29歳♂マレーシア、台湾旅行記、最終章

五日目、友達家族と合流し、大きなタクシーにのって九份へ向かった。人生初九份。街の名前が「九份」ってだけでもう渋い。しかも九份のあとは十分に行く予定だ。うん、渋い渋い。タクシーを走らせること1時間ちょっと、途中謎の渋滞に巻き込まれしまったけど、無事到着。土曜日ということもあって初詣くらい混んでいたけど、こうゆうザ観光地も悪くない。入り口付近にあった豆花(トウファ)を購入して食べ歩いた。豆花は豆腐のスイーツで、豆腐の上に甘く調理されたタピオカやタロ芋などをトッピングして食べる。私、甘いものはそこまで好きではないが豆花はイケる。下に敷かれている豆腐が全然甘くなくって、空気を読んでない感じがまた渋い。商店街の通路はとても狭く、至る所に臭豆腐のお店が並んでいるので、強烈な臭いもする。家族の皆様は臭豆腐店の前を通るたびに鼻を摘んで「くさーい」とおっしゃっていたが、私は「僕、そこまで嫌いじゃいっすねー」とチームに中和と多様性をもたらした。お昼時だったので商店街の中にある綺麗めな中華料理店でランチした。ルーロー飯、小籠包、ビーフンなどを注文しシェアした。しかし、八角が強めに入っている料理が多く、ご家族は「ちょっと苦手だわ」と手をつけられず余ってしまった。私はすかさず「僕八角、大好きっす!よかったら、食べてもいいですか?」とお残しなく全て平らげた。「残すの罪悪感あるから助かるわ〜」とお母さんは笑顔だった。実際に八角は平気だし、お腹も空いていたので私にできることがあるなら今後もどんどん活躍てMVPを獲得したい。タクシーで十分へ移動。十分瀑布という滝を見にいった。滝の手前に出店が並んでいて、串焼きのお店があったので食べることにした。店頭にはすでに出来上がっている串焼きが並んでいて、私はぼんじりを手に取って購入し、ビールと一緒に食べた。正直、ぼんじりはめちゃくちゃ冷たくて、油っぽかった。うわっと思ったが、まぁこんなもんかと思い「うん、うまいうまい」と言って食べた。友達夫婦は私と同時に串を買ったのに、やけに商品が出てくるのが遅かった。よくよく見てみると、店頭に並んでいる串焼き達は8割だけ完成しているもので、そこから最後の仕上として炭火でしっかり炙り完成させ、提供されるスタイルだった。私は生焼けのぼんじりを「うまいうまい」と言って完食したのである。どうやら夫婦は私が生焼けぼんじりを食べたとは気づいていないみたいだった。私は自分の恥ずかしい行動を打ち明けなかった、黙っていた、気づかれたくなかった。「僕まだまだ食えるからもうもう一本買いますわー」と言って、香ばしく炙られた豚バラ串で口を直した。その日は「お腹壊さないだろうか」という不安が消えなかった。瀑布を見て「うんうん」など言った後は、唯一僕のプランを提案させていただいた。友達からすぐ近くに秘境小籠包屋さんがあると聞いていたのだ。河邊牛肉麵店というお店で、言ってみると確かに田舎村の奥まったところに突如お店は現れた。家の前の広場で小籠包は蒸されていて、路上に並べられたテーブルで食べるスタイル。ここの小籠包は私の人生の中でベストオブ小籠包だった。小籠包はだいたい頂点の皮が閉じられている部分が厚く、そこだけ完全に火が通り切っていないことが多い印象だが、それは違って、全体的に皮が薄くプルプルで、それでいて破れにくいという絶妙な一品だった。ご家族の皆さんも喜んでいたので、本当によかった。そこから歩いて5分ほどのところの十分最大のお目当て、”ランタン飛ばし”に向かった。夕方ごろだったがランタン飛ばしの村はかなり観光客で賑わっていて、各々願いを書いたランタンを飛ばしていた。線路の上でランタンに火をつけ飛ばすのだが、定期的「撤収ー!」のような掛け声がかけられ皆んな線路から逃げたかと思うと、その真ん中を普通に電車が通っていった。どのようなルールで線路を使っているのかは不明だ。ランタンは面によって書く願い事の種類が違うのだが、私は恋愛面には「他力本願」、フリースペースには「毎月うなぎが食べたい」と書かせてもらった。四面たっぷり願いを書いて、いざ線路の上へ。ランタンを飛ばすにあたってはお店の人ひとりが指導してくれるのだが、我々を担当してくれたおじさんの指示が、まー流れ作業なこと。ランタンの四角を家族で持って写真を撮ったあとおじさんの号令で手を離して飛ばす段取りみたいだったが、指示が雑で全員手を話すタイミングを見失い、ランタンの中に軽くなった空気が充満しランタンの天井を突き破り、大穴が開いてしまった。我々は唖然としてランタンの天井から湧き上がる灰色の煙を眺めるしか無かった。サービスでもう一枚ランタンを飛ばさせてくれたが、そこには「さっきの願いが全部叶いますように」と書いて、今度はうまく飛ばせた。願いがたっぷり書かれたランタンがくしゃくしゃにされ、お店のおばあちゃんがゴミ箱に捨てている光景はなんとも虚しかった。でもみんな「これも旅だねー」なんて言いながら、タクシーに乗って台北に帰った。自分はこの後このまま新幹線にのって台湾第2の都市高雄(ガオション)にむかう予定だったので、台北駅で家族とはお別れした。一日中タクシーに乗って移動したのにひとりあたり2000円と破格の安さだった、それを思うと日本のタクシーは高い。新幹線は約2時間の移動、片道1万円くらい。移動距離にして東京〜名古屋くらいなので、金額的にはまぁこれくらいという感じ。高雄美麗島駅かた徒歩4分の遊大侠x七桃公寓というドミトリーにチェックイン。ここは直角ハシゴ2段ベッドの上段にあたってしまい、しかもロッカーがかなり狭く、ベッドの足元にバックパックを置くしかなかった。2泊だけなので我慢しよう。夕食はドミトリーから徒歩10分くらいの六号夜市で食べることにした。もう22時くらいだったけど、夜市は深夜まで開いているのでめちゃくちゃ助かる。方記水餃という水餃子のお店に入って、水餃子と酸辣湯スープを注文。私、酸辣湯が大好き。酸辣湯は辛味、旨味に加えて酸味があるところが超お気に入り。酸味があってメインのおかずになれる食べ物ってあんまりないんじゃないだろうか。水餃子もあまりにも美味しかった。夜市の店舗はお酒が売っていなく、近くのコンビニで買って持ち込むのが主流。台湾ビールで水餃子を流し込んでいると、一日で台北〜九份〜十分〜高雄とヌーばりに移動した疲れも吹っ飛んだ。その後はお店を変えて鉄板炒飯と、シメに鄭老牌木瓜牛奶でパパイヤミルクを飲んで、その日は泥のように眠った。
六日目。昼食は大圓環雞肉飯で鶏肉と魯肉のあいがけご飯を注文。台湾に来て初めての鶏肉飯。しっかりと火を入れられた鶏肉がほぐされてご飯に乗っている。うまい、魯肉飯は甘辛くどちらかというとこってりしているが、鶏肉飯はさっぱり。優しさと強さを兼ね備えた人造人間16号のようなライスをいただいた。

とここまで日記を書いたのだが、そこから2ヶ月以上が経過してしまって今はカナダに来ている。これ以降の台湾の記憶は、ない。

おわり


お賽銭箱でございます🙇 毎週、うな重食べたい…