インドのIma - 人とつながって生きる

こんにちは。銀久怜華です。
6年間のインド生活で出会った人々、経験から学んだこと、感動したことをメインに、気ままにつづります。
帰国して感じるのは、一般的な日本人が持つインドのイメージと私の経験した現実は違うということ。私が経験したのは巨大かつ多様な国のほんの一部、北インドのIT企業にすぎませんが、インドの中産階級の上層部とそれを取り巻く彼ら彼女らに助けられ、安全に6年間仕事をしました。
私がお世話になった人々、国に感謝しつつ つづる私のnoteが、読んでくださる方のインドへの興味や親近感につながると嬉しいです。

インドという多様な国では、それぞれに異なる立場や考えがあり、正解はないと思っています。あくまでも私の見方、考え方です。
(もちろん、ご意見、ご質問も大歓迎です!)

第一話:人とのつながり

インドでは、人間関係が何よりも優先されます。
インドは発展途上ですから社会のシステムがすべて整っているわけではありません。お金持ちであろうが、時にはカオスのような社会とうまく付き合わねばなりません。人脈を使って。

インド人の大半はおせっかいで困ったときには助けてくれます。外国人を客人とみなすからですが、確実に目的を達成するためには、

“誰に何を頼んだらうまくいくか”という見極めが重要です。

権力やお金を持つ人や、いわゆるエリートは信用度が高そう(どうにかしてくれそう)ですが、トリッキーな場合もあります。オフィスの中もすんなりとはいきません。要するに、“私がその人にとってどれくらい大切か”によって結果は異なってきます。観察して適切なアプローチをとるのです。

一方、私に個人的な親近感を持ってくれている場合、ものごとはすんなり進みます。ガツガツしたイメージのあるインド人ですが、実はとてもエモーショナルなのです。

オフィスの外でも

6年前、仕事のためにインド都市部の郊外に住み始めた頃の話です。
インドは車社会で、公共の交通機関はまだ便利とは言えません。その頃は自分の車を持つ前だったので、平日は会社の車で送迎してもらい、週末はタクシーで買い物に出かけていました。

まだUberやOlaというアプリによる配車サービスがなかった時代なので、インド人の同僚に教えてもらった地元のタクシー会社に電話していました。けっこういい加減で、遅れて来たり、来なかったり、支払いでもめたり、しょっちゅう喧嘩していましたが、何度か使ううちに、お互いに慣れてきました。人間関係が物事をスムーズに運ぶのは万国共通ですが、インドでは特別扱いされるとさらに楽ちん!運転手におつりがなかったら、支払いは次回でいいと言われたことも、運転手が出払っているときにはタクシー会社の幹部自ら運転してくれたこともありました。

ある日の嬉しいサプライズ

ある土曜日の話です。
その日は、私の誕生日の翌日でした。

インドでは、誕生日を迎えた人がお菓子を配る習慣があり、私もインド人の同僚に手伝ってもらってインドの代表的なお菓子を多量にオフィスで配りました。翌日は同じビルに住む大家さんや1階のガードマンにも配り、さらに待っていたタクシーの運転手にも。10個ほどの伝統的なお菓子をジップロックに入れて。

「私の誕生日のお菓子をあなたにもね!」
「Thank you, Ma’am! Happy Birthday!」
その日初めて担当になった若いお兄ちゃん運転手でした。

車で40分ほど離れた外国人がよく使うマーケットで買い物をし、車に戻ると、
「Ma’am, Happy Birthday!」と、小さなチョコレートをくれました。「今日はこれくらいしかできないけど…」と。

どこの駄菓子屋でも売っている30円くらいの小さなチョコレート。
でも、ものすごく意外で、感動しました。だって、お兄ちゃんはお金をあんまり持っていなさそうだったのです。
タクシー運転手の収入は私の10分の1くらいのはず…。
「わー、ありがとう!!!」本当に嬉しかった。泣けてきた。

タクシーの運転手になる人にはいろんな理由があります。
村から出稼ぎに来ているとか、就職がなかなか見つからないから一時しのぎとか。他のお兄ちゃん運転手から、「カレッジを出たけど就職先が見つからなくて…。警察官になる試験を受けたけど、足が悪くて落ちてしまった。マダムの会社で求人はないですか?」と聞かれたこともあります。かわいらしい彼女の写真を見せてくれて、「僕は恋愛結婚をしたい。」って。まだまだ恋愛結婚は少数だし、収入が安定しないと実現は難しいに違いない…。

またまた嬉しいサプライズ!

それからしばらく経ったある日、また前述の若いお兄ちゃんが担当でした。
ショッピングが終わっての帰り道、彼が、「道路脇の屋台にちょっと寄っていいですか?」と聞きます。

仕事中に?とちょっとイラっとし、タクシー代以外の何かを払わされるのではないかと疑念がわきましたが、「この人、お腹がすいているのかもしれないし」とオッケーしました。

道路脇にタクシーを止めて、屋台で何かを買うと、お兄ちゃんが後部座席に座る私めがけて走ってきます。
「へ?何?」
何が起こっているのかよくわからないまま窓越しに渡されたものを見ると、茹でたとうもろこし。

「あなたの分は?」
「僕の分はあります。」
「あなたこれ好きなんでしょ。もっと食べて。」と私。
「どうぞ、食べてください。」とお兄ちゃん。

気持ちは有難いけど…、これを食べたらお腹をこわすかも…。

じーーーーーっととうもろこしを見つめ、決意。
人間として、これは食べるべきだろう。

ぱくっ!
え!うまい!

甘い茹でとうもろこしに、マサラ(スパイス)とレモン汁がかかっていて美味しかった!

「美味しいねー!」って言いながら、ペロッと食べたのを見て、彼も嬉しそう。彼は自分のぶんは食べずに運転し続けていました。

しかし、家に近づくにつれ、ほかの数々の経験から疑念がわいてきました。
落とし穴があるんじゃないか…。
起こりえる残念なパターンは二つ。タクシー代を高めに請求されるか、二人分のとうもろこし代を請求されるか。
自分が傷つかないように最悪のパターンを想定する癖がついていたのです。

集合住宅のゲートのセキュリティーチェックを通過し、ゆっくりとアパートの前に到着。
「Thank you.」と言いつつ、運転手の声を待ちます。

「Ma’am, xxxx Rupees」
え?レシートと同じ金額!
「とうもろこし代はいくら?払うよ。」
お兄ちゃんは照れたように、「いりません。僕が好きなものをごちそうしたかっただけだから。

彼を疑った私は一体何様なのかと、自分のことを心の中で責めました。本当にごめんなさい!

難しいけど自分の判断だな~

この話を他の日本人にしたら、「運転手に下心があったんじゃないの?」と言う人もいました。性悪説で物事を判断するのは安全に生活するための基本。

その運転手のお兄ちゃんに会ったのは人生でたったその2回だけ。
彼は私が住んでいるところも買い物をする場所も知っているから、彼より私がお金を持っていることも知っていたはずで、おごる必要はない。簡単に私をひっかけられるわけもない。親切にしてくれた理由はわかりません。お兄ちゃんにとって私は初めて会った外国人や日本人だったのかもしれないし、外国人がインドの風習に従ってインドのお菓子をくれたのが嬉しかったのかもしれない。

私のとった行動の何かが彼のエモーショナルな部分に触れたのだと思います。
そして、彼のとった行動は私を感動させた。

日本で報道されるインドに関してのニュースは事件ばかり。危険な国という印象を持たれる方は多いと思いますが、親切なインド人もたくさんいます。エモーショナルで人間らしい彼らのことをゆっくりと話していきたいと思います。


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ありがとうございます!嬉しいです!
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銀久怜華

コメント1件

インドは人なつこい人も多いですよね。
「親切」な人にも用心しちゃうのは、悪いことじゃなくて、必要なことだと思うので、本当に親切な人には素直に感謝するのが異文化コミュニケーションの一つのコツかなと思うようになりました。#はじめまして
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