未来警察ウラシマン


1983年1月9日〜1983年12月24日フジテレビ系にて
日曜夜6時(12話まで)
土曜夜6時30分(13話から)
全50話放送された作品で、制作は
フジテレビとタツノコプロ(読売広告社も)。


80年代のタツノコアニメのニューウェーブと呼ばれたタツノコプロ作品の意欲作にして名作、『未来警察ウラシマン』。

それまでのタツノコプロ作品の代表作『科学忍者隊ガッチャマン』や『タイムボカンシリーズ』を支えてきた
故・吉田竜夫さん
笹川ひろしさん
といったスタッフがあまり参加せず(企画九里一平さん メカニックデザイン大河原邦男さん キャラクターデザイン、作画監督井口忠一さん等、ベテランスタッフの参加はあり)、
監督 真下耕一さん
キャラクターデザイン なかむらたかしさん
といった新世代のスタッフが中心となり制作された作品。


なかむらたかしさん、加藤茂さん、井口忠一さんによる、タツノコプロ創設者の故・吉田竜夫さんに代表されるタツノコっぽい絵柄とは一線を画す絵柄。

音楽も、『うる星やつら』や『キン肉マン』等に携わった風戸愼介さんによるもので、これまたタツノコ作品とは異なる印象。

今までのタツノコプロらしさが薄らいだ印象がある一方、メカニックデザインの大河原邦男さんはタツノコプロ出身だし、『ハクション大魔王』以降のフジテレビ系日曜夜6時放送のタツノコプロ作品に毎作品のように出演されていた大平透さんが権藤警部役で出演されていたり、敵組織名が犯罪を意味するクライムと根暗を合わせたようなネクライムで、そのネクライムのメンバーのジタンタのフルネームはジタンタ・フンダ等といったタツノコプロ特有のダジャレっぽいネーミングといった、今までのタツノコらしさも有る。

言ってみれば過去と現在(ウラシマン制作当時の)のタツノコのハイブリッドな作品が『未来警察ウラシマン』だと思う。

『未来警察ウラシマン』は原作の漫画や小説の無いアニメオリジナルの企画で制作された作品(当時少年チャンピオンで漫画版が連載されていたけれど、映像作品のコミカライズ版と捉えた方がいい)なので、原作にとらわれる事なくある意味アニメスタッフが自由に作ることが可能だった作品と言える。

その自由さが、ウラシマンをタツノコアニメのニューウェーブというイメージとなり、名作たらしめた要因となった気がする。

自分が好きなアニメで、原作漫画や小説の無いアニメオリジナル作品に、サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)制作の『絶対無敵ライジンオー』があるが、こちらも小難しいこと考えないで視聴者(主に小学校低学年層)が楽しめる作品を作りたいとスタッフが思っていた作品。

その結果、ターゲットとしていた層のみならず幅広い年齢層に受け入れられた人気作となり、放送開始から半年後にビデオソフト、レーザーディスクがリリース開始され、放送終了後に続編のオリジナルビデオアニメが制作され、時を経てDVDやBlu-rayもリリースされ近年もグッズや小説が世に出るなど根強い人気がある。

ウラシマンもテレビシリーズ終了後にNHKのBS2(当時)で放送されたり、レーザーディスクやDVDやBlu-rayが発売されたり、2022年の秋にスカパー!のアニメ専門チャンネルAT-Xで放送されたりと、比較的視聴機会に恵まれた作品と言えるし、今から10年前の『創立50周年記念 見たい番組はあなたが決める!タツノコプロ名作アニメ総選挙』で最多得票を獲得したことがあっただけに根強い人気がある。

とは言ってもウラシマンに関しては、リメイク作品は作って欲しくない。

タツノコ作品って結構リメイクされる機会は多いけど、そのリメイク作品が旧作並みの支持があるかと言うと、微妙な気がする。

アニメに限らず旧作の続編やリメイクが旧作を凌駕することってあまり無い(二作目やリメイクで前作超えしたのは『ドラえもん』やアニメ版『忍者ハットリくん』や中村吉右衛門版『鬼平犯科帳』くらいかも)

当時のスタッフやボイスキャスト、当時の技術、当時の息吹が再結集することは不可能だから、パッと見ウラシマンっぽい作品にはなっても、中身までウラシマンにはならないと思う。

いつでも再視聴可能な状態にはしておきたいが新作は希望していない、いつまでも大切にしておきたい作品。

『未来警察ウラシマン』は、自分にとってそういう作品である。





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