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プログレッシブ歩き遍路・2002年 ⑥ 徳島

5月9日


昨日は気温や地面のゴツゴツでとても眠りにくい夜を過ごした。
眠る前に好きでもない女の子に電話して落ち込んだばかりなのに、また違うIさんという女の子に深夜2時頃電話する。
意外と好意的に電話に出てくれてとても嬉しい。
しかし恋にも発展しないだろうし、かといって友達として仲良くしてるわけでもないし、また微妙な気持ちになった。

悶々としたまま朝を迎え、缶コーヒーとエコーで頭をしゃっきりとさせてから出発する。

大日寺、常楽寺、国分寺、観音寺、井戸寺とひたすら元気に歩く。
取り立てて何もないけど、電柱やら田舎の道やら大きな木とかにとにかく心がときめく。
鄙びたような、自分の知らないところで存在していたものを見ること、それが些細なモノであればあるほどなぜか心にくる。
つげ義春のような景色を思いっきり味わう。

その後、街に出ると下校時間なのか高校生がたくさんいる。
つい数ヶ月前まで同じ高校生だったのに遍路をしてる自分が不思議に思える。

何よりこの頃はアムラーみたいなんが流行ってて女の子のスカートが短かった。
パンツがやたら見えるので俺と友人Sは鼻息荒く煩悩を打ち消すように頑張って歩いた。

夕暮れに差し掛かる頃に足の豆が潰れてぐちゃぐちゃでどうにもならなくなってきたのと、靴が合ってないのか足首がパンパンに腫れてきたので薬局に寄り湿布を買うことにした。
友人Sも中毒になっているナザールが切れたのでそれも買う。

薬局に入ると優しい綺麗なお姉さんが、とても愛想良くしてくれた。
湿布を買うと、お接待してあげるといいニンニクエキスをカプセルに入れたものをくれた。
元気になるよと言われ水をもらって飲む。
すると友人Sは口を開けてじっとしている。
お姉さんは笑いながら友人Sの口にニンニクエキスを放り込んだ。


あいつアーンしてもらった、綺麗なお姉さんにアーンしてもらった。

ハア?

アーン



と、少しゲンナリしたがお礼を言い今日の寝床を探す。

球場のようなところを見つけ、そこにある東屋で寝ることにする。
自転車に乗ったおっちゃんが話しかけてきてくれた。
3人で缶コーヒーとタバコでのんびり話す。

おっちゃんはパチンコで借金をし、浮気がばれて離婚し、浮気相手には逃げられ、親も病気になり、親友は事故で入院しているらしい。
今日はすぐそばの病院にその友人を見舞った帰り道らしい。

悲しい目に疲れた声がとても印象的なおっちゃんでした。

頑張ってと手を振って去っていきました。

あそこまで寂しそうな人の表情を見たのは初めてだったので、少し衝撃で、
いろんな人がいるなあ、遍路ってすごいなあ と 思いながら 寝た。

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