ワンワンステージは、スピードで攻略!駆け抜けろマリオ!2019 J1リーグ第15節マリノスVS清水エスパルス プレビュー

マリノス関連とは思えない謎タイトル。
代表ウィークを挟んで迎えるアウェイ清水戦。中断前の3連勝の勢いを活かすためにも勝たなければなりません。優勝するためには、次回の中断がある神戸戦までを一括りと考え、ここからの6試合で5勝したいところ。気持ちは全勝だけどね。

その状況で、中断明けに対戦するのが、リーグ最下位のチームというのも、絶妙に試されている感があります。相手は死に物狂いですし、監督交代して4試合目、代表ウィークを上手く利用して立て直しをしているでしょう。そもそも、最下位の戦力ではない清水エスパルスです。嫌な相手です。

しっかり分析しようが、多かれ少なかれ中断前から変化があるでしょう。どこに手を加えているか予想し、どう戦うべきか見ていきましょう。

1,【清水エスパルスの特徴】

今シーズンの清水エスパルスは、昨年8位になり、リーグ2番目の得点力を披露したヨンソン監督を続投しました。実際に昨年のマリノスとの試合を見て、特に夏のホーム戦では良いサッカーをするなと感じました。そりゃ、そうだ。清水エスパルスもポジショナルプレーをやっていたんだから。

あの試合は誤審がフォーカスされてしまいますが、ポジショナルプレー同士の試合として見応えがあったと思います。ヨンソンのポジショナルプレーは攻撃面に特化し、SHの絞りによりSBに幅を取らせ、レーンの意識を持たせた選手に、菱形の位置取りを作らせるものでした。

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ただ、ネガトラやプレスは前4枚の分断になりやすく、躱されると崩されますし、リトリートして4-4のブロックを作っても、スライドが間に合わず崩されていました。

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その分、守備の練度を上げればイケると感じた清水サポは多かったのではないでしょうか。しかも守備の仕方は、サポーターにも分かりやすい設計の4-4ゾーンディフェンス。期待せずにはいられなかったでしょう。

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しかし、今季になり蓋を開けてみると、開幕5試合で14失点。11節の川崎戦での4失点で、フロントはヨンソン監督の解任を決めました。何がいけなかったのか。監督本人が解任時のインタビューで語っていた様に、基本となるメンバーが移籍や怪我で揃わなかった事が大きかったと思います。特に、攻撃面で菱形が上手く作れませんでした。

攻撃が上手く行かなければ、カウンターの危険性は高まります。カウンターの危険性が高まれば、思い切った攻撃参加が出来ずに、中途半端なポジショニングになりやすくなるという負のサイクル。正直、フロントはもう少し我慢すべきだったと思います。ポジショナルプレーを引き継ぐ監督がいないなら尚更です。この部分に関しては、マリノスは本当に一貫したチームを作ってくれていると感じます。

そんな中、昇格人事にて後任になったのは篠田監督。FC東京での実績を覚えている人はどれくらいいるでしょうか。JFK後のFC東京を立て直したものの、二年目は高萩や大久保を活かせず解任。そんな篠田監督の印象は、デュエルの人です。デュエルマスターです。練習から強度を高くし、試合ではデュエルを求め、セカンドボールへの反応を速くしようと彼は説きます。でも、その他の戦術的要素は、あまり印象にない監督さんです。

篠田監督が就任して3試合がリーグ戦で行われましたが、基本的な構造はヨンソンサッカーのままです。彼が行ったのは選手の頭の整理と強度の復活。混乱しているチームにおいて、ファーストアプローチとしては正しいと思います。

特に強度の復活で顕著になったのが『ワンワンディフェンス』。ワンワンとは何ぞや。
いないいないばぁじゃないよ。
マリオのワンワンです。知らない方は調べて見てください。

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これが篠田さんのデュエルのキモです。

後は、中断期間で何をしてくるかですが、前述したようにデュエルを求める監督なので、改善してくるとしたら、やはり守備の部分だと思います。ラインを高くし、インテンシティを上げ、コンパクトなブロックを形成し、ショートカウンター型のサッカーを組み上げるのではないかなと。そして、ワンワンディフェンスの醸成。まずは高い位置からのブロック守備から手をつけてくると思いますが、進捗がよろしければ、前からの連動プレスにも着手しているかもしれません。

2,【清水エスパルスの守備】

では、清水エスパルスの守備です。ヨンソン清水は4-4ブロックを作り、スライドを駆使して危険なスペースを守っていました。ゾーンディフェンスなので、ボールがゾーンに入れば食いつきます。
自分の担当エリアから移動したらマークはスイッチされるわけです。

シーズン序盤、この食いつきが弱かったのですが、篠田清水はここを相当強めに強化してきました。それ本当にゾーンディフェンスですか?というレベルにまで達しています。これがワンワンディフェンスなわけです。

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もう、ゾーンというかマンツーマン気味。

また守備時には、2トップは役割分担がされており、ドウグラスが相手CBの間に入りボールホルダーのCBに寄ります。北川はCHへのカバーシャドーを主体に、視界に相手CHが入ってくればマークに付く構造。これによって、サイドを限定して守備をしてきます。先程の分断プレスの画像と一緒です。

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この時、清水のCH前が空くのですが、

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こんな風に使えますが、これはわざと空けているのではと見ています。清水CH前に入れば、ワンワンディフェンスで奪いに来ますし、4-4ブロックのライン間に入れてきたら、一斉に囲い込みに来ます。
はい、お気づきの方がいると思いますが、この清水CH前はマリノスにとってもチャンスです。食いついて来れば、今度はCB前が空きます。

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どうやら前方スライドはそこまで上手くいっていない様です。そのため、ラインはバラバラになりやすく、選手間も空きやすい。スライド守備はボールサイドと中央を圧縮して守る事が目的なので、逆サイドはガラ空きです。

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ここを起点にSBを釣って、チャンネル空け、ハーフスペースを使ってロークロスまたは中央密集してるならバイタルにマイナスクロス。で攻略出来そうです。

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マリノスの十八番ですね。

プレス時は前4枚がハンター。SBとボランチが網元ですが、互いの距離が遠く、プレスは躱される事が多いので、ラインを高くして改善してくるのではと見ています。パギや畠中を起点にして、バンバン裏を狙いましょう。もう、湘南でクリアしてるからね。このステージは。

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また、ゾーン1と2の出し入れでだいぶ疲弊してくれそうなので、余裕があればしっかりビルドアップでも良いと思います。

またポジショナルプレーを導入したチームの悪い癖なのですが、ポジションを考えすぎて、速い展開を相手にされると思考が追い付かず、ボールウォッチャーになりやすいです。ワンワンディフェンスをワンタッチ連携で外せれば、清水ディフェンスはフリーズするでしょう。

この事から、清水の強度VSマリノスの速いボール回しの展開になると予想します。もう、このタイプの相手には、さらっと上回りたいです。

あと注目すべきなのは、清水は相手や点差、時間帯によって攻守で形を変えて来ます。仙台戦は途中から4141をやっていました。噛み合わせとしては、マリノス相手だと4141の方が良いので、最初からやってくる可能性があります。これはプレス重視の戦略で、4141の場合は4人だったハンターが5人に変わります。

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でも、ここら辺は簡単にクリアして欲しいな。やられたくない布陣は他にあるので、今ならあっさり崩したい。

3,【清水エスパルスの攻撃】

続いて、清水エスパルスの攻撃です。前述している様に、ポジショナルプレーが原則としてあります。基本、442をイメージしてください。北川は442のフリーマンの役割のため、4231や4411の様に見えますが、原則は442です。

442のビルドアップは、SHが中に絞るという話を以前のプレビューでしてきましたが、清水の場合は最初から絞り気味です。

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そう、神戸と一緒。ただ、SBが上がってくるタイミングが違います。攻撃に段階を付けており、最終段階でSBが上がってきます。結構慎重です。

まず第1段階は、442のまま2トップへロングボールを蹴りこむ事を考えます。

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ボールを奪った直後や、ビルドアップ開始の位置が低い時に、必ずボールホルダーは2トップの位置を確認し、裏が空いていたり、数的に勝ち目がありそうなら、ファーストチョイスはロングボールです。

続いて、第2段階。ロングボールが駄目な場合、必ず自陣では数的優位にたっている状況です。

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ここで、ポゼッションに切り替えます。もし簡単にCHに預けられるならば、SHが上がり424になります。

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CHはそのまま前の4人にパスをしても良いですし、CBに戻して、次の段階に進んでも良いです。

最後に第3段階。この状況であれば前4人とCHで相手を押し込めていますので、前にスペースがあればSBが高い位置を取れます。244または、2224みたいになります。

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クロスのターゲットが中央にたくさんいますので、簡単にクロスを上げるだけです。

どの段階でも、ドウグラスへクロスを送る狙いというのは、変わりなく設計されています。

と、ここまで、書いて来ましたが、実は清水はビルドアップが上手ではありません。CBにおいては元来のスキルもありますが、他のポジションにおいても、選手の入れ替わりもあり、それぞれの立つべきポジションが微妙にズレます。エウソンなんかは凄いズレます。川崎の時のように中に入って来ちゃいますから。
これが、今シーズン上手くいっていない要因でもあり、パスがズレたり、陣形崩れたままで攻撃して奪われると、一気にピンチになるカウンターを食らいます。去年のマリノスで散々見ましたね。攻撃的にポジショナルプレーをやると、陥りやすい現象ですね。

篠田監督はまたこのポジショニングについても少し整理をしました。分かりやすいところだと、逆サイドのSHが幅を取るときは、SBが中に絞ります。もしくはSBが中に絞るからSHがバランスを取っているとも言えます。

でも、結局はハイラインにブロックを組んで、守備で殴るショートカウンターを、攻撃のメインにしようとする監督さんなので、このポジショニング修正は、一時的な対処療法だと思います。どうあっても、清水の強度VSマリノスの速さの展開になると思います。

最後に、前線4人は結構自由です、エウソンも川崎時代ほどアグレッシブではありませんが自由です。
松本戦では、エウソン上げて、六平がサイドをカバーする対応もしています。実はこれもポジショナルプレーに基づく対応で、流石のヨンソンチルドレンだなと思いましたが、ここら辺は長くなるので止めましょう。

4,【最後に】

ではスタメン。

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マリノスは怪我の扇原に代わってAJでしょう。清水は変えないとみています。

今回も長くなってしまいました。申し訳ない。明日は雨予報。雨中のナイトゲーム。良い感じでスリッピーになるのではないでしょうか。とにかく、速さが求められる試合です。今まで、幾度となく強度のある相手にやられているので、一切の油断は無いはず。勝ちきりましょう。

ここまで読んでいただいた方、読後に何かのアクションを行っていただいた方に感謝いたします。

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