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骨のひとかけらも残さず(意味が分かると怖い話)

 ある日、俺の目の前に悪魔が現れた。嫌いな奴を一人言えば、そいつをこの世から消し去ってくれるらしい。俺は今まであった嫌な奴の顔を思い浮かべた。そうだ、殺してやりたい奴といえば高校の同級生のAだ。あいつにひどいいじめを受けたせいで、俺は高校を中退する羽目になったし、いい大学にも行けなかったんだ。俺はAの名前を挙げ、悪魔は了承した。悪魔の呪いは強力で、骨のひとかけらも残さず粉砕してしまうらしい。綺麗には逝けないようだ。ざまあみろ。俺の胸は高鳴った。

 しばらくして、俺は自分の願いの結果を知ることになった。俺はAを殺すという目的を達しなかったばかりか、3人もの無関係な命を奪ってしまったようだ。命は落とさなかったが、目が見えなくなった人もいる。よく調べもせずに安易に願いを言ったことを俺は後悔した。














答え
 Aはすでに死んでおり、臓器移植がされている。Aの臓器は様々な人の体内に移植された。悪魔への願いにより、これらの臓器は粉砕されてしまったため、心臓や肺を移植された人は死ぬことになった。角膜を移植された人も目が見えなくなってしまったのだ。

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