さは身長とイコールではない。腕っぷしの強さと関係が強いのはもちろん後者の方である。

 身長が高いとスポーツに有利と言われる。確かに間違ってはない。野球やバスケには身長が高い選手の方が有利だろう。ただし、競技によってはむしろ背が低い方が有利なものもある。体操など自重と戦う競技だ。階級制のスポーツやマラソンなども身長は重要性が低い。卓球などもそこまでだ。

 腕っぷしやスポーツも良いが、実際に最重要なのは体力の方である。これは身長はほとんど関係ないだろう。マラソン選手は大して背が高くないことが多い。仕事上の体力もあまり身長とは関係ないだろう。ましてや免疫力や徹夜力なんかも身長とは無関係である。

 そもそも、身体能力に絶対的な強さが求められるのは若い間だけだ。年を経るにつれ、健康状態とか肌の綺麗さの方が重要になってくる。高齢になってくると、足腰の状態も重要だ。この段階になってくると、むしろ高身長の方が不利にも思えてくる。高身長の人間のほうが疾患を抱えやすいし、腰への負担が大きいからだ。

 これらの理由で筆者はあまり身長を重要と思っていなかった。筆者は身体能力に劣等感を持っていたのだが、それはどちらかというと、運動神経の悪さや持久力の無さだった。世の中には身長コンプから骨延長術を行う人がいるらしいが、アホじゃないかと思う。骨延長術で基礎体力や腕っぷしが変わるとは思えないし、変な手術で感染症を起こしたり、歳が行ってから不具合を起こしたら、身体能力は深刻に低下するに違いない。

 それでは低身長が不利になることは本当に無いのだろうか。いや、そんなことはない。低身長は身体能力の低さを示すものではないが、いくつかの場面では明確なデメリットをもたらすだろう。

 まず、低身長は第一印象という点で若干だが不利である。就職超難関企業の人間を見ていると、身長は170センチを超えている人間が多かった。ビジネスには威圧感も必要と言うし、高身長の人間の方が頼もしいように思えることが多いようだ。インテリ色の強い世界では身長が問題にされることは皆無なのだが、一般企業はインテリ要素だけで回っているわけではなく、場合によってはマッチョイズムが求められるだろう。こうした社会で低身長は舐められることに繋がるわけである。

 ただし、あくまで「若干」だ。身長は結局のところ、学歴や資格に比べればほとんど影響はない。それよりもハキハキ受け答えするほうが大事だ。体育会系採用の人間ですら、みんなが高身長ではない。野球部やラグビー部はともかく、柔道とかスキーとかヨットとか登山といった分野では別に身長の要素は重要ではないのである。

 それよりも遥かに問題となる場面が存在する。恋愛だ。

 なぜかは分からないが、女性は男性の身長にすさまじく重きを置いているようなのだ。

 男性社会では身長は手段にすぎず、スポーツで実際に成果を挙げているのはもちろん、腕っぷしとか筋肉量の方が重要度が高い。ところが、モテに関しては身長がやたらと重要視されるのである。男性社会では低身長でもマッチョのスポーツマンは尊敬されるのだが、女性から見ると評価は芳しくない。

 特に深刻になるのがマッチングアプリのような大勢の中から選別を受ける場面である。身長のような外形的な基準で足切りされやすいからだ。これは就活における学歴フィルターのようなもので、かなり不利だ。低身長の女子は意外と身長にこだわっていることが多い。むしろ160台の女性の方が身長へのこだわりは少ない。しかし、このゾーンになると低身長男性よりも背が高いことがあり、ハードルが高くなってしまう。

 筆者の考えた解決法は2つである。1つ目はモテなどというよくわからんものは諦めて、最初から婚活を念頭に置くことである。そもそも伴侶に選べるのは一人なのだら、100人から求愛されても無意味だろう。婚活の場合は本能的な要素が薄まるので、有利に運びやすい。2つ目はマッチングアプリが不利であることを認識し、コミュニティのつながりを利用することである。人間は似たような界隈の人間と気が合いやすいし、紹介する側もある程度相性が良さそうな人間をピックアップするからである。幸い筆者は尖った人間なので、一部の人間からは妙にウケることが分かった。なんか趣味でもあると攻めやすいだろう。

 こうして何とか恋愛面でのハードルを超えることができた。身長が低いと中高時代に自己肯定感が低くなるという話もあるが、筆者は当時はあまり真面目に考えたことがなかった。たぶん、高身長に対する意識を遥かに上回るレベルで高学歴に固執していたからだろう。当時の自分に180センチ早稲田卒と160センチ東大卒の二択を突きつけたら迷わず160センチ東大卒を選んだと思う。見込みがなさそうな分野で張り合うのはやめて、勝ち目のある分野で勝負しよう。

 

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