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『私たちの生きる世界、日本はどうなる?』Vol.Ⅰ 格差拡大の原因は、エレファントカーブ

令和5年10月
音声メディアVoicyフェス2023´が開催されました。
ちきりんさんと梅澤高明さんの対談が示唆に富む内容でした。
且つ学びと気づき、これからの日本で生きて行く上でのヒントが沢山あったので、対談内容の引用とレビューを書き留めました。



出所:Voicy

Vol.Ⅰ 格差拡大の原因は、エレファントカーブ

日本は、1970年代80年代の高度経済成長期、バブル期は、分厚い中間層が存在していました。
それが、近年20世紀後半から21世紀に掛けて、二極化というワードを耳にする機会が増えました。
富裕層と貧困層の二極化です。

①何故、富裕層と貧困層の2つに分かれるのか?

その答えが、エレファントカーブにあると、梅澤さんは話していました。
簡単に要約すると、エレファントカーブの原因は、グローバリセーション(世界各国が分担して産業を構築していく)にあります。

下記⬇️が、エレファントカーブを示した図です


出所:日経電子版



例えば、アメリカはオレンジを生産し、中国や東南アジアといった新興国は、衣類の素材を生産したり自動車の部品パーツを製造する。
というように、それぞれの国で仕事を分担して貿易をしようという流れがグローバリゼーションです。
しかし、グローバリゼーションには副作用もあります。
元々先進国が担っていた仕事を新興国に外注する事で、新興国で企業誘致が進みどんどん経済発展して行きます。
反対に、先進国の産業が空洞化していき、中間層が貧しくなるという現象がエレファントカーブなのです。
日本は、1970年代80年代の高度経済成長期、バブル期といった時代は、一億総中流と言われ、等しく豊かでいる事が出来ていました。
バブル崩壊後の日本経済は、失われた30年とも言われ、デジタル産業にも遅れを取り、散々たる状況でしたが、つまりそれはエレファントカーブを意味していたのです。

②何故、先進国の中間層が貧しくなるのか?

先進国は新興国より元々豊かである為、人件費賃金が上昇しやすい構造になっています。
その為、企業は安い人件費の新興国に生産拠点を移す動きに変わっていくのもグローバリゼーションの自然な流れなのです。

③移民がエレファントカーブを加速?

貧しい国の人は、国自体が経済的に弱い為、国に留まって居ても豊かに暮らす事が出来ません。
その為、貧しい国の人達は先進国といった豊かな国へ移動しようとします。
移民を受け入れる国では、人口が増え経済活動の競争力が上がります。
単純労働で”仕事が奪われる失う”というのがそれです。
人口が上昇している新興国は、国民皆んなが豊かになるのが可能でした。
新興国は仕事で溢れ、たくさん生産製造が行われます。
新興国は、どんどん豊かになる。
対談では、人口が減少局面に入っている先進国で、国民皆んなが豊かになるのは不可能になってきている社会構造について解説していました。
近年は、インド、インドネシア、ベトナム、東南アジア諸国は、人口が増加傾向です。
このような国では、国民の多くが経済発展の恩恵が受けられるという事になります。

④GAFAMについて

近年の世界経済は、GAFAMが牽引してきました。

下⬇️の図、S&P500の株価指数は、2014年頃からGAFAMが上昇を引っ張っているのが分かります。
S&P495の成長力は、日本株価指数のTOPIXと同じ位です。


出所:IT mediaビジネス



一部のトップ企業やエンジニアが経済を引っ張っていく事で、その企業が得た収益が下の層に流れていく『トリクルダウン』
このトリクルダウンは、構造上の問題で不可能だと梅澤さんは言っていました。

トリクルダウンが何故不可能なのか?
それは、トリクルダウンや社会保障を充実させる国は、トップのエンジニアや企業を税金で捕捉しようとします。
すると、そのエンジニアや企業は税規制が緩い国へ逃げていく現象が起こると話していました。
国が社会保障を充実させる程、優秀な人材や企業が国外へ流出するという事態が発生します。
優秀なエンジニア、GAFAMといったマンモスIT企業、その企業に出資している株主だけが、成長の果実を受けられる構造に出来ているのです。

⑤トリクルダウンは不可能。だから、個人で資産運用する時代

アメリカでは、国民に401k(日本の確定拠出年金)を使って、個人で資産運用する事を推奨しています。
イギリスでは、ISA(日本のNISAのモデルになった制度)があり個人で資産運用できる優遇制度が設けられています。
先進国各国で、個人で資産運用する事を推奨している背景には、トリクルダウンは不可能であるという事を証明している証なのです。
GAFAMやNVIDIAといった世界のトップ企業やエンジニア、その株主だけが富を独占してしまう為、一般庶民も、資産運用に参入する事で、GAFAMやNVIDIAが得た富を個人でも受け取りやすい制度を政府がアシストしてくれているという、資産運用の必要性について、一層理解が深まったかと思います。
また、インフレ経済が続く世界になったなら、円預金の価値も下落する為アセットを保有する必要度も当然上がってきます。
エレファントカーブの構造からも、経済学者トマピケティ氏著書
『21世紀の資本』にも繋がります。
r>g理論
資本収益率の方が労働収入より、常に高い。
給料より、株主への配当・不動産賃料の方が富を得られる。

⑥まとめ

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