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親子通園型療育園の体験談 メリット・デメリット 退職せずに済むよう交渉を

 当記事では親子通園型の療育園のメリット・デメリットをお話します。キレイごとなし・ありのままのリアルレビューを書くことで、少しでも皆様の参考になればうれしいです。
※母子通園型とも言います。親子そろって通う園です。

当記事はこんな人におすすめ

  • 親子通園型の療育園に行くか迷っている

  • 親子通園型の療育園に申し込んだが、自分の負担が大きく不安である

  • 児童発達支援事業所(1回45分など短時間)の療育で子供の成長が感じられず、療育園に変えるか悩んでいる

  • 親子通園型療育園に興味があるものの、仕事をしているのであきらめている・あるいは仕事を辞めて通おうか迷っている

結論「親子通園型療育園はおすすめ 退職せずに済む方法を」

 結論から言うと、親子通園にはデメリットに余りあるメリットがあると感じますので、おすすめです。メリットは以下の通りです。

  • わが子に愛着を感じ、障害をゆるやかに受容できる

  • イライラしたら離れられる

  • わが子のできることが増える

  • 親が孤独・鬱になりにくい

理由を詳しく説明する前に、まずは私と私の通う療育園を紹介します。

自己紹介

私(かーこ):30代後半のママ。夫の転勤による転居とともに退職。長男と療育園に通うために再就職はできず、現在無職。
長男:年少。自閉症・重度知的障害・発語なし。

私たちは2023年5月から現在までの9か月間、療育園に通っています。

療育園の紹介

私の住む自治体では唯一の公立の療育園。
・親子通園型
・1歳児~3歳児(年少)までが対象
・頻度は週1,2,3,5日から選べる
1クラスは親子5組+先生2~3人 つまり大人の人数の方が多い
・通常の保育園と同様に、クラスの部屋が10部屋程度・園庭(屋外遊具)・ホール(室内遊具)
・通常の保育園ではみられない、訓練室がある(言語訓練ST・作業訓練OT・理学療法PT・発達心理)。各訓練を年6回ずつ受けられる。
スマホを出すのは原則禁止

<一日の流れ>
9:30から10:00までの間に登園、朝のおしたく
10:15 朝の会(お名前呼び・親子あそび)
10:30 本日の遊び(家庭ではできない遊び※1ができます)
11:30 給食(親にも給食がでます) 各自の好きな遊び
12:45 絵本を一冊読み、昼寝(親も寝られます※2
14:30 起床・帰りの会
15:00 降園

※1;部屋中に大量の大豆・細かく切った色紙・ストローをまいて遊ぶ、バスで遠くの公園に行く・小麦粉/片栗粉/絵具/泥をこねくりまわして遊ぶ・馬に乗る など。
※2;私の通う園だけかもしれませんが、子どもが寝なかった場合でも親を寝させてくれます。2:00時点で起きている子は先生が遊ぶ(または寝かしつけを交代)してくれるので、親は30分は寝られます。

では、私が療育園に通ってよかったと思う理由の詳細を述べていきます。

メリット「仲間と一緒にわが子と向き合える」

 この言葉に尽きると思います。先に述べたメリットをもう一度見てみましょう。わが子に愛着を感じ、障害をゆるやかに受容できる/イライラしたら離れられる/わが子のできることが増える/親が孤独・鬱になりにくい
これらはすべて、仲間と一緒にわが子と向き合えることによるものです。

わが子に愛着を感じ、障害をゆるやかに受容できる

心理学用語で、単純接触効果というものがあり、要するに「一緒にいればいるほど好きになる」という意味です。私は長男と療育園に通い、24時間一緒にいることで、以前よりも長男のことが好きになったと感じています。そして、単純接触効果が得られるのは療育園だからこそだと思います。理由は次の通りです。

イライラしたら離れられる

 原因不明の大泣き・自傷は、うるさいし、見ていて辛いし、イライラするし、泣きたくなります。

 でも療育園では、先生が近づいてきて、一緒に対応してくれます。「頼まずとも誰かしら来てくれる」ということが、どれだけ安心かしれません。
 また、頼めばわが子から一時的に離れることも可能です。「ごめんなさい、見てるのが辛いです」と言えば、「いいよいいよ、ちょっと何処かへ行っておいで」と快く言ってくれて、5~10分くらい離れさせてもらえます。

 このように、一人で見なくてよい・クールダウンの時間がもらえるからこそ、育てにくいわが子であっても、"一緒にいるほど好きになる"が成り立ちます。家庭で自分一人でみる場合だと、辛い時の逃げ場がないので、"一緒にいるとイライラする"になりかねません

わが子のできることが増える

 親子通園かつスマホ禁止のため、わが子に身辺自立をじっくり教えることが可能です。例えば、靴の脱ぎ履き・手を洗う・服を着ることは、療育園に通いだしてからみるみる上手になりました。

 通常の保育園(あるいは療育園でも親子分離型の場合)は、どうしても子ども複数人:先生一人となるので、マンツーマンでじっくり時間をかけて教える時間はありません。先生がささっと靴を履かせてしまうと思います。

 それが親子通園の療育園、かつスマホが禁止のため、私は長男にいろんな動作をじっくりと教えることができます(私の場合、スマホ禁止というのも大きなメリットです。ついついスマホをいじってしまうので…)。

 「結局親が自分で教えなきゃいけないんじゃん…」という声が聞こえてきそうですが、残念ながらその通りです。療育園の先生だからといって常にマンツーマンでわが子に接してくれるわけではなく、結局は親がやらなければいけません。でも、療育園という、家事も進められない・スマホもいじれない空間に身を置いたからこそ、わが子に丁寧に物事を教えてやれると感じます。

 私の感覚では、健常児が10回教えてできることが、長男は1000回教えてできるかどうかは五分五分です。そんなわが子が靴の脱ぎ履きなどが上手になったのは、シンプルに「私が丁寧に教え続けることができたから」だと思います。

 できることが増えたわが子を見るのは本当にうれしく、愛おしいです。

親が孤独・鬱になりにくい

 これが最大のメリットでしょう。1クラスは親子5組+先生2~3人と少人数ですし、同じ障害児ママさんとして、なんとなく親近感があります。自然と仲良くなりますし、健常児ママには話しにくいことも打ち明けられます。

 また、毎日会っているため、誰かに元気がないときはなんとなく分かります。お互いに声を掛け合ったり、もしくはたわいのない話題を振って、ただお喋りをするだけでも、孤独・鬱の防止には非常に効果的だと思います。

 以上がメリットです。最後にデメリットも述べ・仕事を辞めずに済む方法も考えて終わりにしたいと思います。

デメリット「時間的な拘束」

 デメリットは親の時間的な拘束、これに尽きると思います。障害児は正直に言って本当に育てにくいです。子育て自体がそもそも大変だとは思うのですが、障害児の子育ては健常児の子育ての大変さとは量も質もケタ違いだと思っています。

24時間一緒に過ごす、ただそれだけのことが本当に大変です。普通の保育園・幼稚園・あるいは親子分離型の療育園に通わて、わが子と離れる時間が欲しいと思うのは、ごくごく真っ当な考えだと思います。

 ただ、私はそれでも親子通園型の療育園だからこそ得られるメリットがあり、それは小学校に入ってしまったあとでは決して得られないと感じます。

 少しでも、「親子通園、ありかも」と思えるのであれば、十分に素質はあると思います。親子通園だからといって、一人で子どもと向き合わなくて良いのです。常に仲間がいて助けてくれます。

退職せずにすむ方法を

このチャプターは次のような方々へのメッセージです。
・親子通園型の療育園に通うために仕事を辞めようとしている
・親子通園型の療育園に通いたいけれど、退職したくないから諦めている

私がやってみた方法ではないので無責任かもしれませんが、このような方法も可能性はあるというのを紹介します。

育児休業・介護休業の利用を交渉 仕事は休んでも退職は免れる

 育児休業については最近大幅な改定が行われ、2回目の取得・パパの取得が可能となりました。介護休業は、老人介護だけと誤解されがちですが、実は子どもにも適用可能です。児童精神科医などに「障害により療育を必要とする」と一筆書いてもらえば、障害のある子どもの療育=必要な治療・ケアと判断して仕事を休業できる可能性はあります。どちらも会社との交渉が必要ですし、社内にそのような前例(障害のある子どものための介護休業の取得)が無いと言われるでしょう。それでも交渉する価値はあると思います。

 親子通園型の療育園は親子分離型と比べると人気は低いので、定員に余裕がある場合が多いと聞きます。4月以外の入園も十分可能ですので、長期戦覚悟で会社と交渉してもよいでしょう。

 私は仕事を辞めた身ですが、それは夫の転勤に伴う転居(通勤不可能な距離)もあっての、いわば仕方なくの決断でした。退職ではなく休業で済むのであればそれが一番いいと思います。障害児の親の就労率は低く、子が成長しても就労率は上がらないからです。詳しい数値はこちらの記事に書いております。

最後に

 障害児のケアと、親の就労と、親の心身の健康の両立は永遠の課題だと思います。親の課題ではなく、社会の課題です。
 今、悩んでいるあなたは障害のある子どもを愛し、真剣に考えているからこそ悩んでいます。そんなあなたの決めたことはどんな決断であっても、必ず正解です。私もあなたの仲間の一人として、心から、応援しています。



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