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ランニングシューズメーカーの生存戦略

先日、テレビ東京、日経モーニングサテライトプラスの番組で、ランニングシューズの高騰について取り上げていました。
ランニングシューズメーカーは、生き残りを賭けた、販売戦略に大きく舵を切り始めました。


出所:テレ東BIZ

ランニングシューズが価格高騰している背景は以下の通り↓

・円安による輸入品のコスト上昇
・シューズ自体の素材資源価格の上昇
・人件費の上昇
・カーボンプレート素材を使用する等、シューズの高機能化が進んでいる

ランニングシューズの価格が値上げ傾向なのは↑上に書いた内容で正しいのですが、もう一つ大きな変化というのが人口減少です。

↓下の図は、2040年の日本の人口動態です。

出所:国立社会保障・人口問題研究所

黒丸◯で囲っているのが、団塊ジュニア世代です。
この団塊ジュニア世代を境に下の世代は、どんどん人口が萎んでいるのが分かります。
そうです。
人口が減る=数で売れなくなる。
今までは、団塊世代、団塊ジュニア世代が人口の最大ボリュームゾーンだった為、日本国内市場でも数で沢山売っていくという販売戦略が通用しました。
しかし、
人口減少局面に入った今後は、数を売っても利益率が上がって来なくなります。

これからは、数を出して沢山売るよりも、高機能、高付加価値のあるシューズを提供できるかがどうか、勝負の分かれ道になってくる為、メーカー各社は特殊なカーボンプレート素材をシューズに採用したりと商品開発に創意工夫が進んできています。

これは、何もマラソンシューズだけの話ではありません。
野球、サッカー、バスケットボール、バレーボール、テニス、卓球等々、これまで日本で人気があり、競技人口もそれなりに増えて来ていたスポーツは、今後はどんどんスポーツ人口が減っていく為、メーカー各社で販売している商品も売れなくなるという状況に変わって来ます。

人口が減り、競技人口が減るからこそ、そこに勝機を見い出し、高機能、高付加価値路線の商品開発、販売ができるかどうか?が問われ始めて来ています。
マラソンシューズの高価格・高機能・高付加価値が、その前兆と言って良いのです。

ナイキが出した厚底シューズ

ナイキ社は、2017年に”ナイキ ヴェイパーフライ 4%”マラソン用の厚底シューズを発売しました。
この厚底シューズは、軽量かつ高反発のフォーム素材と、カーボンファイバー製のプレートを組み合わせた構造にあります。
この組み合わせにより、ランナーの走行効率が向上し、疲労の蓄積を抑えることができるとされています。
特に、カーボンプレートは足の反発力を高め、推進力を増加させる役割を果たしています。
ナイキ ヴェイパーフライ 4%の厚底シューズで、幾つもの記録も塗り替えています。
エリウド・キプチョゲ (Eliud Kipchoge): 2018年のベルリンマラソンで、ナイキ ヴェイパーフライ 4%を履いて2時間1分39秒でゴールし、男子マラソンの世界記録を更新しました。
この記録は、当時の世界記録を約1分20秒短縮するものでした。

ナイキ社を追随するかのように、他のメーカーも厚底シューズの開発に着手し競争が激しくなっているのが今日なのです。
高機能、高付加価値を出した商品で顧客を獲得できるかどうか、マラソンシューズメーカーも然りなのです。


新しいサンタカ

人口減少の日本で、メーカーが生き残る為には、高機能、高付加価値商品を高価格帯で販売することが必須になって来ます。

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