見出し画像

「超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA」展@あべのハルカス美術館


金沢21世紀美術館のデザインギャラリーで展示がある池田晃将さんの作品もあるということで、チラシを見て「マスト(must:絶対行くよ」ファイルに入れていた展覧会。

あべのハルカス美術館自体も初めてでした。
トイレやコインロッカーの場所が後から設置した・・のかな〜、なんか行ったり來になってしまうのが惜しいなぁ。

ともあれ、展覧会「超絶技巧、未来へ!」展は、凄かった!!
圧巻です!!!!

「addictive」という言葉があるけど・・・訳すと中毒的な・・・ですが、工芸作家が「超絶技巧」という思いに取り憑かれ、中毒的になってしまうぐらい突き詰めて突き詰めて・・・という刹那的な展覧会でもありました。
ネガティブな意味じゃなく、なんというか、理想は常に「生き物の存在・形」であるところ、超絶技巧なんだけど、それはほんとに地道な手業・手仕事の粋を極める、そのことに「はまっていく」・・・addictive・・・なんだなぁと。

以前、音楽家の方と、理想を追い求めることを「限りなく近づくけど、決して交わらない・・・漸近線のようですね」と言ったら「表現すごく良いですね」と言われたことがあったけど、それだなぁと。

理想の姿、理想の作品、理想の形・・・はちゃんと頭の中に、具体的には生き物・・・という目の前にちゃんとあって、そこへ近づけたい、近づけて・・・でも、決してそれは一つにならない、一致点がない「漸近線」

一枚の木から掘り抜いた木彫の作品、本物のスルメイカそっくりの木彫、水が入ると動いて開く月下美人を象った木彫、とにかくため息もんです。色をつけてないのに、ちゃんとアゲハ蝶の羽の色が出ている象嵌みたいに、木肌の色を生かして埋め込んだ木彫や、細い小さな鎖一つ一つが陶で焼いてあって、それ、動かせることができる作品とか、目に見える表面だけじゃなく内部もちゃんと骨格まで作ってある金工のカラスとか、とにかく、徹底的に徹底してる作品ぞろいでした。

金工の本郷真也さんの作品のカラスの胃袋にはキャンディの包み紙、これは銀で作ったものが入っているんだそうで。
金工は実は永遠に残るものではなく、錆びて朽ちていく・・・500年後、1000年後錆びて穴が開いたカラスの中に、銀で作ったそれを見つけるのは、いったい誰?
そんなSF的な、いろんな伏線をこめて、仕掛けをしているそうな。
金工って、ただ鍛金の技術を表面に・・・じゃないんだ、誰も見る人がいないのに、内部からこれほど想いを込めて作り上げていくものなんだ・・・とすごく感じ入りました。

そんな「生物の姿へ」とめざしていた作品から、ちょっとシフトして、新しい生き物の創造につながるような・・・そんな方向性を持ってるのが池田晃将さんの作品かなぁと。残念ながら池田さんの作品は全て撮影不可だったんですが。この世界にあるものを目指している作品群のところから、池田さんの作品は、もう少し「SF的」な「超古代にあったかもしれないが、超未来に出現してくるかもしれない」そんな、マヤ文明やエジプト文明などの世界から未来へと・・・ちょっと違う視点からの作品・・・という印象を受けました。
ガラス作家さんの作品も、現実に存在している粘菌にヒントは得ているとうかがえるけど、でも、そこから一歩先へ進んで、「もしかしたら人類が滅んだ後に残ってるのはこういう生物ではないか?」みたいな考えを想起させる作品でしたね。

いやいや、すごい展覧会でした。
まさしくスルメイカのごとく「噛めば噛むほど」驚異的!でした。
図録買っちゃいました〜!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?