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口野口―静浦口野逍遥

 旧道トンネルの上には民家があって見晴しがよさそう。しかし他人は行かれない。古いほうのトンネルはバスが一台通れるかどうかの幅しかない。
 トンネルには静浦地区の小中学校卒業生による壁画が描かれたが近年消されたのもある。出口で車道と合流し、そこには「口野口」という山本山見たいな名前のバス停がある。
 鉄道とかで集落から離れたところに置かれてこれと言ったものが回りにない駅に◎◎口駅と名付けることがあるけど、その場合駅のある所は◎◎ではないのが普通。しかし口野はトンネルにかぶさる岬の尾根を境に多比と分かれるようなので口野口は口野に含まれるようだ。もっともここも口野の集落から5分ほど離れたところにあるのであながち奇妙な名前でも無い模様。  
 奇妙と言うなら口野の口か。
 このバス停の奇妙な所は伊豆長岡駅から来たバス停の方である。バス停は両方ともトンネルと口野橋に挟まれた所にあるが、長岡方からトンネルには歩いて進めない。逆に口野橋はというと右折帯設置のために車道は3車線あるが歩道は放水口側にしかない。長岡方からこのバス停で降りた客は上り車線の路肩を歩いて口野に向かうことになる。面白いのはバスの止まるところだけ歩道があることだ。そして岬の海岸は切り立った崖であり崖崩れの恐れがあるから干潮時でも立入できないとされる。しかし本当の理由は口野千畳敷に至る間にスロープがあって滑りやすく、人が放水路口に落ちて溺死するのを予防することにある。
 北海道の函館線、長万部伊達紋別間に小幌という無人駅があってこの駅も降りた場所からはどこにも行かれないが口野口の沼津行きバス停は周囲の環境からどことなく似たような案配になっている。
 故に口野口は沼津の小幌と呼ぶべし。

旧県道を行く
多比第二トンネルに相対する旧トンネル
出口付近で第二トンネルと合流
ようこそ口野へ



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