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ある意味ロックなぼっちちゃんのゆるふわドキュメント『ひとりぼっちの○○生活』

昨年、『ぼっち・ざ・ろっく』に人並に大ハマりしてしまい、アニメを見て、原作を全巻読破して、アルバムも購入するほどまんまと楽しく策略にハマってしまった。

しかし、どうやらこの作品が産声をあげる以前に、既にこの国で「ぼっちちゃん」の地位を確立していた作品があるということで、視聴を
始めた結果、まんまと没入しましたよ、って
記事を書く。

『ひとりぼっちの○○生活』というアニメ。カツヲ先生による4コマ漫画が原作であり、大事なことだがきらら作品ではない。

人見知りすぎる女の子主人公、本名・一里ぼっちは、中学入学の際に唯一の親友から「クラスの全員と友達になるまで絶好する」と言われてしまい、もう一度仲良くするために友達作りに奮闘する日常実録ものである。

自己紹介すれば嘔吐し、友達が出来たら気絶し、冗談を本気でとらえて周囲を困惑させ、些細なことで自己嫌悪に陥ってパニックとなるぼっちちゃんではあるものの、親友との約束を忠実に守り、苦手なことへ勇気をもって凹みながらも慢心するその奮闘ぶりに、飽きれつつも共感と支持の心が生まれてくる。

学力は高いため実は計画的であり(失敗するとわりと足踏みするが)、行動力もちゃんとあり、友達を少しずつ増やしていく。だが人間形成の軸となっている「ぼっちイムズ」はブレていないため、変に飛躍しすぎない姿だからこそ最後まで見守れると感じた。

後半は友達作りを目指しつつも、そんなぼっちが実は周りの生活も照らしていくというある種の成長が「少しずつ」丁寧に描写されている。

最初は友達ではなく「師弟」関係となっていた外国人のソトカ・ラキターさんは、ぼっちとの関係を変えたくてぼっちに「友達になってください」と直談判する。初めて他人から自分を求められるという、まさに「外から来た」を体験、実現させた。ぼっちの前進が明確に表されたエピソードだった。

ぼっちあるあるだけで出白を終わらせない物語の巧みさもあいまって素直に溶け込むことが出来る。

お金持ちで優しい性格はしているが、忙しい両親になかなか甘えられず周囲と一歩引いた関係がテンプレとなってうまく脱却できない小篠咲真世(おじょうさ まよ)さんは、友達になったぼっちから「友達が出来ると勇気が出る」
ということを学び、両親に自分の本心を伝えることが出来た。

本人にその自覚はないものの、自分を変えていく過程で明らかに他人も変えてしまう生き様を堂々とこなしていくぼっちは、先駆けた「ぼっち」であるし「ロック」ともいえる。

「ぼっち・ざ・ろっく」はぼっちというものをひとつの「個性」として昇華させようとする華々しさがある反面、「ひとりぼっちの○○生活」はぼっちという「軸」から、他者との対峙を経て発展をあきらめない様をお送りするひたむきな成長物語なのである。

「ぼっちでも青春は謳歌できるぞ!」という主張は一里ぼっちには届かないだろう。

友達は多くても少なくても良いとは思うが、夢に向かって頑張る大変な少女に勝手に背中を押された気分になれるので、「ぼっち・ざ・ろっく」にハマった人により視聴をオススメする。

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