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顎関節症という歯科医療被害 何故奴らは馬鹿なのか1-3 蝶下顎靭帯について

(12~13P)蝶下顎靭帯について
 
 蝶下顎靭帯の説明が以下の様にある。

「比較的薄い強靭な結合組織性の膜構造で、(中略)蝶下顎靭帯自体には下顎の懸垂を支える機能はないが、下顎の開閉運動の中心点は下顎小舌付近にあるとされ、この回転中心を保持する役割が指摘されている。」

 筋肉は脳にコントロールされて、それ自体を伸縮させ、張力を調整することが出来る。しかし、靭帯はそうではない。ゴムやロープの様に周囲から引っ張る力があれば伸びるし、繋いでいる骨と骨のスペースが何かの要因によって元々よりも狭くなってしまったものならば、付着位置の距離が短くなっただけ余計にたわんでしまい、靭帯には本来の張力が無くなる。そうなれば身体の動作において、靭帯としての正常な作用が働かなくても当然である。

 本来であれば蝶下顎靭帯が繋いでいる骨と骨の間には「関節円板」という軟骨がクッションとして挟まっているはずなのに、それが転位して靭帯が付着する2つの骨の間から抜けてしまったものならどうなるだろうか。有効に作用するはずの動作時にも、きっと靭帯はたわんで見えてしまう事だろう。
 この著者の文中にあるように、蝶下顎靭帯の性質が「比較的薄くても強靭」ならば伸縮性は少なく、伸び縮みして広い範囲で動作を補助するというよりも、ある動作の一点にその靭帯の作用が働くと考えるのが妥当である。

 ヒトの開口・閉口運動が元々はどのような動作なのかがわかっていれば、それが明確な中心点の1つある円運動や蝶番運動ではないことは、はっきりと分かるはずである。〇〇大学教授やら○○学会理事やらと、ご立派な肩書をお持ちで学術的地位のある人間がこのような理解のままでは、時に自分で奨学金という借金までして高いだけの学費を投じ意気込んで学ぶ歯科医学生達が残念である。

 動作の補助として靭帯がその作用を最大に発揮するのは、その付着位置が遠くに離れて張力が増し、靭帯の繊維の走行が一致している時である。それはどの瞬間か。蝶下顎靭帯の付着位置がどこなのか、この書によれば 「蝶形骨棘から起こり下顎小舌に付着している。」と明示してある。

 私は頭蓋骨の模型を用いて、上記2箇所の付着位置をゴムで繋ぐようなイメージで、開口運動をさせてみた。勿論、関節円板は市販模型に付属してはいないが、その違いを踏まえて観察してみると面白いことが分かる。

 開口動作時、開口量が大きくなると下顎骨全体が傾斜しながら関節隆起の斜面を滑走する。その一連の動作で最も靭帯に張力が働く瞬間がある。2か所の靭帯付着位置が最も遠く離れて靭帯が作用し、かつその走行方向と付着位置が重なる瞬間である。 それは「最大開口時」に他ならない。

図B(1)開口動作の原位置
蝶下顎靭帯の付着位置が最も近づいていて
蝶下顎靭帯の張力が弱い状態

 図Bは、開口動作に伴う解剖学構造の位置関係の変化を示す為、私が手書きしたものである。 (1)は閉口位であり、開口動作は顎関節構造が正常であれば、この状態から開始される事になる。

図B(2) 大開口動作に伴う滑走運動

 (2)は開口域が大きくなるにつれて、下顎骨の下顎頭が側頭骨の関節面(下顎窩〜関節隆起)を前方に移動する様子である。

図B(3) 顎が大きく開くにつれ
円板軟骨の後方部分が上下から圧縮される

(3)は下顎頭が丸い関節隆起の頂点に位置した状態である。これより前方に下顎頭が移動して、関節隆起の反対側に位置してしまうと「顎関節脱臼」の状態となる。滑走運動に伴い蝶下顎靭帯が引っ張られて張力を増すと、下顎頭を丁番動作の軸にして下顎が開き、円板軟骨の後方部分(後方肥厚帯)が上下から挟まれて圧縮される。

図B(4) 下顎頭が関節隆起の頂点に達する
最大開口動作時に靭帯の付着位置が最も離れて蝶下顎靭帯の張力が最大となる

 (4)は最大開口状態を示す図である。関節円板軟骨後方が顎関節骨格の上下に挟まれて歯止めのように作用し、それ以上の開口動作が制限される為、脱臼は生じない。この時、蝶下顎靭帯の付着箇所の蝶形骨棘と下顎小舌の距離が最も離れて蝶下顎靭帯の張力が強くなり、顎関節動作で蝶下顎靭帯が最も有効作用する瞬間である。

 開口動作で関節隆起斜面を滑走し(2)、関節隆起の頂点に下顎骨の下顎頭が位置する時(3)、本来であれば関節円板中央の関節円板狭窄部が傾斜した下顎頭を覆っており、関節円板の前方・後方肥厚部が前後的に下顎頭を支え(4)、不正な動作を抑制している。不正な動作とは顎関節の脱臼である。顎関節動作における蝶下顎靭帯の最も大きな役割は顎関節脱臼防止なのだが、顎関節症専門家であるはずのこの著者は蝶下顎靭帯の脱臼防止の役割について全く何も触れていない。専門医の彼らは蝶下顎靭帯の機械的役割を何も理解していないのであろう。だからこそ「下顎の開閉運動の中心点は下顎小舌付近にあるとされ、この回転中心を保持する役割が指摘されている。」などと、何ともあやふやですっとぼけた解説をするのである。

 専門医によって、当てずっぽうに様々な処置を施された後でも、患者の顎関節が脱臼してしまうのは関節円板が本来の位置からなくなり、最大開口動作時にストッパーとして働くものが、そもそも骨と骨の間に無い為である。また、キチガイな外科手術により骨を削られ関節の山も谷も無くなりってしまい、むしろ術後に脱臼の症状が悪化することがあるのもテコの支点となる顎関節の骨が外科処置によって削られて、平らに近づくためである。

 図C 顎関節脱臼の症状を改善する目的で
関節隆起を平坦に切除形成された際の脱臼発生原理  
側頭筋の力の方向をオレンジ色、咬筋と内側翼突筋の力の方向を水色 下顎頭を上に引き上げる力の方向を緑色で示してある。

 顎関節脱臼の症状を改善する目的で行われる「関節結節削除術」(何故奴[5-1]参照)によって、関節隆起の形状が平坦になると、下顎頭が前方へ移動する際に乗り越える関節隆起の山が低くなってしまう。関節隆起を平坦にするといっても、ぎっしり中身まで骨が詰まっていない限りは無尽蔵に骨を削れる訳もなく、関節隆起は真っ平にはならずに少なからず山が残ることになる(図1)。脱臼を生じている患者であれば関節円板が正常な位置で関節動作に機能している訳もなく、関節円板は転位しているはずである。その為、不器用な口腔外科医師の手先で凸凹にならされた関節隆起上を下顎頭が前方移動する際には、摩擦抵抗が大きい状態である可能性が高い(図2)。前方移動した下顎頭は、本来よりも低い関節隆起の頂点(図中黒点)に達したと同時に、摩擦抵抗が抜けてしまう事になる。その結果、勢い余った下顎頭は易々と関節隆起頂点を乗り越えて、反対側に位置してしまう事になるのだ。それは顎関節脱臼状態に他ならない。下顎頭を後ろに引き寄せる筋肉は存在しない為、患者は自力で閉口できない状態になってしまう。ただ、関節隆起の高さ自体が低くなっているので、脱臼を少ない力で整復することは出来るかも知れない。だが、脱臼防止外科処置によって脱臼が生じ易くなると知ったなら、患者はこのような処置を自ら進んで受けるだろうか?

 あなたが「テコの原理」を義務教育で既に学んでいるならば考えてみてほしい。「コロコロ(床面掃除道具)」のようにテコの棒の先にローラーをつけて、それを板の上へ垂直方向に立てるとする。棒を持ち、上から体重を掛けたらどうなるだろうか。横にコロコロと、転がって逃げてしまう。

 次に「何らかの理由」で知らず知らずのうちにローラーを無くしてしまい、テコの棒を「棒先の形むき出し」のままに、同じことをしたらどうなるだろうか。棒先の形状はどうであれ、先ほどよりも遥かに強い力をかけなければ動き出さないし、ゴリゴリと板の上を擦りながら動き始め、次の拍子には板の上をすっぽ抜けてしまう。極端な摩擦抵抗が一気に横へ逃げた力で、さぞ板も棒先も傷を負う事だろう。

・テコの棒は「下顎骨」。
・棒先は「下顎頭」。
・ローラーは「関節円板」。
・テコの土台である板は
 「側頭骨の下顎窩と関節隆起の斜面」。
・上の情景をイメージして頭の中で
 棒を同じように動かすあなたは 下顎骨に
 付着する諸々の「筋肉(咀嚼筋)」である。

 先の情景で次の事を考えたら、あなたはどう思うだろうか。

 ・板が傷つくのは何故か?
  そもそも初めから板は
  「平ら」だったのか?
 ・棒先が食い込んで痛いのは
  あなたの気のせいなのか?
  動作を繰り返すうちに棒先が尖って
  棒先が潰れてしまうのは何故か?
 ・同じようにかけたはずの力が
  動作の途中ですっぽ抜けるのは何故か?   誰も見ていない頭の中で
  あなたはズルをするだろうか?
 ・日を追うごとに板がザラザラに
  荒くなっていくのは気のせいなのか?
 ・棒が擦り減って短くなると体が
  前のめりになるのは単に老化なのか?
 ・ミシミシ、ゴリゴリと音がするのは
  何故か?
 ・ローラーは何故、何処に消えたのか?
  棒先に戻すことはもう無理なのか?

 きっと、 専門家ではないあなたが考えに詰まるとしたなら、「初めから板は平らだったのか」 、「ローラーは何故、何処に消えたのか」 であろう。

 この書の先に長く続く 「顎関節症」 と顎関節にまつわる数々の病も、 決して原因不明の未知なる奇病ではないということを、 患者に触れた事もない私が これから1つずつ示していき、 どれだけ日本の歯科医療が腐敗しているか、 知れば知るほどただ事ではない状況を 察して頂けることと期待する。

 ある外科処置によって 左側のローラーが 長らく1つ抜けてしまったままだった私自身が 一患者として、 そして現在故あって生活保護を受けている 元歯科技工士の果たすべき社会的責務として顎関節症専門家によるインチキでたらめな診断とそれに基づく手術手技による医療被害の現実を記すものである。



























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