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“キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン”を観て

デイヴィッド・グランのノンフィクション「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」が原作で、石油発掘で一財を手にした先住民オーセージ族を言葉巧みに操り財産を強奪していく話である。
レオナルド・ディカプリオが、往年のマーロン・ブランドと重なって見え、ロバート・デ・ニーロが霞んで見えるぐらい、演技力が熟していた。
マーティン・スコセッシのフィルムワークもまた素晴らしい。
時代背景が開拓史にも関わらず、サウンド・トラックにロックが多いのが見事にはまっている。
また、バイオレンスシーンが多いが、暴力そのものはカットするか淡々と撮っており、感情の揺れ動きなど人物描写に力点をおいて作品を作っているのがわかる。

ディカプリオが演じるアーネストとグラッドストーン演じるモリーは、最後までよき夫婦を通していたと思う。
しかしながら、モリーの”注射の中に何が入っていたの?”と尋ねのに対し、アーネストが”インシュリンだ”と応えたことが、関係破綻に繋がる。
日増しに衰えていく体調を見れば薬物が混入していたのは言わずもがなであったが、アーネストの口から出なかったことがモリーの信頼を失ったのかもしれない。
ただ、その後、モリーは再婚して亡くなるが、アーネストを非難することはなかった。
それは、アーネストの愛は受け入れていたということなのだろうか。

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