君は今、大変な事をやろうとしている。大変な事だから素晴らしいのだ。素晴らしい事をする人間が挫けてはいけない。byクラマー 2019 J1リーグ第24節マリノスVS名古屋グランパス プレビュー

アタッキングフットボールとは何ぞや。という問いに向き合う事になった1週間。リーグ戦の3連敗は、どんなサポーターにも平等にダメージを与えており、この傷を癒すためには、やはり勝利しかないよなと思う金曜。

セレッソ戦のレビューを書こうかと思いましたが、1試合で書くべきことはレビュワーの方々が書いていますし、1試合だけでは分からない事は、シーズンの振り返りに取っておこうと思います。一つだけ、今後も注目してみたいものを挙げるとすれば、

『セントラルウィンガー』

であると思います。なんだそれはと思われる方は、どうぞこちらを。

偽9番と偽10番をミックスさせるのかどうか。個人的にはとても楽しみなんです。誰もやっていないフットボールをやると言うボス。マルコスもエリキもテルも。ひょっとしたらケイタも。新しい形にチャレンジするかもしれません。

という事で、次の対戦相手は名古屋グランパス。3試合前までは3バックを採用していましたが、川崎戦から4バックに戻し1勝1分。米本はいないものの、基本ベースは前回対戦と大きくは変わらず、強い印象の名古屋に戻りつつあります。変わったというか、整理されたところとして挙げられるのは、プレス→ブロックへの移行がスムーズになったなと思うのと、ビルドアップに型が出来てきたなというところでしょうか。ひょっとすると、前回対戦時にはすでにやっていて、私が見落としているだけかもしれません。特にビルドアップに関しては、3バックを行った恩恵を受けていそうな気もするけど、何にせよここら辺は、今回の分析対象ではあります。

では、まずは前回対戦から振り返りましょう。

1,【7節ホーム名古屋戦の振り返り】

第6節の浦和戦でエジガルが負傷したため、マルコスをCFにしたスタメンで挑んだマリノス。互いに前方の6人でプレスを仕掛け合い、外せればチャンス、奪われればピンチというハラハラした試合でした。

画像1

最初に失点をしたのは、マリノス。左WGとして先発をしたケイタが、ペナルティーエリアのギリギリ内側で、クリアしようとしたキックが名古屋の宮原に入ってしまい、PKを取られジョーに仕留められました。しかし、もったいない失点も、すぐさまマリノスは名古屋のプレスを上手くいなして、畠中→三好→テル→マルコスの速い展開で攻略します。

画像2

同点になっても、プレスの掛け合いは変わらず。プレスのいなし方においては、名古屋に一日の長があり、シミッチを中心にした長短のパスで、ギャップを作られてしまっていました。マリノスも自陣でパギのパス能力を上手く活用してビルドアップをしていきましたが、ミスやロングパスの成功率の低さもあり、ボールポゼッションは多いものの、崩し切ったシーンは少なかったです。パスにまつわる個人の能力の違いを見せつけられました。それでも、互いに決定力がなく、というか瀬戸際で両GKが奮闘し、1-1で試合終了。

正直、チームの分析はこれくらいしかありません。互いの攻撃性を抜き取った様な、そう、新日本プロレスのストロングスタイルの殴り合いの様なエンタメ感満載の試合。個人能力の高い名古屋に対しよく戦っていたなと思いますし、マリノスの選手が、ハイライン高強度プレスに立ち向かっていた姿が印象に残る試合でした。

今回の振り返りは短め。じゃあ、同じ事が今回も起きるのかどうか、今の名古屋グランパスを見ていきましょう。

2,【名古屋グランパスの守備】

名古屋グランパスの守備は、ベースは変わらず、ハイラインの442が基本フォーメーションで、ゾーンディフェンスと言うには曖昧で、どちらかと言えば人に付く守備と言えます。

画像3

プレス時は424気味になります。

画像4

ただ、プレスが躱されれば、ハイラインではあるものの442ブロックに移行します。名古屋のCBとSBは変に前には出ず、ディレイの意識が強く味方の戻りを待ちます。この時、特にシミッチとSHの戻りは速いです。現在の名古屋の生命線は、間違いなく、シミッチとSHの前田と和泉の運動量を担保にした守備でしょう。なので、ぶっ壊すならこの部分。

まずは、SHから。ブロックに移行してもSHは大変です。特にボールサイドのSHは三枚ビルドアップに対しては、自身の裏にいる相手のSBへのパスコースを消しながらプレスをし、

画像5

仮にそのSBにボールが渡ってしまえば、頑張ってプレスバックします。

画像6

この時SBがSBを見るという状況は、名古屋にとって、チャンネルを空けてしまう行為です。やりたくないでしょう。

画像7

CHをずらすという方法もありますが、中央はあまり空けたがらないので、名古屋にとってこのSHの上下動は生命線なのです。

なので、この特性を使い倒したいマリノスは、ビルドアップでCHを落とし、名古屋のSHを釣り上げましょう。そして、マリノスは上がったSHの裏を、SBか張ったWGで早々に使いたいところ。これはセレッソ戦よりも意識的に出来なければなりません。

画像8

このCHが落ちるビルドアップに対して、名古屋CHがついて来ることは少ないはずです。名古屋のブロックは縦圧縮するのですが、これは真ん中をあまり空けたくないという考えで、前述したSH裏を突かれた時にCHのスライドをあまりしない事と同じ理由です。その分、大外は使われてもやむ無しと考えているようです。

つまり、名古屋の442は横スライドは弱く、縦スライドで大外を埋めていると考えてもらえれば十分です。
この特性から、SHが相手SBを捕まえるので、押し込むと6バックになるときもあります。

画像9

図解で前述したように、SBはハーフレーンをそもそも意識したポジションニングをしてきます。6バックにならなければ、アイソレーションは出来そうなので、あまり押し込まない事を意識して、スペースのある状態でタカのサイドチェンジを使いたいです。セレッソ戦から続く課題ですね。

続いて、もうひとつの鍵になっているシミッチ。シミッチを突破するならば、三枚ビルドアップで釣りたいのです。じゃあ、どんな時に来るかなと考えると、CHが落ちきらず、シミッチに自分の守備範囲で奪えそうだな感を持って貰うことかなと。

画像10

これは賭けでもあるのですが、喜田なら出来ると思います。前回対戦でもやれてたし!

画像11

この時、マリノスはビルドアップでファーストレイヤーを同数で突破しなければならないので、GKのビルドアップ参加は頑張って欲しい。頑張れ大地!

SHを突いても、シミッチを突いても、ハーフレーンを使えるようになります。例えば、CFが中央レーンからHSに抜ける動きをすれば、名古屋のCBもSBも釣れるので、中央を薄く出来ます。

画像12

その状態で大外レーンから速いクロスでも良いし、

画像13

シミッチ裏で受けた状態から、WGがHSを突いて、HSからのロークロスという再現性の高い攻撃もそろそろまた見たいですね。

画像14

個人的には、SHの裏を使うよりも、シミッチの裏を使って崩す姿を見たい。いつだって、強弱は裏表だ。マリノスのここまでの3戦を分析して横スライドしてくるかも知れないし、絶対変えてこないシミッチのところを突きたいです。と、ハイプレスをくぐり抜ける前提での話でした。俺はくぐり抜けると信じてる。

3,【名古屋グランパスの攻撃】

続いて名古屋グランパスの攻撃です。基本設計は424です。風間さんと言えば中央攻略ですが、名古屋はサイドも使えるチームです。クロスだけではなく、サイドから斜めのスルーパスを中央に通したりします。

画像15

また、左右でサイドの攻撃方法が違います。右サイドは前田と宮原のコンビネーションで崩して来ますが、左サイドは和泉が絞って、吉田を上げる形です。この時の和泉は相当自由で、反対サイドまで行く事を許されています。

画像16

イメージとしては、中央に縦横に自由な3トップがいる感じです。そもそも、中央はシャビエルが落ちる事が多く、ジョーもそこそこ落ちるので、そこに和泉が加わっていると思ってください。

画像17

さらに、左サイドで吉田がボールを持つと、前田も絞ってファーサイドでのターゲットになります。

画像18

続いてビルドアップの形ですが、 シミッチが落ちすぎず左にスライドし、中谷が角度を作るイメージ。菱形になります。

画像19

これは、シミッチをまずはフリーにさせたい。次にフリーにするならネット。それもダメなら、前線または上がったSBにという設計。最悪困ったらジョーへ。

画像20

もちろんCHが落ちて三枚ビルドアップの時もある。424→244→316なイメージ。

画像21

3バック化したらHVはオーバーラップします。CHは司令塔で、前に飛び出すことはあまりありません。基本前線4枚とSBで押し込み、クロスか中央突破です。

という事で、良い形で前線にボールが入ると嫌なので、マリノスとしては、司令塔であるシミッチとネットにボールを入れさせたくありません。ハイプレスよりもここ。
喜田とタカ(渡辺)の圧力は大事ですし、あえてボールを入れさせた所を必死に食うべし!奪うなら起点!他のビルドアップの入口はボールがずれるから何とかなる!

また、名古屋は戻りながらの守備は上手くないし、押し込むと手詰まるのはマリノスと一緒です。
良い形でボールが入らなければ、結果的に押し込んで来ようとしてくる名古屋の攻撃は、マリノスにとってはチャンスになるかもしれません。

4,【最後に】

さて、スタメン。

画像22

マリノスは、マテウスが契約の関係で出られず、左WGはケイタが戻って来るでしょう。CHはスペース攻略という点で考えると渡辺の方が良いと思いますが、うーん、タカを使うのではと思います。スタメンを失う可能性のあるタカとケイタは、気合い入るでしょう。
エリキは様々な媒体で右WGと言われていますが、試合の中で変わる可能性が高いのではと思います。特に攻撃時。
守備時は、テルをファーストDFにしつつも、エリキが吉田の対応出来なければ、左テルになると思います。
そもそも、左エリキだと幅取らない疑惑もあり、左右非対称の攻撃で、書いた事とちょっとだけずれるかもしれません。何がずれるかは言及しませんので、余白として考えてみてください。

一方の名古屋は、スタメンに丸山が復帰の見込み。藤井も面白かったけどね。その他は変わらず。

まとめます。
この試合は、攻守においてシミッチを攻略する事です。また、お互いに攻撃的なSBをどう捕まえるかも注目ポイント。SHで捕まえるのが徹底出来るか。
マリノス攻撃時は名古屋のSHの裏かシミッチの裏を突くための構造を作る事。
守備時は、CHをおさえること。駄目なら、潔く撤退というか、そうなる可能性があるので、ちゃんとポジトラ意識してカウンターの機会を伺う事。そういう相手です。

何にせよ、ホーム同様の面白い試合になると思います。また、最近は瑞穂で負けてないからね!2015年に瑞穂で勝って以来の名古屋戦勝利を!

ここまで読んでいただいた方、読後に何かのアクションを行っていただいた方に感謝いたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?