迷惑もハードワークもあるかい!2019 J1リーグ第19節マリノスVS浦和レッズ プレビュー

アウトレイジ最終章を見てない人には、何のこっちゃわからないタイトルですが、例のごとく内容は真面目です。レッズサポーターの方に読まれた時の反応が怖いです。

大分戦の勝利で、幸先良く後半戦のスタートをきり、イッペイとAJを送り出した我らがマリノス。タカが全体練習をフルメニューで消化したとの情報もあり、来週には登録される新メンバーを含めて、良い風が吹いているなと感じます。

そんな中で対戦する次の相手は、監督交代をして1ヶ月半の浦和レッズ。大槻監督に交代後の4試合での成績は、2勝1敗1分と悪くはありません。
その4試合で4得点4失点という数字は、シーズン全体の14得点21失点という数字と比べれば、攻守ともに改善しつつあると見る向きが強いでしょう。

監督交代後の川崎戦では、選手から「どのようにボールを奪うかが、はっきりするようになりました」とのコメント。今まで報われなかったハードワークがこれによって報われるようになったとか。

果たして本当にそうか。それは正しい分析なのか。今回の私の分析は、そんな疑問から始まりました。では、前回対戦の振り返りからしていきましょう。断っておきますが、今回も長いです。だいぶ内容は絞ったし、出来るだけ図解を使って見やすくしますが、ご容赦を。

1,【6節アウェイ浦和戦の振り返り】

※本項目図解の27番橋岡は、実際は森脇でした。

アウェイ6節の前回対戦は、0-3でマリノスの完勝。2点目を取るまで時間がかかりましたが、前半でマリノスが浦和を散々振り回した事もあり、後半はかなり一方的な内容でした。
そして、あの時の浦和は4バックだった事を、覚えている方はどれくらいいるでしょうか。浦和の布陣は4312の中盤ダイヤモンド型。

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これは柏木システムと言っても過言ではないでしょう。柏木のアンニュイなポジショニングを基に、中盤の他の選手はポジションを修正し、相手の守備ブロックに穴を開けようとします。
布陣の噛み合わせとしてはこんな感じでした。

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このように前線が噛み合ったことで、人につく守備をする浦和は苦労することになります。
あの時のマリノスは、SBとSHとIHのローテーションを頻繁に行っており、喜田や天野による3枚ビルドアップと相まって、浦和は布陣した位置から容易く人を動かされてしまい、常に後手を踏む展開となっていました。浦和の守備陣は、誰のマークにつけばよいのか、マーク対象を完全に見失っていました。

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守備強度がマリノスのスピードを下回る様な人につく守備は、マリノスと相性が悪いという代表的な試合です。

これに加えて、守備において問題だったのが、4バックの距離感です。5バックの距離のまま4バックをやってしまうと、SBとの距離に問題が生まれます。

ここを上手く突いた事で、先制ゴールに繋がります。

右アウトサイドレーンでボールを受けた三好から同レーンのテルにパス。三好はテルの後ろを回って空いたチャンネルを突きに行きます。この時、山中がテルについていましたが、スイッチして三好のマークへ移ります。テルは三好へパスを出します。絶妙なスピードだったため、山中が足を出したところにボールが当たり、山中からのクロスの様な形になり、ファーサイドで待ち構えていたマルコスがゴールゲット。

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続いての2点目は、押し込んだ後半に訪れます。遠藤のネガトラ意識が炸裂しました。PA内で三好、遠藤の立て続けのシュートを跳ね返され。ポジトラカウンターの出鼻を、遠藤がしっかりプレスバック。
こぼれたところにマルコスがおり、柔らかなコースを突いたミドルシュートでゴールゲット。

最後の3点目も、人につく守備の問題点から起きました。マリノスは右サイドでオーバーロードをします。

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見事に浦和も右サイドに集合してくれました。そこに、遠藤が反対サイドからダイアゴナルなデコイランをしてくれたことで、左サイドはガラ空き。
そこに広瀬が飛び込みゴール。ここまで、綺麗にオーバーロード&アイソレーションが出来るとは思いませんでした。

このように、人につく守備に対して終始圧倒した試合でした。前回対戦の振り返りにおいては、こういう相手には滅法強いのがマリノスだと再認識していただければ十分です。

では、大槻監督に交代して、その部分は変わったのでしょうか。見ていきましょう。

2,【浦和レッズの守備】

まず、浦和レッズの守備です。注目の人につく守備ですが、、、前回対戦から変わっていません!
では、強度は上がったのか。川崎戦と鳥栖戦は上がっていました。そこからは、あれ?戻ったぞという印象。何故か?
導き出した答えは、選手が違うという事です。

強度があった時の守備はCHが青木と柴戸。右WBが岩武でした。特に柴戸と岩武に関しては、攻撃面では物足りませんが、守備においては強度も戦術理解度も高いと感じます。
間違いなく、貰ったチャンスに対して、全力アピールをしていました。それを変えたのは、攻撃面でのバランスを取った用兵に変更しているという事でしょう。
この守備特化しない選択は、マリノスにとってはチャンスです。人につくならば、名古屋のように1vs1で勝たなければなりません。守備特化してこなければ、今回も我が軍は、盛大に振り回せるはずです。

では、それ以外ではどうか、前回対戦から変わったのは2つです。布陣とCHの積極プレスが付加されました。継続しての弱点は、ゾーン3での曖昧ディフェンス。一つ一つ見ていきましょう。

布陣ですが、基本は541です。シャドーの2枚がSHに変化する形を取ります。

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鈴木大輔曰く、「スタートポジションをハッキリして、バラバラにならないように」しているみたいですが、マリノスほど動き回るチームと戦っていないため、そのまま人につけば、前回程ではないにしても、必然的にバラバラになるでしょう。
浦和の人につく守備が、急に完璧なゾーンディフェンスに出来るのなら怖いですが、今までそんな監督は見た事がありません。布陣が変わろうとも、マリノスがやる事は変わりません。噛み合わせとしては、ビルドアップ時に数的優位になりますので、大分同様に剥がすことが出来るでしょう。

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続いて、CHの積極プレスに関してです。まぁプレス時だけではなく、ブロック組んでいても釣る事は出来ます。

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とても珍しいです。この形。
アウトレイジ的に言えば、ポジションと言う牢獄から仮出所させるわけです。

では、何でCHが出てくるのかと考えましたが、結構シンプルかなと思います。浦和は、サイドを突破されてからのクロスによる失点パターンが多いです。まぁ、これはボール見ちゃうからなんですが。ディフェンスラインの背後にクロスされてもダメですし、マイナスのボールも見ちゃいますし、ふわっとファーサイドクロスも見てしまうので、浦和としては、出来るだけクロスを上げさせたくないはずです。
そのため、サイドの選手が釣られて裏を空ける事を怖がっているのかなと感じます。真ん中を使われるよりも、サイドを使われる方が怖いのでしょう。これは、マリノスにとってはチャンス。こんな形で崩せます。

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または、

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この弱点、絶対突いてくるマリノス相手では、早々にまずいと気付くと思いますので、CHの上りはしてこないかもしれません。

その場合は、大分戦や松本戦の様に、54の4をボールサイドにスライドさせて、WBを引き出せば良いです。5バックの他のチーム同様に、WBが釣られた場合、相手の最終ラインが横スライドをするので、そこを突きます。この崩し方は、今シーズン何度もマリノスはやっています。

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では、WBも上がってこない場合。次のターゲットはHVです。これも大分戦で書きましたが、5バックの攻略で手っ取り早いのはHVを引き出す事です。

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この時、浦和の弱点で出てくるのは、最後のゾーン3での曖昧ディフェンスです。仮にHVが釣られなかった場合、マルコスが前を向けます。ここまで来ると、CHを釣った時と同じ状態になります。

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バイタルエリアに入ってしまうと、リスク管理のため、最終ラインはディレイしてきます。がっつりボールを見てくれます。CHの戻りを待つわけですが、マリノスのスピードにはそんなもの通じません。

マリノスの前線4枚はミドルは打てるし、スルーパス出せるし、ドリブルも出来ます。
あとは、決めるか決めないかだけです。
相手の強度をスピードで越えれば、怖いものは何もありません。

3,【浦和レッズの攻撃】

続いて、今回はちょっと雑かもしれませんが、浦和レッズの攻撃です。攻撃時は3241です。

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時々CHを最終ラインに落として4141になるミシャ型をしますが、最近の浦和のスタンダードは、3241のまま殴るです。可変型のリスクを回避して、まずはメインポジションを覚えさせる狙いでしょう。

ミシャ好きとしては、寂しい限りです。マリノスとしては、3バックビルドアップにプレスをかけるならばこうです。

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浦和の攻撃パターン①は、興梠と武藤の裏抜けです。

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②は1トップ2シャドーの連携で崩す方法。

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この時は絶対に、武藤に何人も行っては行けません。武藤は剥がし役です。

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③はクロスという基本的な攻撃です。

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サイドからのクロスで言えば

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浦和は、出来るだけシャドーとの連携を使って、中央を攻略したい思いが見えます。しかし、真ん中は固められるため、結局外に出されてクロスになってしまっている状況でしょう。

ただ守備の項目で書いたように、サイドを守りたいチームなので、人数掛けるためにWBが上がってくれれば、相手陣地はスカスカになっているので、ボール奪取すれば即チャンスです。これは、磐田戦でも見られましたね。

後は、やられたら嫌だなと思うけど、やらないと思うので完全に余談として話しますが、実は浦和で一番怖いのは、武藤と興梠によるダブルラインブレイクです。今年は全然見られません。

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これをやるためにも、私が監督なら532を使います。おそらく、守備でも攻撃でも今の浦和にハマるのは532だと思います。分析家の大槻さんがこれをやって来たら滾ります。もし、532でダブルラインブレイクして来たら、その部分だけレビューします。だから、やらないでね。

では本項目のラスト。言っても一番怖いのはセットプレーです。一番、得点可能性を感じます。個人能力高いチームですから、自陣での無駄なファウルは避けましょう。後は、全ての道は興梠に通じると思えば、押さえる部分は明確なはずです。

4,【最後に】

では、スタメン。

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マリノスは勝っている時はいじらないので、移籍したAJに変えて、そのままフルメニュー消化の扇原が入るだけでしょう。おかえり、タカ。

一方の浦和は、前節怪我をしたエヴェルトンに変わり、ファブリシオ。中盤はエヴェルトン交代後の布陣をそのまま使ってくるでしょう。問題は左SBです。私は、大槻監督の守備意識を鑑みると宇賀神が有力だと見ていますが、もし山中を使ってくる事があれば、苦手な守備をずっとさせてあげたいですね。彼の成長のためにも。

この試合は、引き分けすら満足出来ない試合です。負けなしのホームで、勝ち点3を取り続けましょう。勝って最高の三連休を!

ここまで読んでいただいた方、読後に何かのアクションを行っていただいた方に感謝いたします。


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