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『キルラキル』は美しい

『キルラキル』という全25話で構成されたTVアニメがめちゃくちゃ面白くて衝動的に記録したかったからかくぜ、という記事。あ、ネタバレします。

監督・今石洋之さん、シリーズ構成・中島かずきさん、キャラクターデザイン・すしおさんといったガイナックス社制作『天元突破グレンラガン』の主要スタッフを中心に生み出された作品であり、アニメ会社『TRIGGER』元請け第一弾アニメである。

主人公、纏流子は父親の仇を探すため、殺人犯の武器と思われる片太刀バサミを手にした上、なぜか喋る不思議なセーラー服「鮮血」を身にまとい、手がかりとなる「本能寺学園」に入学し喧嘩で成り上がっていく、という作品。わかりやすく説明すると「宇宙から来たセーラー服を着て悪と戦う爆裂痛快バトルアクションエンターテイメントドラマ」である。最終的にはセーラー服で大気圏を突破し宇宙で戦ったりする。

どこか80年代を思わせるセル画風色彩や作画、スカートの中をのぞいて「花血ブー」をはじめとするどまんなかギャグを堂々とやり切る豪快さ、朝からラーメン二郎を食べるようなハイテンションと熱量でたたみかけるアニメーションであった。さながらM-1グランプリの漫才の後半たたみかけをたっぷりと届けられた感覚で、アニメを見てるだけで達成感を味わうことが出来る作品だと、声を大にして言いたい。

そしてこの作品は、ただ熱いだけではなく普遍的な人間の成り立ちを考えられる深い作品でもある。服を「きる」「きられる」とはどういうことか、どうして人は身を衣で隠すのか、服と人間はどんな関係性であるべきなのか、解釈を真面目に考えれば考えるほど楽しい。色んなことを前向きに思想化できてそれを楽しむことの作品である。

そしてこの作品でわかりやすく、答えとして提示しているのが「なんだかわからない」という結論である。この世はなんだかわからないもので溢れている、だからこそ美しい、わからないことが美しいことだと訴えている。

人間ってやつはつくづく「なんだかわからないもの」が好きな生き物である。作品の結果論として「わからない」ということで集約してしまうと、梨の礫をされたような印象をうけてしまう。安易にそこに手を出すケースも多い。ところがこの作品は最初から最後まで「なんだかわからないもの」をやり切っているので納得も得心が出来る。感動と感謝が止まらなくなる。そうだよ、わからないんだよ!わからないのがいいんだよ!と。「なんだかわからないもの」でしっかりと含みと深みを味わう気持ち良さがこの作品には溢れている。

全25話、最初から最後まで多彩なギミックを駆使して「なんだかわからないもの」を堂々と走りぬいた『キルラキル』は最高に美しいアニメーションである。

この作品を母国語で味わえる人生で本当に良かった。ジャパニメーション、万歳!!!

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