コスパのいい学歴、コスパの悪い学歴はこれだ!!

 以前の記事のコメントで学歴とコスパに関するものがあった。今回はコスパのいい学歴とコスパの悪い学歴について論じてみたいと思う。

コストとパフォーマンスって何?

 理屈っぽい人間あるあるだが、まずはそもそもコストとパフォーマンスとは何かということをはっきりさせたい。学歴のコストに当たるのは難易度と学費である。これに入ってからの卒業の大変さを加味してもいいかもしれない。また、そこにたどり着くまでの精神的な幸福度も加味したいと思う。

 パフォーマンスに当たるのは就職である。就職の良さはもちろん、その業界に進んだ時の将来性・労働環境・安定度といったものも考える必要がある。ステータスが高くても不幸な職場というのは沢山存在するので、難しいところである。

コスパのいい学歴

早慶文系(高校受験組)

 これが恐らく日本で最もコスパのいい学歴だと思う。異論がある人間は少ないだろう。

 まず、日本のビジネス界は早慶中心で回っており、大手企業に入社・出世する上で早慶が天井に引っかかる可能性はまずない。ブランド力で東大には勝てないが、東大でないと活躍できない業界は一部に限られ、一般社会で生きている限りどこに行っても重宝されるだろう。

 それにブランド力では東大以外の大学に負けることは無いと思う。一橋・東工大は入試難易度は高いかもしれないが、ブランド力は弱く、早慶は数で圧倒できる。それに東大に届かない生徒は早慶にも一橋にも流れるので、早慶とMARCHのような明確な優劣はできにくい。地方旧帝大に至っては地理的優位により敵ではないだろう。首都圏一極集中が今後も続いていくと考えると、早慶のブランド力は更に上がっていくだろう。

 ここで重要なのは早慶にどうやって入るかだ。最も簡単なのは大学から入ることだ。ただし、上位の学部に入ろうとすると勉強量が多く、それなりに大変だ。また、入学してからも情報などで遅れを取りやすく、入ってから不利な側面が強い。早慶では内部生の方が概ね就職は良いし、最近は大学から入ってきた学生が雑多になっているため、その傾向が強まっているように思える。

 早慶に小学校から入ろうとするのは至難の業だ。慶応幼稚舎は学費が高いし、小学校受験の最難関である。したがってこの選択肢は多くの人にとって無い。中学受験も非常に熾烈な競争があり、教育虐待一歩手前の人間を多数見てきた。この点で高校受験は大変コスパがいい。中学受験ほど競争が激しくないし、大学受験と違って大学に行ってから優位に立てるからだ。正直、微妙な高校から早慶に大学から入るよりも、人事からのウケは良い。

MARCH文系

 これも早慶と同様だが、MARCH文系もコスパは良い。大手企業への挑戦権を得られるからだ。世間では高学歴はMARCH以上と言われるので、大手企業に入り込めればそこそこ安楽な暮らしが手に入るはずだ。

関関同立

 関関同立の難易度はMARCHよりもやや低いが、社会でのステータスはMARCHとあまり変わらない気がする。関関同立出身で活躍している人物は結構多い。MARCHが早慶に押さえつけられるのに対し、関関同立は上に早慶に相当する大学がないので、伸び伸びと暮らせるのかもしれない。

地方国立の理系

 これまたコスパのいい学歴だと思う。地方国立大学の難易度は年々下がっているし、高校三年間マジメに勉強していればまず落ちることはないだろう。

 地方は文系の就職先が少ない。せいぜい地銀か地方公務員か学校の先生だ。したがって彼らはいい就職先にありつこうとすれば都会に出るしかないのだが、ライバルとして情報力に長けた早慶やMARCHの人間が多数存在しているので、なかなか厳しい戦いを強いられる。

 一方で理系はそうでもない。地方国立は研究室の推薦で大手の理工系企業に入れることが多いからだ。日本のものづくりは実際問題こうした人材によって支えられているのである。地方国立理系は自分が学んだことを社会に出て生かしやすいため、就職に有利だ。また、学歴ロンダという手もある。文系の学歴ロンダは無意味だが、理系の学歴ロンダはそれなりに有効であることが多い。

 もちろん理系院卒は入ってから勉強が大変だが、入試難易度に比してそれなりの見返りはあるし、社会で活躍していることも可能だ。それに地元に帰ってもそれなりに尊敬の眼差しで見られることが多い。

医学部

 医学部のコスパはいい。当然入試難易度は非常に高く、入ってからもメチャクチャ大変だが、それなりの見返りはある。

 まず医師という職業は日本の中でも最強だということを認識することが重要だ。医師免許を取ればまず食いっぱぐれることはない。給料も社会的地位も高く、やりがいもあり、再就職も容易だ。独立・開業することもできるし、医学研究に生涯を捧げることもできる。

 同等の難易度を誇る東京一工の学生の人生と比較すると医学部の優位は理解しやすい。東京一工の学生の大半は就職活動で一般企業に入ることになる。医師と同レベルの待遇の大手企業に入るのは難しいし、入っても独立開業や転職が難しいことが多い。東京一工の学生はせっかく難しい大学に入ったのに、卒業してみると早慶MARCHと同じ世界に戻ってしまうとも言える。

Fラン大

 あまり認識されていないのだが、Fラン大のコスパは良い。全く学力のない学生でも金で「大卒」の肩書を買うことができるからだ。

 東大だ早慶だという肩書はいわゆる「学校歴」であり、世間が勝手に作り上げた風評のようなものだ。ところが「大卒」は立派な資格要件であり、大卒か非大卒かで応募できる職業の幅が決まってしまうことが多い。Fラン大であろうが大卒は大卒なので、少なくともスタートラインには立つことができる。この効果は大きいだろう。

 一流大卒は資格ではないが、大卒は資格だ。したがって安定性が非常に高い。東大卒であってもコースからはずれれば優位は消滅する。ところが大卒は何をやっても大卒だ。40歳になっても50歳になってもこれは変わらないだろう。

 生涯賃金云々の言説を見ることがあるが、Fラン大卒が高卒に生涯賃金で負けることは少ないと思う。仮に生涯賃金が同等だとしても、大学四年間を都会で遊び倒した方が人生的には幸福なのではないか。高卒にも勝ち組はいるが、彼らはマイルドヤンキーだったり、家が商店街だったりと「地元型」の人間であることが多い。同じ条件ならやっぱりFラン大卒の方が有利だと思う。

京大

 これは社会経済上の利益というよりも学歴厨向けとなってしまうが、学歴ブランドという観点では京大のコスパは非常に良い。

 京大は東大に続く第二位の大学だが、「東大・京大」と並び立てて表現されることも多い。早慶や一橋・東工大が明確に東大の下に位置づけられるのとは大違いだ。理系としてやっていく上では東大と京大の間の差はまったくないと考えて良いだろう。文系は首都圏優位の側面が強く、やや不利だが、それ以上に京大文系の難易度は低いため、コスパはかなり良い。

 京大のイメージの良さは青天井要素かもしれない。メチャクチャ頭のいい人が一橋や慶応だった場合、「どうして東大受からなかったんだ?」と思われることはあるが、京大の場合はありえないと思う。

一浪

 これはあまり認識されていないのだが、学歴で最もコスパがいいのはこれかもしれない。学歴ブランドや就職面で大学受験の一浪が問題になることはまったくない。現役だろうと一浪だろうと、東大をでていれば東大卒として扱われる。また、大学受験の浪人がコンプレックスという人間を私はほとんど見たことがない。

 それでいて、現役と浪人には結構差があることが多い。これは小中高の同級生を見た感想だ。小中の時に出来が微妙だった人間が、浪人によってブーストして名だたる有名大学に合格しているのを多数目撃した。浪人するとやっぱり学力は上がるのだ。大学に入ってこのことを感じる機会はないが、それ自体が一浪のコスパの良さを表している。

 なお、二浪はコスパが良くないと思う。二浪であっても就職に致命的に不利になることはないのだが、予備校の費用・精神的なストレス・学力上昇の頭打ちなどが原因で万人におすすめできる選択肢ではない。二浪で東大に進学した知人は早慶などで仮面していることが多いが、大学生活へのロスを考えると、やはり相応のリスクを伴うだろう。

コスパの悪い学歴

東大

 東大のコスパは悪い。あまりにも難易度が高すぎるからである。東大生の大半は有名中高一貫校の出身で、幼少期から熾烈な競争を経験している。東大生の殆どは小4から受験勉強をしているようなものだ。中高時代を全て勉強にささげて何とか届くのが東大という場所なのである。

 東大の強みは圧倒的なブランド力だ。日本の大学の中でも突出していると思う。実際に学歴をネタにタレント活動をしたり、自由業に手を出したりするには東大の肩書は強いと思う。社会に出てからも東大をでていると言うだけで信用されたり尊敬されることが多い。

 東大のコスパの悪さは就職にある。東大生の大半は一般企業に就職するため、せっかく超難関に合格したところで、早慶旧帝クラスの世界に再び戻ることになる。医学部と比べると、やはり待遇その他の面で見劣りするだろう。

 もちろん官僚や外銀など、並みの医者以上に難易度が高い就職先もあり、東大生は最初からこうした業界を狙うことが多い。ところがこの手のトップエリートはなるのが難しい上に激務であり、過酷な脱落式のレースを余儀なくされる。こうしたレースについていけない大半の東大生は医学部に行ったほうが見返りは大きいだろう。東大という大学はやりたいことのために医師免許の切符を捨てた人の集まりであり、やりたいことで生き残っていける人は少数だということだ。しばしば一流大を出たのにも関わらず、就職しないで俳優になったり起業したりする人がいるが、医者からみた東大生も似た要素があるかもしれない。

中学受験の難関校(開成中など)

 日本で最も過酷な入試は何かと考えると、大学受験ではなく中学受験であることは間違いない。特に首都圏の中学受験は異次元の過熱ぶりだ。理由として考えられるのは中学受験が親の受験だからだろう。子供の自我が育っていないので、親同士の見栄や不安によってヒートアップしやすいのだと思う。東大生ですら「中学受験の方がキツかった」という者が多い。

 正直、ここまで過酷な受験をする必要があるのかは疑問だ。中高一貫校の優位は認めるとしても、過酷な中学受験は別の問題だ。死ぬ思いをして上位校に入ったとしても、入ってから落ちこぼれる人間は多い。開成中に入るのは東大に入るよりも遥かに難しいが、彼らのうち東大までたどり着くのは半分だ。天才集団の中で6年間遅れずに学力をキープし続けるのは極めて過酷だと思う。大学受験に失敗した場合、コンプレックスを抱える危険性も高い。名門中学に入っても「学校歴」としての意味が乏しいことを考えると尚更だ。

 要するに、死ぬ思いをして難関中学に入っても得るものは少なく、落ちこぼれたりコンプレックスを抱えるリスクが高まるということだ。中高一貫校に通うメリットは大きいが、これは中学受験の過酷な競争とはまた別の要素だ。

 ちなみに、どうしても高校名にこだわりたい場合は高校受験の方がオススメだ。首都圏高校受験はがら空きだからである。周囲を見ていると、開成に高校から入る難易度は東大と大体同じかやや低いと思う。それでいて、進学実績はなぜか中学受験組と変わらないので、コスパは良い。

旧帝文系

 日本の大学は大学名と学部名で大体難易度が決まることが多い。したがって宮廷文系はそれなりの難易度であり、早慶文系の簡単な学部よりも確実に難しいと思う。

 ところが宮廷文系は就職先が微妙だ。まず地方は文系の就職先が地方公務員と地銀・インフラ・地場産業くらいしかないということが挙げられる。旧帝大の難易度とステータスを考えると、どうにも見劣りすることが多い。その上地方は衰退局面にあり、文系そのものの将来性も怪しいことから、旧帝文系はそのままだと見通しが暗いと思う。

 都会に出ていけば話が別だが、都会は早慶が完全に地位を確立しており、宮廷文系は肩身が狭い。正直、格下扱いされることも多いだろう。やっぱり地元の大学のステータス性は強いのだ。外資系企業で早慶を見ることは多いが、地方旧帝を見ることはまずない。上場企業の社長もやっぱり早慶が多い。日本のビジネスエリートは東大・京大・一橋・早稲田・慶応の五大学に独占されており、地方旧帝が入る余地は少ないように見える。

準一流大学

 旧帝文系に似た側面があるが、準一流大学もコスパは悪い。具体的には筑波大・横国・お茶大・金岡千広などだ。理由は単純で、科目が多く入るのが大変な割に早慶に完全に上から押さえつけられるからだ。日本の高学歴の世界では早慶旧帝以上が評価されることが多いので、準一流大学はそこまでステータスが高くない。準一流大学に行くなら早慶の下位学部に潜り込めないかを考えたほうがいいと思う。

文系大学院

 コスパを考えて進学する人間は皆無だと思うが、文系大学院のコスパは悪い。日本の文系就職で文系大学院がプラスになることは皆無で、基本的に二浪と同じ扱いだ。

 文系大学院に必要な学術的探究心がビジネスエリートに求められていることと著しく乖離していることが原因の一つだろう。文系学問の奥深さを知ってしまうと、営利会社で働くのが馬鹿らしくなってしまう。文学部哲学科の大学院でヘーゲルの研究をしていた人間が営業成績を上げて部長に出世することを目指すとは思えない。むしろ鬱々としてしまうのではないか。

 文系大学院は学者にならない場合、就職面でプラスになることはない。むしろマイナスだと思う。理系にも似た要素はあるものの、修士であればプラスになる。文系に求められる総合職的な働き方は文系学問との相性が悪く、だからこそ文系の大学生は四年間遊び倒すのである。

 人間は知的生命体であると同時に社会的動物でもある。過剰に教育を受けると、知的生命体としての格は上がり続けるが、社会的動物としての力は下がっていく。単純労働に従事している人間にとって、高い教育を受けるとむしろ精神的苦痛が増すだろう。一昔前の「女の子に教育は要らない」論はこれだ。

早慶・MARCHの理工学部

 これまで挙げた大学ほどコスパは悪くないが、有名私立大学の理工学部は総じて微妙である。就職はそれなりに強いだろう。ただ、やっぱりどうにもパっとしない印象が強い。早慶MARCHの理工学部を出て社会的に名を挙げた人間をあまり知らないというのもある。早慶理工の難易度は地方旧帝よりも高いと言われているが、その割には地方旧帝の方が優れた研究者を多数排出しているように思える。恐らく費用面の問題だろう。

私立小

 コスパの観点で論じている人間はまず存在しないと思うが、私立小は学歴的な意味でのコスパは悪い。私立小を出ていても社会で評価されることはないし、そもそも言う機会がないだろう。当然学費は高額だ。小学校受験はそれなりに狭き門だが、小学校受験をクリアしても大学受験の学力にはほとんど結びつかないため、パフォーマンスは殆どないと思う。基本的には贅沢品と考えた方がいい。

東大理三

 学歴界の魔王と言えるのは東京大学理科三類だ。学歴社会の頂点である。その入試難易度は東大生から見ても恐ろしいくらいに高い。開成中学に入る難易度は東大に入る難易度よりも高いことは述べたが、東大理三に合格するには開成の中でも上位3%に入る必要がある。東大と東大理三の難易度差は東大と東北大の難易度差に匹敵すると思われ、東大生から見ても不気味なくらいに勉強のできる集団である。

 東大理三のコスパは極めて悪い。理由は難易度が極端に高いからだ。彼らは日本全体の上位0.01%に入る。これほどの能力があったらどの業界に行ってもトップランカーになると思う。しかし、実際は理三出身者の多くは月並みの医者になる。医者の能力に受験勉強の能力はあまり関係がないため、一からやり直しだ。もちろん優秀な医者は多いが、いるかいないかで言うと他の医学部も同じであり、入試難易度に見合っているイメージはない。

 東大理三に関しては、過剰教育の問題というより、過剰競争の問題に思える。中学受験と同様に、競争自体が目的になってしまっているのではないか、ということだ。ここまで来ると、あまりにも合格の達成感が強すぎ、その後の幸福感が低下する可能性が出てくる。

まとめ

 今回はコスパの良い学歴・悪い学歴について考えてみた。概ね手に職に繋がる学歴と競争が激しすぎない学歴がコスパがいいと言えるだろう。こうした観点から人生の最強コスパ攻略法を考えることができる。

 勉強がものすごくできる場合、公立小⇒公立中⇒進学校⇒浪人⇒医学部、というコースを辿るのが一番良い。医者になってしまえば最強なので、一生安泰だろう。大学で勉強したことが社会で生きないという問題に苦しむこともない。ステータスだったら官僚や外銀の方が高いかもしれないが、官僚や外銀を尊敬しているという人物をあまり社会で見たことはなく、やりがいの観点でもコスパは良いと思う。

 医学部は無理だが、勉強がそこそこできる場合は公立小中から高校受験で早慶に入ると良い。この点では首都圏が圧倒的に有利だ。このルートをたどればエリサラになれる可能性が高く、これまた一生安泰である。中学受験で消耗している同級生を尻目に、英数の先取りに全振りすれば、かなり有利になるだろう。

 早慶に手が届かない場合は何とか一浪以内にMARCH関関同立を目指せば良い。どうにかしてJTCに入り込めばかなり安泰な人生が送れるだろう。というより、この人生が一番コスパが良いという説がある。上位の大学に生き過ぎると過剰競争の弊害が出てくるので、変なプライドで競争をやめられなくなるからだ。

 地方在住の場合はとにかく理系にした方がいい。さらには早慶クラスに届かない人間の場合、基本的には理系の方が遥かに良いと思う。大学の勉強で巻き返せるし、学歴ロンダが可能だからだ。なんとかJTCに入ってしまえば後は安泰である。

 逆にコスパの悪い人生もある。中学受験で首都圏の有名進学校に入り、そこから東大に行くケースだ。典型的なエリートに見えるが、意外に得られる見返りは少ない。結局彼らの大半はJTCに進むので、早慶MARCHの上位層とそこまで変わらないことが多い。東大という大学は医師免許を捨ててまでやりたいことがある場所かを良く考えて進学してほしい。

 職に繋がらない学歴もコスパが悪い。地方旧帝の文系や、文系大学院などだ。これらの大学は職業に繋がらないことが多く、しかも地方の産業は衰退傾向だ。公務員の仕事に果たして宮廷レベルの学力が必要なのかは怪しい。

 コスパの悪い学歴は過剰競争・過剰教育の側面が強い。これらは人間を幸福にするどころか、不幸にするかもしれない。ある年収700万円くらいの準大手企業があったとしよう。2人の社員が入社してきた。有名中高一貫校から現役で東大に進んだが、大学院の研究で身を立てることができず、入社した人物。もう一人は名もなき公立高校から関関同立に入り、就活をくぐり抜けてきた人物。どちらの職業的な満足度が高いかを考えると、後者だと思う。

 前者はせっかく多大なリソースを割いて受験戦争の勝者となったのに、職歴という観点では報われることが無かったからだ。それに変に学術的な歓びを知ってしまったため、一般企業での業務に本気になれるかは怪しい。もちろん医学部に行った同級生への劣等感を抱える可能性もあるだろう。死ぬ気で中学受験をくぐり抜け、6年間手を抜かずに東大に現役合格し、大学院で知の世界にどっぷりと浸かったのに、地元の公立から関関同立に行ったやつと同じなのかと考えてしまうのである。しかもこの悩みを開陳しても「プライドが高い」と叩かれるだけなので、理解者を得ることは難しく、余計に悩みは増していくだろう。もちろん雇用主からしてもあまり雇いたくない存在だ。

 ちなみに高学歴難民になるとこの悩みは更に増幅する。大学時代との同級生には劣等感が強すぎて会えず、職場の同僚はレベルが低すぎて合わず、しかも仕事内容は低賃金でつまらないという状態である。高卒で就職したほうが人生は幸せだっただろう。変に雲の上の世界にいたことがある分、挫折感が強いだろう。

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