11月11日は欧米では「追悼の日」だった!

 本日は11月11日。「1」の並ぶ何やらおめでたい日である。これだけ見た目にインパクトのある日ならば、当然何かの記念日にしたくもなるだろう。11月11日は様々な文化圏で記念日になっている。早速調べてみよう。

日本

 11月11日といえばポッキーの日である。「1」という数字の細長さがポッキーが並んでいる様子に見えるというところなのだろう。実はこの日はプリッツの日でもあるらしい。どちらも江崎グリコが1999年に制定したとのことだ。

 他のもこの日は様々な記念日となっている。「うまい棒の日」、「たくあんの日」、「きりたんぽの日」など無限に記念されている。どうにも記念日にあやかって話題を作り、売り込もうという魂胆が見え見えだ。中には「チンアナゴの日」なんてものもある。確かに「1」のビジュアルはチンアナゴっぽい。

中国

 日本以上に商売要素が強いのが中国である。この国では11月11日は「独身の日」と呼ばれる。中国では独身者を「棍棒」に例えるネットスラングがあり(下ネタ?)、「1」という数字が並んでいる11月11日を独身の日としてネット上で盛り上げようという動きがあった。

 独身の日が中国で盛り上がり始めたのは2009年にアリババグループが独身の日のキャンペーンを打ち始めてからだ。いつの間にかこの日は国民的な買い物イベントへと成長し、中国の小売企業にとっては商機となっている。11月11日の「爆買い」は日本のメディアでもしばしば取り上げられる。

欧米

 欧米においてはこの日の位置づけは大きく異なる。この日が祝日となっている日も多い。各国ではこのようになっている。

アメリカ:退役軍人の日
イギリス:追悼記念日
フランス:休戦記念日
ベルギー:休戦記念日
オーストラリア:追悼記念日
ニュージーランド:休戦記念日
カナダ:追悼記念日

 呑気なアジアと違って一転お通夜モードである。11月11日ってそんなに重い日だったのか!

 理由は第一次世界大戦だ。この戦争が終わったのは1918年の11月11日である。11月3日にドイツのキール軍港で発生した暴動がドイツ全土に波及し、ドイツ帝国の戦争続行は不可能となった。ドイツ皇帝ヴィルヘルム二世はオランダに亡命し、全権大使のエルツベルガーはドイツ陸軍参謀総長のヒンデンブルクから「いかなる犠牲を払ってでも」休戦するように求められた。エルツベルガーは交渉の結果、1918年11月11日11時に停戦するように交渉を妥結し、世界大戦は終了した。

 11月11日という日取りは偶然としても、11時に停戦する必然性はないはずだ。交渉担当者も「どうせならキリがいいから11時にするかー」などと考えた形跡が見える。極限状態の遊び心である。

 また、先程のメンツには共通点がある。アメリカを除き、第二次世界大戦よりも第一次世界大戦の方が被害が大きいのである。イギリスやフランスにとって第一次世界大戦は無数の若者の命が塹壕に吸い込まれていった悲しみの出来事だった。両国は厭戦ムードが強く、第二次世界大戦では戦意が低かった。「追悼の日」としてのイメージは第一次世界大戦の方が強いと思われる。

 因みにポーランドではこの日は「独立記念日」だ。ポーランドは第二次世界大戦で想像を絶する被害を受けたため、第一次世界大戦の影は薄い。どちらかというと第一次世界大戦は独立のきっかけとなったイメージが強いのだろう。

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